プレスリリース
2020-08-21
本学院生物圏科学専攻の小林真准教授(北方生物圏フィールド科学センター)と工藤岳准教授(地球環境科学研究院)の研究グループは,大雪山などに広く生育する高山植物の一種であるミヤマキンバイが,雪解けが遅く生育期間が短い場所で地下部を発達させること,特に粗根と呼ばれる太い根の割合を増すことで多雪環境に適応していることを明らかにしました。約2ヶ月の短い生育期間中に素早く成長して開花と結実を終えるため,前年までに獲得した炭水化物を太い根に大量に貯蔵していると考えられます。
本研究の成果は, 雪田と風衝地で構成される大雪山の高山帯の美しい花畑が,将来どのように変化していくのかを予想する上で重要な知見となることが期待されます。
なお,本研究成果は,2020年8月10日(月)公開のArctic, Antarctic and Alpine Research誌に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
大雪山の雪渓の下に太い根を持つ植物が生えていることを発見~多雪環境における短い生育期間を生き抜くための適応~(PDF)
2020-06-01
本学院地球圏科学専攻博士後期課程の塚田大河さんと堀之内武教授(地球環境科学研究院)は,「ひまわり8号」をはじめとする新世代の静止気象衛星で実現した高頻度の観測を利用して,台風の中の雲の動きから風を観測する新しい手法を開発しました。これを,超大型で,日本の研究グループによる航空機観測が実施された2017年の台風21号の観測データに適用し,目の中の雲の動きから回転の速さの分布を導くことに成功しました。目の中の雲は,大気境界層と呼ばれる,地表面から高度2km程度までの領域の上端付近に主に存在します。台風に伴う回転運動は,境界層の上端付近で最も強くなるので,ここでの風速の水平分布が得られることは,台風の強度8や構造の把握に役立ちます。また,この高度の風速は地表付近での風速との対応も良いため,被害予想にも役立つことが期待されます。
本研究によって,目の中にメソ渦と呼ばれる小さな渦が繰り返し発生し,回転の速さが数時間で増加したことが明らかになりました。これは,メソ渦による混合によって台風の構造が変化したことによると考えられます。このような過程が,観測から確認されたのは世界で初めてです。
研究グループは,気象庁気象研究所,横浜国立大学などと共同で,新世代静止気象衛星の観測を台風の診断と研究に活用する世界的にもユニークなプロジェクトを実施しており,台風の構造を診断しその変動要因を明らかにすることに加えて,社会に発信される台風情報の改善につなげて,防・減災に貢献することを目指しています。その実現には,検証手段となる航空機観測を充実させることが重要であるため,最近日本学術会議が発表した,航空機観測に関する大型研究マスタープランの実現が待たれます。
なお,本研究成果は,2020年5月28日(木)公開のGeophysical Research Letter誌に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
気象衛星による“台風の目”の中の風の観測に初めて成功~台風の強度推定の向上への貢献に期待~(PDF)
2020-05-28
本学院地球圏科学専攻の西岡純准教授(低温科学研究所)と山下洋平准教授(地球環境科学研究院)は,東京大学大気海洋研究所および長崎大学の研究者らとともに,これまで明確には理解されていなかった,グローバルスケールの海洋循環(海洋コンベアベルト)の終着点に位置する北太平洋の栄養物質循環像を明らかにしました。
これまで北太平洋では,どのようなメカニズムを経て海洋表層に窒素やリンなどの栄養塩が供給され,生物活動が維持されているのかは良くわかっていませんでした。本研究では,これまでに予想されていた,深層に蓄積されている栄養塩が直接表層の高緯度海域を肥沃にしているという考えを覆し,ベーリング海で形成される中層水の栄養塩プールの形成と海峡部で起こる混合が,深層と表層の栄養塩を繋ぐ重要な役割を果たしていることを明らかにしました。この中層水由来の栄養塩とオホーツク海から流出する鉄分が混合することで,西部北太平洋の生物生産が高い状態で維持されていることが解明されました。本研究で見えてきた北太平洋の栄養物質循環像は,地球規模の海洋物質循環を解明する上で鍵となるエリアの理解を大きく進めます。今後,海洋における炭素循環,栄養物質循環,生態系の気候変動に起因する変化を理解する上で欠かせない知見となります。
本研究は,新学術領域研究「海洋混合学の創設」及び「新海洋像」,その他の科学研究費補助金,低温科学研究所共同利用開拓型研究の助成を受けて実施されました。
なお,本研究成果は2020年5月27日(水)公開の米国科学アカデミー紀要Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of Americaにオンライン掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
海洋コンベアベルトの終着点における栄養物質循環の解明~縁辺海が海を混ぜ,栄養分を湧き上がらせる~(PDF)
2020-04-24
本学院地球圏科学専攻の堀之内武准教授(地球環境科学研究院)とJAXA宇宙科学研究所などの研究者からなる国際研究グループは,金星探査機「あかつき」によって取得された観測データに基づき,長年謎だった金星大気の高速回転(スーパーローテーション)がどのように維持されているのかを明らかにしました。
金星の分厚い大気は,自転の 60 倍ほどにも達する速さで回転していることが知られています。これをスーパーローテーションと呼んでいます。スーパーローテーションは,何らかの加速機構がなければ維持できないことが知られていますが,それがどのような機構であるかは,わかっていませんでした。今回,「あかつき」で得られた画像と温度データの詳細な分析より,この加速機構を担うのが,「熱潮汐波」であることが明らかになりました。地球の潮の満ち干に関わる海の潮汐波は,月の引力によって生み出されますが,大気中には昼間熱せられて夜冷却されることによる潮汐波が地球にも金星にも存在し,熱潮汐波と呼ばれています。金星では,この熱潮汐波が,低緯度で大気の加速を担うことが重要であることが明らかになったのです。これまで,大気中に存在する潮汐波以外の波や乱れ(乱流)も加速を担う候補として考えられてきましたが,むしろその逆に働いていることも明らかになりました。なお,それらは赤道を離れた中緯度において重要な役割を果たしていると考えられます。
本研究成果は,2020年4月23日(日本時間4月24日)公開の科学雑誌Science(サイエンス)電子版に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
「あかつき」により金星大気のスーパーローテーションの維持のメカニズムを解明(PDF)
2020-04-20
本学院生物圏科学専攻の大舘智志助教(低温科学研究所)と国後島のクリリスキー自然保護区事務所のアレクサンドル・キスレイコ所長らの研究グループは,1986年から2019年までの33年間を対象に国後島と歯舞群島を中心とする北方領土におけるエゾシカの生息情報を解析しました。
従来,エゾシカの分布地は北海道本島とされ,国後島や歯舞群島からは江戸時代から終戦まで明確なエゾシカの生息記録がありませんでした。終戦後1970年〜80年代前半までは,ごく稀に単独の個体が一時的に発見されることはありましたが,恒常的な生息は確認されていませんでした。
