北海道の針葉樹は衰退している!~約40年間のモニタリングから原生林生態系への気候変動影響を解明~
2019-07-30本学院生物圏科学専攻の日浦勉教授(北方生物圏フィールド科学センター)らの研究グループは,気候変動によって原生状態の針広混交林に生育する針葉樹の割合が年々低下していることを明らかにしました。
気候変動は森林生態系に様々な影響を与えていると考えられていますが,樹種ごとの応答やそのメカニズムについてはまだ不明な点が多く,特に長期モニタリングデータに基づいた研究例はわずかです。
本研究では,北海道大学中川研究林の原生保存林において17.5ヘクタールに及ぶ森林の樹木1本1本を個体識別して成長や死亡などを約40年間モニタリングし,森林生態系の変化に対する気候変動や地形などの影響を調べました。その結果,夏期の気温上昇と降水量増加がトドマツなど針葉樹の成長に負の影響を与えている一方,イタヤカエデなど広葉樹の成長には正の影響を与えていることがわかりました。2004年の台風による死亡も,針葉樹でより深刻であることが判明しました。その結果,針葉樹の割合が約20%も減少した森林がありました。これらの結果は,気候変動によって森林の姿が大きく改変されるだけでなく,その機能にも影響を及ぼしてしまう可能性を示すものです。
本研究成果は,2019年7月22日(月)公開のForest Ecology and Management誌にオンライン掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。