北海道大学 大学院 環境科学院

環境科学の座標軸を提示する

九州・パラオ海嶺に過去 2000 万年間の連続的な堆積物があることを発見

2019-09-25

本学院地球圏科学専攻の関宰准教授は,高知大学海洋コア総合研究センターの松井浩紀特任助教,池原実教授らと共に,九州付近から沖ノ鳥島を経てミクロネシアのパラオ付近に至る南北 3000 km に渡る海底山脈である九州・パラオ海嶺で 1973 年に採取された Site 296 海洋コアを再解析しました。レガシー試料である Site 296 海洋コアは黒潮流路に近い九州・パラオ海嶺の北端から採取されたことから,黒潮の長期的な変遷を記録していると期待されます。コアレポジトリーの適切な保管・管理により,46 年の時を経たのちも Site 296 海洋コアを全く問題なく解析に資することができました。Site 296 海洋コアに含まれる微小なプランクトン化石の産出状況を再解析するとともに,ストロンチウム同位体比と炭素・酸素安定同位体比を統合することで,掘削当時は発展途上で十分に確立できていなかった Site 296 海洋コアの年代モデル(微化石層序・地球化学層序)を 46 年ぶりに再編することができました。この成果により Site 296 海洋コアが過去2000 万年間の海洋環境を連続的に記録した,北太平洋における極めて貴重な試料であることを明らかにしました。こうした過去 2000 万年間にわたって連続的に堆積した海洋コア試料は北太平洋では極めて稀であり,黒潮の流域では Site 296 海洋コアが唯一の報告例です。特に,現在よりも顕著に温暖だった時代における黒潮の流路や強さを解明していく上で,過去 3000 万年間において最も温暖な時代であったとされる中期中新世(約 1600 万年前〜1160 万年前)の連続的な試料は貴重で,今後も Site 296海洋コアの活用が期待されます。

 

本成果は学術誌「Newsletters on Stratigraphy」オンライン版に 2019 年 9⽉20⽇に掲載されました。

 

詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。

九州・パラオ海嶺に過去 2000 万年間の連続的な堆積物があることを発見―1973 年に掘削されたレガシー試料の再解析―(PDF)

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