国後島にあるクリリスキー自然保護区事務所では1986年半ば以降,北方領土におけるエゾシカの情報を収集・蓄積してきました。それらを取りまとめた結果,エゾシカの遺骸は3年に1回ほどの頻度で,国後島と歯舞群島の水晶島(1 回のみ)で発見されていることがわかりました。そして2017年からは毎年,国後島において,直接観察や糞,足跡が確認されています。2019年には2頭が同時に目撃されました。このことから国後島において少なくとも数頭のエゾシカが定着していると思われますが,今のところ島内での繁殖は確認されていません。また,エゾシカは冬期に流氷の上を歩くか,夏期に海峡を泳いで渡ったと考えられていますが,詳しい分散経路はわかっていません。
北方領土には貴重な植物が生育しています。一方,対岸の知床半島ではエゾシカが急増したことにより植生が破壊されています。仮にエゾシカが国後島で今後も定着して増殖した場合,知床半島のように植生の破壊が懸念されます。世界的にも貴重な自然環境を有している北方領土の自然を保全するためには,政治的思惑を超えたエゾシカのモニタリングと実態調査が望まれます。
なお,本研究成果は,2020年4月17日(金)公開のMammal Studyにオンライン掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
北方領土におけるエゾシカの生息状況が明らかに~ここ数年で国後島に定着か?~(PDF)
2020-04-20
多くの動物において,配偶者選択や同性間の縄張りあらそいなど,種の繁殖のために必須な行動には,体臭を介した嗅覚コミュニケーションが重要な役割を果たしています。今回,本学院生物圏科学専攻の早川卓志助教は,東京大学,京都大学霊長類研究所,進化生物学研究所,日本モンキーセンターなどの研究者らとともに,特徴的な嗅覚コミュニケーションを行うワオキツネザルに注目し,ヒトを含む霊長類で初めて,異性を惹き付けるフェロモン様効果のある匂い物質の同定に成功しました。
ワオキツネザルのオスは,手首の内側にある臭腺(前腕腺)を自身の長い尻尾にこすりつけてその尻尾を大きくゆらし,メスへのアピールや他オス個体への威嚇を行います。行動観察により,メス個体が,繁殖期のオスの前腕腺分泌液の匂いをより長く,より注意深く嗅ぐ一方で,非繁殖期の分泌液にはあまり興味を示さないことを明らかにしました。次に,分泌液の成分分析を行い,繁殖期の分泌液中には,体内の男性ホルモン(テストステロン)の増加に伴い,フローラル・フルーティー様の香りを持つ三種類の長鎖アルデヒド群が増加していることを見出しました。さらに,これらの成分のみを染み込ませた綿球に対しては,繁殖期のメスのみが興味を示し,非繁殖期のメスは興味を示さないことが分かりました。すなわち,今回同定されたオスの繁殖期を特徴づける匂い成分が,メスを誘引するフェロモン様の匂いシグナルとして機能していることがわかりました。
本成果は,未だ謎の多い霊長類の嗅覚コミュニケーションの実態を物質レベルで裏付ける最初の知見であると同時に,野生での絶滅が危惧されるワオキツネザルの繁殖管理や保全に役立つと考えられます。
本研究成果は,学術誌「Current Biology」に2020年4⽉16日付でオンライン公開されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
ワオキツネザルのメスを惹き付けるオスの匂い―霊長類のフェロモン様物質の同定に初めて成功―(PDF)
2020-04-17
南極海(南大洋)は,人類がこれまで放出してきた二酸化炭素(CO2)の約1割を吸収してきたと見積もられており,地球規模の炭素循環を理解する上で重要な海域です。本学院地球圏科学専攻の鈴木光次教授,吉川久幸名誉教授(地球環境科学研究院)らは,国立環境研究所,東京海洋大学,国立極地研究所の研究者らとともに,浮遊性微細藻類(植物プランクトン)の優占グループの変化が南極海のインド洋区における夏期の CO2 吸収量に影響を及ぼすことを,船舶観測と衛星画像解析により初めて明らかにしました。具体的には,特定の群集(珪藻類)が優占する年ほど,植物プランクトンの正味の炭素固定量は大きくなり,海洋への CO2 吸収量も増加することが分かりました。本研究で得られた知見は,温暖化等の気候変動によって生じる可能性がある植物プランクトンの群集変化が,海洋の炭素循環を通じて気候変動に及ぼす影響を評価・予測する上でも重要な情報です。
本研究成果は,海洋学分野の学術誌「Deep-Sea Research Part I」に2020年3⽉19日付でオンライン先行公開されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
南極海の二酸化炭素吸収:微細藻類の量だけでなく種類が鍵となる-優占群集の違いが夏期の炭素収支を左右していた-(PDF)
2020-04-10
本学院地球圏科学専攻の西岡純准教授(低温科学研究所)らの研究グループは,オホーツクの流氷に含まれる鉄分の量と存在状態,その起源を明らかにし,流氷から放出される鉄分が生物に使われやすいことを証明しました。流氷は,様々な起源からなる粒子状の鉄分を非常に多く含んでいますが,粒子状の鉄分が海水中に放出された際に,植物プランクトンが鉄分を使えるのかどうかはわかっていませんでした。本研究では,流氷が融けた状態を模擬した培養実験を行い,植物プランクトンが使うことのできる流氷中の鉄分の存在状態を調べました。その結果,植物プランクトンは流氷から放出された粒子状の鉄分を使って増殖することが確認されました。本研究成果は,「オホーツクの流氷は栄養物質を運び,豊かな生態系を支えている」という従来の認識を科学的見地から裏付けるもので,流氷がオホーツク海の生物生産に果たす役割の理解が進むと期待されます。
本研究は,GRENE 北極気候変動研究事業,科学研究費補助金,キヤノン財団,タスマニア大学ツネイチフジイ奨学金,低温科学研究所共同利用の助成を受け,タスマニア大学海洋南極学研究所の研究者らと共同で実施しました。
なお,本研究成果は,2020年3月31日(火)公開のMarine Chemistry誌に掲載されました。
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オホーツク海の豊かな生態系を育む流氷の役割を解明~生物に必要な鉄分を流氷が運ぶ~(PDF)
2020-03-19
本学院地球圏科学専攻の安成哲平助教(北極域研究センター)は,本学工学研究院,産業技術総合研究所らの研究者とともに,北海道札幌市と利尻島での元素状炭素 (煤) 粒子の地表面への沈着量の20年間の変遷を分析により初めて明らかにし,沈着量の年ごとの変化は非常に大きかったことを発見しました。今回,地方自治体の研究機関による酸性雨の研究で使用され長期間保存されていた薄膜フィルターに注目し,そこに捕集された煤の抽出・分析法を考案しました。煤粒子の地表面への沈着量の20年間の変遷を みると,2000~2001年の黄砂の大量飛来時には,煤粒子の沈着量が大幅に増大しており,煤を含む大気汚染物質が国内の高緯度地域に黄砂と同時に大量に輸送されていた可能性が示唆されました。雪氷面に煤が沈着すると太陽光の反射率を低下させて熱収支を変化させ,気候に影響を与えるが,今回,煤粒子沈着量の年々変動が非常に大きかったことから,短期間の沈着量データのみの利用では気候モデルによる沈着量検証の際に問題が生じる可能性が提示された。
なお,本研究成果は,2020年3月18日(英国夏時間)に論文誌Scientific Reportsに掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
20年間にわたる煤(すす)粒子の地表面沈着量の変遷を測定-積雪汚染による気候影響の評価・予測計算を検証する新たな長期データを提供-(PDF)
