プレスリリース
2019-04-08
本学院地球圏科学専攻の飯塚芳徳准教授・北見工業大学の大野浩助教らの研究グループは,アラスカの地下氷(アイスウェッジ)に含まれるメタンスルホン酸イオン濃度から,過去の海洋環境の復元に世界で初めて成功しました。
同グループはアラスカ・バロー地域の永久凍土層内の地下氷に含まれるイオン種を分析し,いくつかあるイオン種のうちメタンスルホン酸イオンが過去の海洋生物由来物質であることを明らかにしました。メタンスルホン酸イオン濃度は約1万2700年前に起きた寒冷期(寒の戻り;ヤンガードリアス期)に高濃度であったことから,この寒冷期にも北極海アラスカ沖のビューフォート海が海氷によって閉ざされてはおらず,何らかの海洋生物の活動があったことが示唆されました。この寒冷期の北極海の海氷変動については様々な議論があり未だ結論は出ていません。北極圏の陸地のほとんどは地下氷を含む永久凍土であることから,今回の結果は,北極海の海氷変動を地下氷から復元する新しい環境指標(プロキシ)を提案したことになります。
この指標を用いて海氷面積変動のメカニズムが明らかになることで,近年の温暖化で著しく減少している北極海の海氷面積変動の将来予測の向上が期待されます。
本研究成果は,2019年3月26日(火)公開のEarth and Planetary Science Letters 誌にオンライン掲載されました。
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世界で初めて地下氷から北極海の海洋環境を復元~北極海の海洋環境を包括的に復元する指標を提唱~(PDF)
2019-03-13
本学院地球圏科学専攻の杉山慎教授らの研究グループは,南米パタゴニアで湖に流れ込む氷河の水中観測に成功し,氷河の先端が水中でテラスのように突き出した様子を初めて確認しました。明らかになった氷河の形は,海水中で観測された結果とは大きく異なり,淡水に流れ込む氷河の変動メカニズムを知る上で重要な発見です。水中の氷には浮力がはたらくため,氷河の先端部分に大きな力がかかって崩壊する可能性が高まります。今回観測した氷河でも実際にそのような崩壊現象が起き,浮き上がってきた水中の氷を直接確認することに成功しました。
この研究結果は,これまでほとんど知られていなかった氷河の水中形状を明らかにし,氷河末端の崩壊メカニズムを新しく提案するものです。世界で氷河の融解が進む中,パタゴニアをはじめ多くの地域にみられる,湖に流入する氷河について,その変動メカニズムの理解につながるものと期待されます。
本研究成果は,2019年2月12日(火)公開の Geophysical Research Letter 誌に掲載されました。
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水中に突き出した氷が氷河の崩壊を引き起こす~南米パタゴニアで氷河の水中観測に成功~(PDF)
2019-03-13
社会性昆虫であるシロアリのコロニーでは,一部の個体が巨大化した大顎を持つ兵隊に分化し,防衛を行います。今回,本学院生物圏科学専攻の越川滋行准教授,大学院生(当時)の杉目康広さん,学術研究員の後藤寛貴さんらは,東京大学などの研究者らとともに,シロアリが兵隊へ分化する際に環境情報を伝達するホルモンの下流でダックスフンド遺伝子の発現が上昇することで大顎伸長が起こることを明らかにしました。この研究成果は,体の部位の大きさがどのようにして決まるのかという発生学の重要な課題に対して,環境情報を伝達するホルモンと体のつくりを規定する遺伝子の関係性を明確に示したものです。遺伝子と環境要因がどのようにして生物の形を作るのかを明らかとした本研究成果は,動物の表現型の進化や環境要因による表現型可塑性の機構を理解する上で重要な知見となることが期待されます。
本研究成果は,英国の科学雑誌Development誌に掲載されました。
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兵隊シロアリの大顎を伸ばすダックスフンド遺伝子:環境要因と形態形成を繋ぐ(PDF)
2019-03-07
地球環境科学研究院の中村哲博士研究員と山﨑孝治名誉教授は,三重大学ならびに新潟大学の研究者らとともに,北極振動と南極振動と呼ばれる現象が同期して変動していることを発見しました。北極振動は日本の寒冬や猛暑を引き起こし,南極振動はオゾンホールと関連します。北極と南極は地理学的に互いに最も遠くに位置していることから,北極振動と南極振動の同期した変動を調べた研究はこれまでありませんでした。多発する異常気象のいくつかは北極振動が原因であり,日本の異常気象が遠い南極と関係を持つことを初めて示唆した研究です。上空のオゾン層が北極振動と南極振動の同期の仲立ちとなっていると考えています。
本研究成果は,2018年12月28日にアメリカ・地球物理連合の学術誌Geophysical Research Letters誌に掲載されました。
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日本の異常気象が遠く南極に関係がある―北極振動と南極振動が一緒に変動していることを発見―(PDF)
2019-01-30
