環境科学院について
学院長あいさつ
環境科学院は、1977年に国内の大学で初めて「環境科学」を冠した大学院として設立された環境科学研究科を前身とし、地球環境科学研究科の時代を経て、2005年に現在の4専攻体制に整備されました。この間、環境科学に関する研究は、地球環境に関する諸問題の実態の把握、背景となるメカニズムの解明、問題の解決方法について多くの科学的成果を提示し、SDGsの背景となる地球環境の持続可能性について理解を深めてきました。一方で、全球規模での環境問題及びそれらの地域的な格差はますます深刻となっており、環境科学に対する社会的要請はさらに高まっています。
環境科学は既存の自然科学を基盤とし、社会科学や人文科学とも強く連関する総合的な学術です。このため、環境科学の研究は、時空を超えた普遍的で新たな自然科学の知見を提示することと同時に、21世紀の環境問題に向き合う視点で学術活動を推進することとの両立が求められます。
高度に専門化された既存の自然科学分野の土俵には、それぞれ独自の座標軸に応じたpeer-reviewの制度があり、個々の研究の科学的意義が学術コミュニティから担保されながら科学は発展していきます。しかしながら、環境科学は新しい学問であるために、その座標軸を既存の学術分野に委ねてきて、自らの座標軸を自ら定めることにあまり熱心でなかったように思います。
本学院の4専攻が体現するように、多様で広範な環境科学のすべての学術活動を包摂する1つの座標軸を短期間で定めることは容易なことではありません。しかし、21世紀はすでに1/5を過ぎ、「北大の環境科学」は不惑の年代を迎え、環境科学は2030年のSDG達成後のさらに先を見据える時期にきています。環境科学を志す学生と教員それぞれが自由に座標軸を提示し、大いに議論して、確立する。そのような取り組みに、今から環境科学を始めようとする学生の皆さんにも参加してくださることを期待します。
充実した教育を提供
- 環境科学院は、北海道大学の7つの研究院・研究所・センター(教員が属する組織)の教員が関わる学院(大学院生が属する組織)です。
- 多様な研究分野と教育資源、広大な研究林・最先端の計測機器などを有しており、南極学カリキュラムに代表されるユニークな取り組みも行っています。
学生の多様性と柔軟な教育進路
さまざまな経歴を持つ学生を受け入れます
- 環境科学の基盤学問学部を卒業した学生に加え、経済学や医学といった他分野出身の学生も基礎学力に基づいて評価し、広く受入れます。
- 社会人を受入れるため、長期履修制度を設けています。
- 外国人留学生には、英語による体系的な授業により、英語のみで修了できる体制を整えています(EPEES)。
柔軟な教育進路
- 基盤専攻の修士課程と博士後期課程で、環境科学の基盤となる学問領域に集中する。
- 基盤専攻修士課程の後、環境起学専攻博士後期課程で目的指向型の研究を通じた教育を受ける。
- 修士入学時から一貫して、環境起学専攻で目的指向型研究を行い博士をとる。
- 環境起学専攻の修士課程で、環境問題に対する広い視点を養う。