白金系合金(PGM)は、優れた酸素還元反応(ORR)活性を有しており、固体高分子形燃料電池(PEFC)のカソード触媒として研究されてきました。特に最近では米国アルゴンヌ国立研究所のグループによるPtNiナノフレーム(PtNiNF)の報告以降、ナノ構造化電極触媒の耐久性やORR活性が注目され、当研究室でもPtNiNF以外にPtNiナノワイヤ(PtNiNW)に関する研究を進めています。
これまで、PtNi-NFを窒素ドープしたカーボン担体に固定することでORR活性と耐久性がさらに向上すること、PtNiNFのin situ XAFS計測、PtNi-NWが電位サイクル試験によって一旦ORR性能を向上しており、それが担体上での枝状構造の形成に依ること、などを報告してきました。最近ではPt合金NWの水素酸化反応(HOR)への応用にも着手しています。
また、PtNiNFにIrを加えたPtNiIrNFは酸性条件化で高い酸素発生反応(OER)活性を示すことを明らかにしており、こちらもナノワイヤへの展開を図っています。
さらに、PGM合金ナノ構造体を多元化することで、温室効果ガスである亜酸化窒素還元反応(N2ORR)に資する触媒開発もおこなっています。