本学院生物圏科学専攻の山口良文教授(低温科学研究所)らの共同研究グループは餌を貯蔵しながら冬眠する哺乳類シリアンハムスターが,冬眠時,エネルギーを蓄える機能をもつ白色脂肪組織において,脂肪を合成する同化系と分解する異化系の両方を著しく増強させることを解明しました。
冬眠する哺乳類は,長い冬眠の間,体内に貯蔵した大量の脂肪を効率的に燃焼させてエネルギーを取り出すと考えられていますが,その仕組みは多くの点が不明です。本研究の成果は,この仕組みに迫ることで肥満症や生活習慣病の理解にも新たな視座を与えうるものです。
本研究成果は,英国時間 2019 年 1 月 28 日(月)公開のFrontiers in Physiology誌に掲載されました。
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冬眠ハムスターの白色脂肪組織に冬支度の秘密をみる~肥満や生活習慣病予防へも新たな視座~(PDF)
2019-01-25
本学院環境物質科学専攻の中村貴義教授(電子科学研究所)らの国際共同研究チームは塩酸などの有害な強酸の水溶液や蒸気に対して,色や蛍光発光のON/OFF が変化する外部刺激応答性の有機多孔質材料「水素結合性有機フレームワーク(HOF(Hydrogen-bonded Organic Framework))」の開発に成功しました。
本研究成果は,2019 年1月7日(月)公開のアメリカ化学会誌 Journal of the American Chemical Society 誌にオンライン版として掲載されました。
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強酸を色で知らせる有機多孔質材料の開発に成功~物質吸蔵性と外部刺激応答性を併せ持つ新素材開発に道筋~(PDF)
2019-01-15
本学院環境起学専攻の佐藤友徳准教授(地球環境科学研究院)は国立研究開発法人海洋研究開発機構(以下「JAMSTEC」)気候変動適応技術開発プロジェクトチームおよび気象庁気象研究所とともに,文部科学省地球観測技術等調査研究委託事業「気候変動適応技術社会実装プログラム」に参画し,海洋地球科学分野等で利用されてきたJAMSTEC のスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」を用い,工業化以降の世界平均地上気温が 2℃上昇した気候状態を対象として,多数の高解像度温暖化シミュレーションを実施しました。ここで注目した気候状態は追加的な緩和努力を行わない場合の近未来(2030~2050 年頃) のものに相当します。シミュレーション出力を解析した結果から,「パリ協定」に準拠した国際的な温暖化緩和・抑制に向けた取り組みが機能したとしても,近未来気候においては極端な降水(年最大日降水量)の強度は増大する可能性が高いことが分かりました。また,連続して降水が無い期間(連続無降水日数)も増大する結果となりました。
これまでに温暖化の進行とともに降水量が増加し,降水現象がより極端になることが報告されていますが,数十年に 1 回の割合でしか起こらないような低頻度の極端な気象現象が将来どの程度変化するのか,特に近い将来の変化については防災や農業等の気候変動適応策の観点からも確度の高い予測が欠かせません。本研究の実験で作成された近未来気候予測データベースは,降水のみならず様々な極端現象の将来変化の評価及び適応策の検討のために活用されることが期待されています。
本成果は1月10日付けで科学誌「Geophysical Research Letters」に掲載されました。
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近未来気候でも豪雨はより強くなり連続無降水日は増加する―気候変動適応策の礎となる近未来気候予測データベースから導かれた成果―(PDF)
2018-11-07
本学院生物圏科学専攻の岸田治准教授(北方生物圏フィールド科学センター)と修士課程修了生のEvangelia Kazilaさんが,北海道在来の両生類の幼生が本州から北海道へ移入された国内外来種のアズマヒキガエルの幼生を捕食すると,強い毒性により中毒死することを実証しました。
本研究成果は,協定世界時2018年11月5日(月)公開のFreshwater Biology誌に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
本州から来たヒキガエルが北海道の両生類を殺す~国内外来種の脅威を示唆~(PDF)
2018-11-06
本学院生物圏科学専攻の大舘智志助教(低温科学研究所)らの研究グループが,日本固有種ニホンジネズミ(トガリネズミ科)の分布域全域からのサンプルを用いた遺伝型の分布調査により,日本列島の東西における分布状況を解明し,北海道と韓国済州島におけるニホンジネズミが人間活動によって移入されたことを明らかにしました。
本研究成果は,2018年10月19日付け公開のMammal Study誌にオンライン掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
2つの海峡を渡った日本固有種ニホンジネズミ~北海道と韓国済州島への人為的移動~(PDF)
2018-10-16
