20年間にわたる煤(すす)粒子の地表面沈着量の変遷を測定
2020-03-19本学院地球圏科学専攻の安成哲平助教(北極域研究センター)は,本学工学研究院,産業技術総合研究所らの研究者とともに,北海道札幌市と利尻島での元素状炭素 (煤) 粒子の地表面への沈着量の20年間の変遷を分析により初めて明らかにし,沈着量の年ごとの変化は非常に大きかったことを発見しました。今回,地方自治体の研究機関による酸性雨の研究で使用され長期間保存されていた薄膜フィルターに注目し,そこに捕集された煤の抽出・分析法を考案しました。煤粒子の地表面への沈着量の20年間の変遷を みると,2000~2001年の黄砂の大量飛来時には,煤粒子の沈着量が大幅に増大しており,煤を含む大気汚染物質が国内の高緯度地域に黄砂と同時に大量に輸送されていた可能性が示唆されました。雪氷面に煤が沈着すると太陽光の反射率を低下させて熱収支を変化させ,気候に影響を与えるが,今回,煤粒子沈着量の年々変動が非常に大きかったことから,短期間の沈着量データのみの利用では気候モデルによる沈着量検証の際に問題が生じる可能性が提示された。
なお,本研究成果は,2020年3月18日(英国夏時間)に論文誌Scientific Reportsに掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
20年間にわたる煤(すす)粒子の地表面沈着量の変遷を測定-積雪汚染による気候影響の評価・予測計算を検証する新たな長期データを提供-(PDF)