2020-03-18
本学院環境起学専攻のホルへ ガルシア モリノス助教(北極域研究センター)らの研究グループは,気候変動によって水産魚種の分布域が変わることで,海域から流出する魚種の代わりに流入する魚種がいない熱帯域諸国において,多くの水産資源が失われる恐れがあることを見出しました。
海水温度が上昇するにつれ,魚類は適温環境を求めて温度が相対的に低い環境へ移動します。研究グループは,2015年から2100年までの温室効果気体排出シナリオを用いて,779の漁業対象魚種の生息分布域の変化を予測するコンピューターモデルを開発しました。このモデルによると,比較的緩やかな温室効果気体排出シナリオの場合,熱帯域諸国では2100年までに現在の魚種数の15%を失う恐れがあり,より過酷な排出シナリオの場合は40%以上も失う恐れがあります。また,北西アフリカの国々は魚種数の減少が最も大きく,東南アジア,カリブ海諸国,中央アメリカ諸国でもかなりの魚種数の減少に直面することが示されました。
科学者達は,現存する地域内・多国間・二国間政策などが,気候変動によって各国の管轄水域(排他的経済水域;EEZ)から流出する魚種の管理に必要な規定を盛り込んでいるかについて疑問を持っています。公表されている127の国際漁業協定を解析した結果,いずれも気候変動,魚類生息地の変化あるいは資源量に関して,直接的な記述をしているものはありませんでした。また,いくつかの協定では短期的な資源変動を管理する仕組みは含まれていましたが,現存する協定の中で魚類資源を失う国による乱獲を防ぐ長期的政策が含まれているものはありませんでした
本研究成果は,慎重な政策決定が必要な場面において新たな知見を与えると期待されます。
なお,本研究成果は,2020年2月24日(月)公開のNature Sustainability誌に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
気候変動が熱帯域諸国の魚類資源を奪う~今後の気候変動適応策へ新たな知見を与えることに期待~(PDF)
2020-03-17
本学院地球圏科学専攻の山下洋平准教授(地球環境科学研究院)と西岡純准教授(低温科学研究所)は,東京大学大気海洋研究所の研究者らと共に,「どのようにしてオホーツク海由来の鉄分が北太平洋の広範囲に運ばれているのか」,そのメカニズムを捉える事に成功しました。
鉄分は生物にとって必須の栄養素ですが,海水に溶けにくい性質を持ちます。世界の多くの海域では,鉄分の多さが生態系の基盤である植物プランクトンの豊富さを左右しているため,鉄分の海洋循環メカニズムを明らかにすることは海洋生態系を理解する上で重要なテーマです。北太平洋では,鉄分の多くがオホーツク海の大陸棚堆積物から供給され,海洋内を長距離運ばれていることがこれまでの研究から明らかとなっていましたが,どのようにして溶けにくい鉄分が海洋の広範囲に運ばれているか,そのメカニズム自体は不明でした。そこで研究グループは,鉄分を溶かす(鉄分と錯体を形成する)働きをもつ有機物である「腐植物質」に着目し,オホーツク海から亜熱帯海域までの広範な海域における鉄分と腐植物質の南北断面分布を世界で初めて明らかにしました。特筆すべきは,海洋に存在する腐植物質を,海洋内部で細菌により生み出されるもの(自生性)と海洋の外から供給されるもの(外来性)に区別する手法を考案し,外来性である堆積物起源の腐植物質のみの分布を定量化する事に世界で初めて成功した点です。これにより,オホーツク海の堆積物起源の腐植物質は鉄分と錯体を形成することで,北太平洋の中層水循環システムによって,少なくとも 4,000km 運ばれ,亜熱帯海域にまで達している事が判明しました。
本研究成果は,気候変動によって環境が大きく変わりつつある海洋において,必須栄養素である鉄分の輸送を介して,生物生産性や二酸化炭素吸収量がどのように変動していくかを理解する上でも貴重な知見となります。
なお本研究は,新学術領域研究「海洋混合学の創設」及び「新海洋像」,その他の科学研究費補助金,低温科学研究所共同利用の助成を受けて実施され,2020年3月11日(水)公開のScientific Reports誌にオンライン掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
北太平洋の生態系を潤す,鉄分の海洋循環メカニズムを解明~有機物にくっついてオホーツク海から亜熱帯へ,4,000km の旅~(PDF)
2020-03-16
本学院地球圏科学専攻の飯塚芳徳准教授(低温科学研究所)は,国立極地研究所,東京大学大気海洋研究所,海洋研究開発機構ならびに英国ケンブリッジ大学等の海外大学の研究者らと共に,南極内陸のドームふじとドームCアイスコアに含まれる微粒子のサイズや形状,化学組成を一粒ずつ電子顕微鏡によって解析することで,最終氷期の最寒期(約2万年前)にドームふじに降下したダスト(陸域を起源とする微粒子)がドームCよりも約3倍も多かったことを初めて明らかにしました。また,同時期にドームCに飛来したダストの方が小さく扁平であることから,より遠くから運ばれてきたこともわかりました。これらの結果は大気大循環モデルによるシミュレーションとも整合的であり,その原因は,氷期のダストの主な起源である南米南部のパタゴニアからの輸送距離の違いであると考えられます。
この成果は「Journal of Geophysical Research -Atmospheres」誌に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
氷期最寒期のダスト飛来量を複数の南極アイスコアから復元~ダスト起源のパタゴニアからの輸送距離の違いを反映〜(PDF)
2020-02-27
本学院環境起学専攻の野呂真一郎教授(地球環境科学研究院),環境物質科学専攻の中村貴義教授(電子科学研究所)らの国際研究グループは,水分子が共存しても炭化水素ガスを分離できることを明らかにしました。
プロピレンやエチレンなど分子内に二重結合をもつ炭化水素ガス(アルケン)は,我々の身の回りで使われているプラスチックや化学繊維など様々な化成品の原料として重要です。このアルケンガスを精製するためには,一緒に含まれているプロパンやエタンなどの性質のよく似た別の炭化水素ガス(アルカン)から分離する必要があります。現状は多くのエネルギーが必要でコストがかかる蒸留法により精製されており,多孔性材料を用いた分離法が近年省エネ型分離法として注目されてきました。一方で,通常の大気のように水蒸気が存在すると多孔性材料の分離性能が悪くなると言われてきましたが,それを確認した例はこれまでありませんでした。
本研究では,プロピレンを選択的に分離できる多孔性材料に水を含ませた状態で実験を行い,水が存在していてもプロピレン分離性能がほぼ維持されることを世界で初めて実証しました。また,水分子自体が新たなプロピレン認識部位として働いていることを理論計算によって示しました。本研究成果は,コストがかかる水の分離プロセスを必要としない新たな省エネ型炭化水素ガス分離法としての応用展開が期待されます。
なお,本研究成果は,2020年1月27日(月)公開のACS Applied Materials & Interfaces 誌にオンライン掲載されました。また,本研究は,文部科学省科学研究費補助金「基盤研究B」(17H03026),「二国間交流事業(ドイツ(DAAD)との共同研究)」,「人・環境と物質をつなぐイノベーション創出ダイナミック・アライアンス」による支援を受けて行われました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
水が炭化水素ガスを見分けることを発見~ガス分離の省エネルギー化に期待~(PDF)
