北海道大学 大学院 環境科学院

環境科学の座標軸を提示する

近未来気候でも豪雨はより強くなり連続無降水日は増加する

2019-01-15

本学院環境起学専攻の佐藤友徳准教授(地球環境科学研究院)は国立研究開発法人海洋研究開発機構(以下「JAMSTEC」)気候変動適応技術開発プロジェクトチームおよび気象庁気象研究所とともに,文部科学省地球観測技術等調査研究委託事業「気候変動適応技術社会実装プログラム」に参画し,海洋地球科学分野等で利用されてきたJAMSTEC のスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」を用い,工業化以降の世界平均地上気温が 2℃上昇した気候状態を対象として,多数の高解像度温暖化シミュレーションを実施しました。ここで注目した気候状態は追加的な緩和努力を行わない場合の近未来(2030~2050 年頃) のものに相当します。シミュレーション出力を解析した結果から,「パリ協定」に準拠した国際的な温暖化緩和・抑制に向けた取り組みが機能したとしても,近未来気候においては極端な降水(年最大日降水量)の強度は増大する可能性が高いことが分かりました。また,連続して降水が無い期間(連続無降水日数)も増大する結果となりました。

これまでに温暖化の進行とともに降水量が増加し,降水現象がより極端になることが報告されていますが,数十年に 1 回の割合でしか起こらないような低頻度の極端な気象現象が将来どの程度変化するのか,特に近い将来の変化については防災や農業等の気候変動適応策の観点からも確度の高い予測が欠かせません。本研究の実験で作成された近未来気候予測データベースは,降水のみならず様々な極端現象の将来変化の評価及び適応策の検討のために活用されることが期待されています。

 

本成果は1月10日付けで科学誌「Geophysical Research Letters」に掲載されました。

 

詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。

近未来気候でも豪雨はより強くなり連続無降水日は増加する―気候変動適応策の礎となる近未来気候予測データベースから導かれた成果―(PDF)

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