本学院生物圏科学専攻の小泉逸郎准教授(地球環境科学研究院)、本学院の修了生でもある油田照秋さん(山科鳥類研究所)、乃美大佑さんらの研究グループは,シジュウカラのメスが,直前の繁殖に失敗すると“つがい外父性”(浮気)率を高めることを野外実験で実証しました。
本研究成果は,2018年10月5日付け公開の行動生態学の専門誌 Behavioral Ecologyに掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
メスの浮気は確実な受精のため~シジュウカラ したたかな戦略~(PDF)
2018-10-16
本学院地球圏科学専攻の宮崎雄三助教、西岡純准教授(低温科学研究所)、山下洋平准教授、鈴木光次教授(地球環境科学研究院)らの研究グループは,西部北太平洋での船舶による大気と海水の同時観測から,海しぶきによって海水から大気の微粒子(エアロゾル)へ移行する有機物に著しい組成の変化が起きていることを発見しました。本成果は,温暖化等による海洋表層の微生物の量,組成,活性の変化が,有機物の大気への放出を通して雲の生成に影響することで起こる将来的な気候影響を精度よく評価する上で,重要な知見となることが期待されます。
本研究成果は,2018年10月5日付け(英国時間)でScientific Reports誌に掲載されました。
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海しぶきで大気に舞う有機物の化学組成は著しく変化する~海洋の微生物が大気を通して気候変動へ与える影響の解明に期待~(PDF)
論文PDFは『Scientific Reports』誌公式サイトからどなたでも無料でダウンロードできます。
Chemical transfer of dissolved organic matter from surface seawater to sea spray water-soluble organic aerosol in the marine atmosphere(PDF)(学外サイト)
2018-09-28
本学院生物圏科学専攻の隅田明洋准教授,地球圏科学専攻の渡辺力教授(共に低温科学研究所)は,龍谷大学の宮浦富保教授と共同で,葉量の年々変動の程度や変動の要因となる気象要因について,常緑樹林として世界で初めて明らかにしました。本成果は,気候変動の影響を予測するための,森林の葉面積指数や 二酸化炭素吸収に関する知見を組み込んだ影響予測モデルへの貢献が期待されます。
本研究成果は,2018年9月11日公開のScientific Reports誌に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
常緑針葉樹林の葉量の年ごとの変動と気象の関係を解明~地球環境予測モデルへの貢献に期待~(PDF)
論文PDFは『Scientific Reports』誌公式サイトからどなたでも無料でダウンロードできます。
Interannual variability of leaf area index of an evergreen conifer stand was affected by carry-over effects from recent climate conditions(PDF)(学外サイト)
2018-09-28
本学院地球圏科学専攻の力石嘉人教授(低温科学研究所)は,海洋研究開発機構,東京大学,産業技術総合研究所,ドイツ・連邦地質調査所の研究者らと共同で,黒海の深海底に棲息し,温室効果ガスである「メタン(CH4)」を高効率で消費(分解)する微生物から,アミノ酸中央代謝に関する生化学反応及び炭素12を選択的に濃縮したアミノ酸分子の炭素同位体組成を明らかにしました。
本研究成果は,2018年9月24日付け(日本時間)でScientific Reports誌に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
深海底のメタンを消費する始原的な生命の代謝機構を発見~炭素12の同位体濃縮効果による地球上で最も軽いアミノ酸の形成~(PDF)
論文PDFは『Scientific Reports』誌公式サイトからどなたでも無料でダウンロードできます。
Insight into anaerobic methanotrophy from 13C/12C- amino acids and 14C/12C-ANME cells in seafloor microbial ecology(PDF)(学外サイト)
2015-07-29
平成27年7月14日付で、下記研究成果に関するプレスリリースを行いましたので、お知らせいたします。
昆虫の共生のための細胞がどのようにできるかを解明 −形態形成遺伝子の転用による細胞の発生と進化−(PDF)
2015-07-29
平成27年6月22日付で、下記研究成果に関するプレスリリースを行いましたので、お知らせいたします。
札幌の都市化が気温の長期変化に及ぼす影響の評価(PDF)
2015-07-29
平成27年6月16日付で、下記研究成果に関するプレスリリースを行いましたので、お知らせいたします。
サンショウウオの形態変化を引き起こす分子メカニズムの一端を解明(PDF)