2020-02-13
本学院生物圏科学専攻の宗原弘幸教授(北方生物圏フィールド科学センター)と博士後期課程(当時)の鈴木将太さんらの研究グループは,半クローン生物が組み換え世代を取り入れることで,ゲノムをリフレッシュし,遺伝的多様性を獲得していることを明らかにしました。
アイナメ属は,ホッケと並び,北海道を代表するアイナメ科の磯魚です。この仲間には6種が知られ,その他にスジアイナメとクジメのゲノムを持つ雑種の生息が最近明らかになりました。アイナメ属の野外雑種はすべて雌で,受精して成体になるまでは父種(クジメ)ゲノムも使いますが,卵形成過程で消失し,母種(スジアイナメ)ゲノムだけがクローン的に子に受け継がれます。アイナメ属雑種は,父種の雄と戻し交配をする限りクローンを保ちますが,母種の雄と交配するとスジアイナメゲノムが2セットになり,通常の減数分裂をする組み換え世代へ移行します。
本研究によって,雑種は両方の親種と同率で交配している(双方向戻し交配)ことが明らかになり,組み換え世代で有害変異の削減と遺伝的多様性を回復したのち,偶発的な交雑で半クローン世代に移行することが実証されました。本研究は,半クローン世代と有性生殖(遺伝子組み換え)世代を持つことで有害変異の削減と遺伝的多様性を回復するという仮説を実証し,クローンゲノムが永続的に存続できる仕組みを発見した世界で初めての研究です。
なお,本研究成果は,2020年1月7日(火)公開のEvolution誌にオンライン掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
https://www.hokudai.ac.jp/news/200205_pr2.pdf
クローンゲノムが永続する仕組みを世界で初めて発見~クローン生物最大の欠点を克服~(PDF)
2019-12-02
本学院地球圏科学専攻の中山佳洋助教らの研究グループは,南極沿岸域で最も海面上昇に寄与している二つの棚氷(パインアイランド棚氷とスウェイツ棚氷)に着目して,東アムンゼン海の超高解像度海洋モデルを開発しました。
南極大陸には,地球上の氷の約90%が存在し,南極の氷が全て融解すると海水準は約60m上がるとされています。南極の氷は,その上に雪が降り積もることで形成され,徐々に大陸沿岸部へと流れ,一部の地域では海へと流れ込みます。その中でもアムンゼン海東部では,多量の氷が南極大陸上から海へと流出し,南極氷床による海面上昇の寄与の約70%に相当します。南極氷床から海への氷の流出は,温かい海水が棚氷下部へ流入することによって引き起こされます。そのため,どのように南極沿岸域の海が棚氷融解を引き起こしているかを理解することが,南極氷床による海面上昇を予測するために必要な課題となっています。
研究グループが開発した超高解像度海洋モデルは,南極沿岸/棚氷域に着目した既存の海洋モデルと比較しても 3-4倍以上細かい世界最高の空間解像度を実現し,モデル結果から(1)パインアイランド,スウェイツ棚氷への高温の水塊の流入経路や(2)融解量を決める上での棚氷下部の海洋循環の重要性などが明らかになりました。さらに,棚氷の融解量をモニタリングするために必要な海洋観測も示唆されました。観測データの限られる南極沿岸域において,観測データの再現性の高い海洋モデルを開発し,その結果をもとに,現実の海洋で起きていることを理解するという研究は,棚氷融解量,将来的な南極による海面上昇の見積もりを精緻化する上で必要不可欠です。
本研究成果は,2019年11月22日(金)公開の英国の科学誌であるScientific Reports電子版に掲載されました。なお, 本研究は,NASAジェット推進研究所との共同研究として実施されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
パインアイランド,スウェイツ棚氷への高温水塊の流入経路の解明~南極最大の氷損失域における棚氷海洋相互作用の理解~(PDF)
2019-12-02
本学院地球圏科学専攻の力石嘉人教授(低温科学研究所)は,東北大学,海洋研究開発機構,米国NASAゴダード宇宙飛行センターの研究者らと共に,2種類の炭素質隕石からリボースやアラビノースなどの糖を初めて検出しました。
リボースは核酸(RNA)を構成する主要な糖分子です。隕石からリボースなどの糖を検出したことは,宇宙にも生命を構成する糖が存在することを示す発見です。そのような糖は生命誕生前の地球にも飛来し,地球上の生命の起源につながる材料の一部となった可能性があります。
本研究の成果は令和元年11月19 日午前5時(日本時間),米国科学アカデミーが発行する 「Proceedings of the National Academy of Sciences, USA(米国科学アカデミー紀要)」に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
生命を構成する糖を隕石から初めて検出-宇宙にRNAの材料となる糖の存在を証明-(PDF)
2019-12-02
本研究院の中村哲博士研究員,山崎孝治名誉教授,佐藤友徳准教授(環境起学専攻),新潟大学の浮田甚郎教授の共同研究グループは,温暖化時の北極海の海氷減少を想定した気候変化のシミュレーションを行い,陸域の土壌温度や積雪を介したメモリ効果の寄与を定量的に見積もる手法を開発しました。海氷減少は近年増加傾向にある中緯度の寒波の一因であると指摘されていますが,本研究により,寒波の記憶がユーラシア大陸に蓄積されることで,翌冬,翌々冬の寒波をさらに強めるという,増幅(フィードバック)効果を持つことがわかりました。このメモリ効果は,海氷減少によって生じる寒波の強さを約2 倍に強めます。
本研究では,陸域のメモリ効果がどのような物理的プロセスで生じているのか,詳細に調べました。日本で強い寒波が発生する際には,ユーラシア大陸全域が寒冷で,積雪が多い傾向があります。多量の積雪が春の雪解けの時期を遅くすることで,日射による地面の温度上昇が妨げられ,寒冷なシグナルが土壌温度に記憶されます。夏場の大気状態の影響を受けにくい土壌温度の寒冷なシグナルは秋まで持続し,初冬の積雪時期を早めます。積雪は日射を強く反射して地面付近が温まることを妨げるため,早い冬の到来となり,強い寒波が形成されやすくなります。このような季節サイクルの繰り返しが蓄積されることで,持続的に強い寒波をもたらす気候状態を作り出しています。
急速な温暖化が進む北極と,その影響を受ける中緯度の気候変化の予測には,大きな不確実性があるとされています。本研究の成果で得られた陸域のメモリ効果は,一旦ある方向に向かった気候状態をさらに推しすすめるような正のフィードバック効果があることを示しています。陸域の状態を調べることで,長期的な傾向の予測に役立つことが期待されます。
本研究は,文部科学省北極域研究推進プロジェクト「ArCS: Arctic Challenge for Sustainability Project」,及び科学技術振興機構「ベルモント・フォーラム CRA InterDec」の一環として⾏われ,Nature Communications誌にて,2019年11月8日(金)19時にオンライン公開されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
ユーラシア⼤陸の気候メモリ効果が北極温暖化に伴う冬の寒波を強める〜⻑期気候変動におけるフィードバックメカニズムの⼀端を解明〜(PDF)
2019-10-31
本学院生物圏科学専攻の仲岡雅裕教授(北方生物圏フィールド科学センター)と同専攻博士後期課程の須藤健二さん(当時)らの研究グループは,北日本のコンブ類の分布域が今後地球温暖化の進行に従って大きく減少すること,また分布が限られている複数の種が日本の海域から消失する可能性が高いことを明らかにしました。
