北海道大学 大学院 環境科学院

環境科学の座標軸を提示する

水が炭化水素ガスを見分けることを発見~ガス分離の省エネルギー化に期待~

2020-02-27

本学院環境起学専攻の野呂真一郎教授(地球環境科学研究院),環境物質科学専攻の中村貴義教授(電子科学研究所)らの国際研究グループは,水分子が共存しても炭化水素ガスを分離できることを明らかにしました。

 

プロピレンやエチレンなど分子内に二重結合をもつ炭化水素ガス(アルケン)は,我々の身の回りで使われているプラスチックや化学繊維など様々な化成品の原料として重要です。このアルケンガスを精製するためには,一緒に含まれているプロパンやエタンなどの性質のよく似た別の炭化水素ガス(アルカン)から分離する必要があります。現状は多くのエネルギーが必要でコストがかかる蒸留法により精製されており,多孔性材料を用いた分離法が近年省エネ型分離法として注目されてきました。一方で,通常の大気のように水蒸気が存在すると多孔性材料の分離性能が悪くなると言われてきましたが,それを確認した例はこれまでありませんでした。

 

本研究では,プロピレンを選択的に分離できる多孔性材料に水を含ませた状態で実験を行い,水が存在していてもプロピレン分離性能がほぼ維持されることを世界で初めて実証しました。また,水分子自体が新たなプロピレン認識部位として働いていることを理論計算によって示しました。本研究成果は,コストがかかる水の分離プロセスを必要としない新たな省エネ型炭化水素ガス分離法としての応用展開が期待されます。

 

なお,本研究成果は,2020127日(月)公開のACS Applied Materials & Interfaces 誌にオンライン掲載されました。また,本研究は,文部科学省科学研究費補助金「基盤研究B(17H03026),「二国間交流事業(ドイツ(DAAD)との共同研究)」,「人・環境と物質をつなぐイノベーション創出ダイナミック・アライアンス」による支援を受けて行われました。

 

詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。

水が炭化水素ガスを見分けることを発見~ガス分離の省エネルギー化に期待~(PDF)

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