なお,本研究成果は,2019年10月28日(月)公開のEcological Research誌に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
地球温暖化により北日本のコンブが著しく減少する可能性を予測~沿岸生態系の海洋生物多様性や生態系サービスに負の影響~(PDF)
2019-10-03
本学院環境起学専攻の平田貴文特任准教授(北極域研究センター)は,同センターの齊藤誠一研究員(研究推進支援教授)らとともに北海道大学及び東北大学が中心となって研究開発された国際理学観測衛星ライズサット(RISESAT:Rapid International Scientific Experiment Satellite)に搭載した海洋観測カメラ OOC(OceanObservation Camera,北海道大学,東北大学,株式会社パスコ及び国立台湾海洋大学が共同開発)による有色溶存有機物(CDOM:Colored Dissolved Organic Matter)の観測に成功しました。なお,ライズサットは JAXA 革新的衛星技術実証1号機を構成する 7 衛星の一つとして,イプシロンロケット4号機により打ち上げられました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
海洋観測カメラによる有色溶存有機物の観測に成功~超小型人工衛星を利用した北極域観測技術の構築に期待~(PDF)
2019-09-25
本学院地球圏科学専攻の関宰准教授は,高知大学海洋コア総合研究センターの松井浩紀特任助教,池原実教授らと共に,九州付近から沖ノ鳥島を経てミクロネシアのパラオ付近に至る南北 3000 km に渡る海底山脈である九州・パラオ海嶺で 1973 年に採取された Site 296 海洋コアを再解析しました。レガシー試料である Site 296 海洋コアは黒潮流路に近い九州・パラオ海嶺の北端から採取されたことから,黒潮の長期的な変遷を記録していると期待されます。コアレポジトリーの適切な保管・管理により,46 年の時を経たのちも Site 296 海洋コアを全く問題なく解析に資することができました。Site 296 海洋コアに含まれる微小なプランクトン化石の産出状況を再解析するとともに,ストロンチウム同位体比と炭素・酸素安定同位体比を統合することで,掘削当時は発展途上で十分に確立できていなかった Site 296 海洋コアの年代モデル(微化石層序・地球化学層序)を 46 年ぶりに再編することができました。この成果により Site 296 海洋コアが過去2000 万年間の海洋環境を連続的に記録した,北太平洋における極めて貴重な試料であることを明らかにしました。こうした過去 2000 万年間にわたって連続的に堆積した海洋コア試料は北太平洋では極めて稀であり,黒潮の流域では Site 296 海洋コアが唯一の報告例です。特に,現在よりも顕著に温暖だった時代における黒潮の流路や強さを解明していく上で,過去 3000 万年間において最も温暖な時代であったとされる中期中新世(約 1600 万年前〜1160 万年前)の連続的な試料は貴重で,今後も Site 296海洋コアの活用が期待されます。
本成果は学術誌「Newsletters on Stratigraphy」オンライン版に 2019 年 9⽉20⽇に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
九州・パラオ海嶺に過去 2000 万年間の連続的な堆積物があることを発見―1973 年に掘削されたレガシー試料の再解析―(PDF)
2019-09-12
本学院生物圏科学専攻の工藤岳准教授は,市民ボランティアと共同で,北海道大雪山における高山植物の長期開花調査を行い,地球温暖化によって高山植物群落の開花期間が将来どのように変化するのかを予測しました。
高山植物の開花時期は温度や積雪期間の変化に敏感であるため,地球温暖化の影響を強く受けると予測されていますが,その実態と将来予測に必要なモニタリング例はごくわずかでした。そのため本研究では,環境省生物多様性センターが行っている生態系長期モニタリングプロジェクト「モニタリングサイト 1000」の高山帯調査の一環として,市民ボランティアによって集積された高山植物開花調査データを解析しました。詳細な開花状況と気温・積雪データの解析により,気候変動に対して高山植物群落の開花時期がどのような影響を受けるのかを予測しました。その結果,積雪の少ない場所に生える高山植物は気温の影響を強く受け,温度が高いほど開花の進行が早く,1 度の気温上昇により開花期間は約 4 日間短縮されると予測されました。一方で雪解けの遅い場所に生育する植物は,気温よりも雪解け時期の影響を強く受けることが明らかになりました。更に温暖化によって 1 度の気温上昇と 10 日間の雪解けの早期化が起こった場合,高山帯の開花時期は約 5 日間短縮されるという予測が得られました。温暖化に伴う高山植物群落の開花シーズンの短縮は,花を利用する昆虫へも影響が及ぶことが懸念されます。本研究は,市民ボランティアによる生態系モニタリングの有効性を実証したものとして重要な成果です。
本研究成果は2019年8月2日(金)公開のEnvironmental and Experimental Botany 誌に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
地球温暖化は高山植物群落の開花シーズンを短縮する~市民ボランティアにより明らかにされた温暖化影響予測~(PDF)
2019-09-02
本学院環境起学専攻の先崎理之助教らの研究グループは,日本で繁殖する海鳥10種類の過去36年間の個体数変化を解析し,ウミガラスやエトピリカといった絶滅危惧種だけでなく,ウミネコやオオセグロカモメなどの,分布域が広く個体数が多いと思われていた種類も長期的に減少していることを明らかにしました。
本研究成果は,2019 年 8 月 28 日(水)公開の Bird Conservation International 誌でオンライン出版されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
日本で繁殖する主要海鳥種の個体数変化を初めて解明~ウミガラス・エトピリカ・ ウミネコ・オオセグロカモメの減少を確認~(PDF)
2019-08-06
本学院環境起学専攻の佐藤友徳准教授と中村哲博士研究員(地球環境科学研究院)の研究グループは,中・高緯度で近年しばしば発生する熱波の発生要因を解明するために,気候モデルによって再現された大量の過去気候データを解析し,過去のユーラシア大陸における夏の気温変動を,「地球温暖化に起因する気温変化」と「自然変動に起因する気温変化」に分離することに成功しました。
さらに,「自然変動に起因する気温変化」のうち,偏西風の蛇行に関連した,高温域と低温域が東西方向に交互に連なる波列状の気温分布が発生する要因を調べ,ユーラシア大陸における夏の気温パターンが北極域における晩冬~春の積雪深変動の影響を強く受けることを明らかにしました。波列状の気温分布が夏に卓越する年には,数か月前の晩冬~春の時点でロシア西部の積雪が普段に比べて多く,このような多雪の影響は,春の融雪を経た後には,高い土壌水分量として春から夏まで持続し,この地域の夏の気温を低温化します。地域的な低温化は偏西風の蛇行を促し,その周辺地域では反対に高温になりやすくなると考えられます。
中・高緯度帯では,日々の天気の移り変わりの早さに比べて,海洋や陸面状態(積雪や土壌水分など)は比較的ゆっくりと時間変化するため,その影響は長期間持続し,大気に継続的な影響を与える傾向があります。特に広大なユーラシア大陸では,陸面状態を詳細に調べることで,季節予報の精度向上が期待されます。また,本成果により北極域の陸面状態の変化が中・高緯度の夏の天候に影響を与えていることが明らかとなりました。これは,気候変動の要因分析において陸面環境と大気・海洋との相互作用系の理解が重要であることを指摘しています。
本研究は,文部科学省北極域研究推進プロジェクト「ArCS: Arctic Challenge for Sustainability Project」及び科学研究費補助金「日本およびアジア地域における過去の地域気候変動のアトリビューション」の一環として行われ,2019 年 7 月 26 日(金)公開の Scientific Reports 誌に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
北極域の積雪がユーラシア大陸の熱波を強めることを解明~雪氷圏のモニタリングによる夏の季節予報の改善を示唆~(PDF)
2019-07-30
本学院生物圏科学専攻の日浦勉教授(北方生物圏フィールド科学センター)らの研究グループは,気候変動によって原生状態の針広混交林に生育する針葉樹の割合が年々低下していることを明らかにしました。
気候変動は森林生態系に様々な影響を与えていると考えられていますが,樹種ごとの応答やそのメカニズムについてはまだ不明な点が多く,特に長期モニタリングデータに基づいた研究例はわずかです。
本研究では,北海道大学中川研究林の原生保存林において17.5ヘクタールに及ぶ森林の樹木1本1本を個体識別して成長や死亡などを約40年間モニタリングし,森林生態系の変化に対する気候変動や地形などの影響を調べました。その結果,夏期の気温上昇と降水量増加がトドマツなど針葉樹の成長に負の影響を与えている一方,イタヤカエデなど広葉樹の成長には正の影響を与えていることがわかりました。2004年の台風による死亡も,針葉樹でより深刻であることが判明しました。その結果,針葉樹の割合が約20%も減少した森林がありました。これらの結果は,気候変動によって森林の姿が大きく改変されるだけでなく,その機能にも影響を及ぼしてしまう可能性を示すものです。
本研究成果は,2019年7月22日(月)公開のForest Ecology and Management誌にオンライン掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
北海道の針葉樹は衰退している!~約40年間のモニタリングから原生林生態系への気候変動影響を解明~(PDF)
2019-07-30
本学院環境起学専攻の根岸淳二郎准教授,パシフィックコンサルタンツ株式会社の池田幸資さん(環境起学専攻で博士号を取得)らの研究グループは,水中に含まれる生物由来のDNA断片を分析する環境DNA解析により特定外来生物であるウチダザリガニが阿寒湖周辺に広域に分布していることを解明しました。
本研究成果は,2019年7月25日(木)公開のFreshwater Science誌に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
環境 DNA 解析により水を汲むだけで特定外来生物ウチダザリガニの分布拡大を把握(PDF)
2019-06-28
本学院生物圏科学専攻の工藤岳准教授とノルウェー北極大学のElisabeth Cooper教授は,春の雪解けが早まると春咲き植物(エゾエンゴサク)の開花日と,花粉運搬者であるマルハナバチの出現日が一致しなくなり,受粉に影響が出ることを明らかにしました。
地球温暖化は多くの生物の季節性に影響を及ぼすことが知られており,関連し合う生物種間の関係にも影響が及ぶ可能性が指摘されています。しかし,その実態とメカニズムについてはまだ不明な点が多く,特に植物と花粉媒介昆虫の季節撹乱に関する研究例はわずかです。
本研究では,北海道の森に生育する春咲き植物のエゾエンゴサクと,越冬直後にそれを蜜源として利用するマルハナバチの出現時期の同調性に着目し,春の雪解け時期と温度環境が両者の季節性にどのような影響をもたらすかを調べました。エゾエンゴサクの開花時期は雪解け時期に強く規定され, 雪解けが早い年には開花が早く起こります。一方で,地中で冬眠するマルハナバチは地温が6度に達した時に活動を始めることがわかりました。通常は開花時期とハチの出現時期は一致しますが,雪解けが異常に早く起こった年には植物の開花が先行し,その結果,受粉がうまく行われずに種子生産が低下することが判明しました。この結果は,温暖化により春の雪解けが早まると植物と花粉媒介昆虫の共生関係が崩壊するリスクが高まることを示唆するものです。
本研究成果は,協定世界時2019年6月12日(水)公開のProceedings of the Royal Society B誌に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
早い春の訪れは植物と送粉性昆虫との共生関係を破壊する~温暖化による生物の季節撹乱を解明~(PDF)
2019-04-22
本学院地球圏科学専攻のEvgeny Podolskiy助教(北極域研究センター),杉山慎教授(低温科学研究所)らの研究グループは,アウストラル大学(チリ)の箕輪昌紘研究員らと共同で,グリーンランド北西部のカービング氷河でカービングによって発生する津波を測定し,高い時間分解能で氷山の流出量を測定することに成功しました。
津波を使ったカービング観測は,同グループによって開発された手法で,今回初めてグリーンランドの氷河に応用しました。観測の結果,氷山の流出量が気温上昇,氷河加速,潮位変化に連動して増加することが明らかになりました。また,氷山の流出は氷河末端で失われる氷総量の20%に相当し,残りの80%は海中での融解によって生じることが示唆されました。これらの研究成果は,これまで困難であった氷山の流出量を測定する新しい手法を提案し,カービング氷河の変動に重要な役割を果たす氷河・海洋相互作用の理解を推し進めるものです。
なお,本研究成果は,2019年4月1日(月)公開のEarth and Planetary Science Letters誌に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
津波を使って氷河から流出する氷山の量を測定~グリーンランドで新しい観測手法を開発~(PDF)
2019-04-22
本学院生物圏科学専攻の宗原弘幸准教授(北方生物圏フィールド科学センター)は,大阪市立大学大学院理学研究科の安房田智司准教授らの研究グループとともに,他の生物に卵を預ける海産のカジカ科魚類8種について産卵宿主種(ホヤやカイメン)の特定に成功し,さらにはカジカ科魚類が産卵管を宿主種の種類や大きさに応じて進化させていることを世界で初めて発見しました。
今回の発見は,生態研究がほとんど進んでいない冷たい海域の動物の生態を知るうえで,非常に重要な成果と言えます。
本研究内容は2019年4月6日に海洋生物学の専門雑誌『Marine Biology』のオンライン版に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
ホヤに卵を預ける魚を初めて特定〜カジカ科魚類の産卵管と産卵行動は、産みつける宿主に応じて進化していた~(PDF)
2019-04-08
本学院地球圏科学専攻の飯塚芳徳准教授・北見工業大学の大野浩助教らの研究グループは,アラスカの地下氷(アイスウェッジ)に含まれるメタンスルホン酸イオン濃度から,過去の海洋環境の復元に世界で初めて成功しました。
同グループはアラスカ・バロー地域の永久凍土層内の地下氷に含まれるイオン種を分析し,いくつかあるイオン種のうちメタンスルホン酸イオンが過去の海洋生物由来物質であることを明らかにしました。メタンスルホン酸イオン濃度は約1万2700年前に起きた寒冷期(寒の戻り;ヤンガードリアス期)に高濃度であったことから,この寒冷期にも北極海アラスカ沖のビューフォート海が海氷によって閉ざされてはおらず,何らかの海洋生物の活動があったことが示唆されました。この寒冷期の北極海の海氷変動については様々な議論があり未だ結論は出ていません。北極圏の陸地のほとんどは地下氷を含む永久凍土であることから,今回の結果は,北極海の海氷変動を地下氷から復元する新しい環境指標(プロキシ)を提案したことになります。
この指標を用いて海氷面積変動のメカニズムが明らかになることで,近年の温暖化で著しく減少している北極海の海氷面積変動の将来予測の向上が期待されます。
本研究成果は,2019年3月26日(火)公開のEarth and Planetary Science Letters 誌にオンライン掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
世界で初めて地下氷から北極海の海洋環境を復元~北極海の海洋環境を包括的に復元する指標を提唱~(PDF)
2019-03-13
本学院地球圏科学専攻の杉山慎教授らの研究グループは,南米パタゴニアで湖に流れ込む氷河の水中観測に成功し,氷河の先端が水中でテラスのように突き出した様子を初めて確認しました。明らかになった氷河の形は,海水中で観測された結果とは大きく異なり,淡水に流れ込む氷河の変動メカニズムを知る上で重要な発見です。水中の氷には浮力がはたらくため,氷河の先端部分に大きな力がかかって崩壊する可能性が高まります。今回観測した氷河でも実際にそのような崩壊現象が起き,浮き上がってきた水中の氷を直接確認することに成功しました。
この研究結果は,これまでほとんど知られていなかった氷河の水中形状を明らかにし,氷河末端の崩壊メカニズムを新しく提案するものです。世界で氷河の融解が進む中,パタゴニアをはじめ多くの地域にみられる,湖に流入する氷河について,その変動メカニズムの理解につながるものと期待されます。
本研究成果は,2019年2月12日(火)公開の Geophysical Research Letter 誌に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
水中に突き出した氷が氷河の崩壊を引き起こす~南米パタゴニアで氷河の水中観測に成功~(PDF)
2019-03-13
社会性昆虫であるシロアリのコロニーでは,一部の個体が巨大化した大顎を持つ兵隊に分化し,防衛を行います。今回,本学院生物圏科学専攻の越川滋行准教授,大学院生(当時)の杉目康広さん,学術研究員の後藤寛貴さんらは,東京大学などの研究者らとともに,シロアリが兵隊へ分化する際に環境情報を伝達するホルモンの下流でダックスフンド遺伝子の発現が上昇することで大顎伸長が起こることを明らかにしました。この研究成果は,体の部位の大きさがどのようにして決まるのかという発生学の重要な課題に対して,環境情報を伝達するホルモンと体のつくりを規定する遺伝子の関係性を明確に示したものです。遺伝子と環境要因がどのようにして生物の形を作るのかを明らかとした本研究成果は,動物の表現型の進化や環境要因による表現型可塑性の機構を理解する上で重要な知見となることが期待されます。
本研究成果は,英国の科学雑誌Development誌に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
兵隊シロアリの大顎を伸ばすダックスフンド遺伝子:環境要因と形態形成を繋ぐ(PDF)
2019-03-07
地球環境科学研究院の中村哲博士研究員と山﨑孝治名誉教授は,三重大学ならびに新潟大学の研究者らとともに,北極振動と南極振動と呼ばれる現象が同期して変動していることを発見しました。北極振動は日本の寒冬や猛暑を引き起こし,南極振動はオゾンホールと関連します。北極と南極は地理学的に互いに最も遠くに位置していることから,北極振動と南極振動の同期した変動を調べた研究はこれまでありませんでした。多発する異常気象のいくつかは北極振動が原因であり,日本の異常気象が遠い南極と関係を持つことを初めて示唆した研究です。上空のオゾン層が北極振動と南極振動の同期の仲立ちとなっていると考えています。
本研究成果は,2018年12月28日にアメリカ・地球物理連合の学術誌Geophysical Research Letters誌に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
日本の異常気象が遠く南極に関係がある―北極振動と南極振動が一緒に変動していることを発見―(PDF)
2019-01-30
本学院生物圏科学専攻の山口良文教授(低温科学研究所)らの共同研究グループは餌を貯蔵しながら冬眠する哺乳類シリアンハムスターが,冬眠時,エネルギーを蓄える機能をもつ白色脂肪組織において,脂肪を合成する同化系と分解する異化系の両方を著しく増強させることを解明しました。
冬眠する哺乳類は,長い冬眠の間,体内に貯蔵した大量の脂肪を効率的に燃焼させてエネルギーを取り出すと考えられていますが,その仕組みは多くの点が不明です。本研究の成果は,この仕組みに迫ることで肥満症や生活習慣病の理解にも新たな視座を与えうるものです。
本研究成果は,英国時間 2019 年 1 月 28 日(月)公開のFrontiers in Physiology誌に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
冬眠ハムスターの白色脂肪組織に冬支度の秘密をみる~肥満や生活習慣病予防へも新たな視座~(PDF)
2019-01-25
本学院環境物質科学専攻の中村貴義教授(電子科学研究所)らの国際共同研究チームは塩酸などの有害な強酸の水溶液や蒸気に対して,色や蛍光発光のON/OFF が変化する外部刺激応答性の有機多孔質材料「水素結合性有機フレームワーク(HOF(Hydrogen-bonded Organic Framework))」の開発に成功しました。
本研究成果は,2019 年1月7日(月)公開のアメリカ化学会誌 Journal of the American Chemical Society 誌にオンライン版として掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
強酸を色で知らせる有機多孔質材料の開発に成功~物質吸蔵性と外部刺激応答性を併せ持つ新素材開発に道筋~(PDF)
2019-01-15
本学院環境起学専攻の佐藤友徳准教授(地球環境科学研究院)は国立研究開発法人海洋研究開発機構(以下「JAMSTEC」)気候変動適応技術開発プロジェクトチームおよび気象庁気象研究所とともに,文部科学省地球観測技術等調査研究委託事業「気候変動適応技術社会実装プログラム」に参画し,海洋地球科学分野等で利用されてきたJAMSTEC のスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」を用い,工業化以降の世界平均地上気温が 2℃上昇した気候状態を対象として,多数の高解像度温暖化シミュレーションを実施しました。ここで注目した気候状態は追加的な緩和努力を行わない場合の近未来(2030~2050 年頃) のものに相当します。シミュレーション出力を解析した結果から,「パリ協定」に準拠した国際的な温暖化緩和・抑制に向けた取り組みが機能したとしても,近未来気候においては極端な降水(年最大日降水量)の強度は増大する可能性が高いことが分かりました。また,連続して降水が無い期間(連続無降水日数)も増大する結果となりました。
これまでに温暖化の進行とともに降水量が増加し,降水現象がより極端になることが報告されていますが,数十年に 1 回の割合でしか起こらないような低頻度の極端な気象現象が将来どの程度変化するのか,特に近い将来の変化については防災や農業等の気候変動適応策の観点からも確度の高い予測が欠かせません。本研究の実験で作成された近未来気候予測データベースは,降水のみならず様々な極端現象の将来変化の評価及び適応策の検討のために活用されることが期待されています。
本成果は1月10日付けで科学誌「Geophysical Research Letters」に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
近未来気候でも豪雨はより強くなり連続無降水日は増加する―気候変動適応策の礎となる近未来気候予測データベースから導かれた成果―(PDF)
2018-11-07
本学院生物圏科学専攻の岸田治准教授(北方生物圏フィールド科学センター)と修士課程修了生のEvangelia Kazilaさんが,北海道在来の両生類の幼生が本州から北海道へ移入された国内外来種のアズマヒキガエルの幼生を捕食すると,強い毒性により中毒死することを実証しました。
本研究成果は,協定世界時2018年11月5日(月)公開のFreshwater Biology誌に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
本州から来たヒキガエルが北海道の両生類を殺す~国内外来種の脅威を示唆~(PDF)
2018-11-06
本学院生物圏科学専攻の大舘智志助教(低温科学研究所)らの研究グループが,日本固有種ニホンジネズミ(トガリネズミ科)の分布域全域からのサンプルを用いた遺伝型の分布調査により,日本列島の東西における分布状況を解明し,北海道と韓国済州島におけるニホンジネズミが人間活動によって移入されたことを明らかにしました。
本研究成果は,2018年10月19日付け公開のMammal Study誌にオンライン掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
2つの海峡を渡った日本固有種ニホンジネズミ~北海道と韓国済州島への人為的移動~(PDF)
2018-10-16
本学院生物圏科学専攻の小泉逸郎准教授(地球環境科学研究院)、本学院の修了生でもある油田照秋さん(山科鳥類研究所)、乃美大佑さんらの研究グループは,シジュウカラのメスが,直前の繁殖に失敗すると“つがい外父性”(浮気)率を高めることを野外実験で実証しました。
本研究成果は,2018年10月5日付け公開の行動生態学の専門誌 Behavioral Ecologyに掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
メスの浮気は確実な受精のため~シジュウカラ したたかな戦略~(PDF)
2018-10-16
本学院地球圏科学専攻の宮崎雄三助教、西岡純准教授(低温科学研究所)、山下洋平准教授、鈴木光次教授(地球環境科学研究院)らの研究グループは,西部北太平洋での船舶による大気と海水の同時観測から,海しぶきによって海水から大気の微粒子(エアロゾル)へ移行する有機物に著しい組成の変化が起きていることを発見しました。本成果は,温暖化等による海洋表層の微生物の量,組成,活性の変化が,有機物の大気への放出を通して雲の生成に影響することで起こる将来的な気候影響を精度よく評価する上で,重要な知見となることが期待されます。
本研究成果は,2018年10月5日付け(英国時間)でScientific Reports誌に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
海しぶきで大気に舞う有機物の化学組成は著しく変化する~海洋の微生物が大気を通して気候変動へ与える影響の解明に期待~(PDF)
論文PDFは『Scientific Reports』誌公式サイトからどなたでも無料でダウンロードできます。
Chemical transfer of dissolved organic matter from surface seawater to sea spray water-soluble organic aerosol in the marine atmosphere(PDF)(学外サイト)
2018-09-28
本学院生物圏科学専攻の隅田明洋准教授,地球圏科学専攻の渡辺力教授(共に低温科学研究所)は,龍谷大学の宮浦富保教授と共同で,葉量の年々変動の程度や変動の要因となる気象要因について,常緑樹林として世界で初めて明らかにしました。本成果は,気候変動の影響を予測するための,森林の葉面積指数や 二酸化炭素吸収に関する知見を組み込んだ影響予測モデルへの貢献が期待されます。
本研究成果は,2018年9月11日公開のScientific Reports誌に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
常緑針葉樹林の葉量の年ごとの変動と気象の関係を解明~地球環境予測モデルへの貢献に期待~(PDF)
論文PDFは『Scientific Reports』誌公式サイトからどなたでも無料でダウンロードできます。
Interannual variability of leaf area index of an evergreen conifer stand was affected by carry-over effects from recent climate conditions(PDF)(学外サイト)
2018-09-28
本学院地球圏科学専攻の力石嘉人教授(低温科学研究所)は,海洋研究開発機構,東京大学,産業技術総合研究所,ドイツ・連邦地質調査所の研究者らと共同で,黒海の深海底に棲息し,温室効果ガスである「メタン(CH4)」を高効率で消費(分解)する微生物から,アミノ酸中央代謝に関する生化学反応及び炭素12を選択的に濃縮したアミノ酸分子の炭素同位体組成を明らかにしました。
本研究成果は,2018年9月24日付け(日本時間)でScientific Reports誌に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
深海底のメタンを消費する始原的な生命の代謝機構を発見~炭素12の同位体濃縮効果による地球上で最も軽いアミノ酸の形成~(PDF)
論文PDFは『Scientific Reports』誌公式サイトからどなたでも無料でダウンロードできます。
Insight into anaerobic methanotrophy from 13C/12C- amino acids and 14C/12C-ANME cells in seafloor microbial ecology(PDF)(学外サイト)
2015-07-29
平成27年7月14日付で、下記研究成果に関するプレスリリースを行いましたので、お知らせいたします。
昆虫の共生のための細胞がどのようにできるかを解明 −形態形成遺伝子の転用による細胞の発生と進化−(PDF)
2015-07-29
平成27年6月22日付で、下記研究成果に関するプレスリリースを行いましたので、お知らせいたします。
札幌の都市化が気温の長期変化に及ぼす影響の評価(PDF)
2015-07-29
平成27年6月16日付で、下記研究成果に関するプレスリリースを行いましたので、お知らせいたします。
サンショウウオの形態変化を引き起こす分子メカニズムの一端を解明(PDF)