固体高分子形燃料電池のカソード(空気極)では酸素還元反応(ORR)が進行しますが、この遅い4電子移動反応を進めるためには、現状では白金が必須です。白金は高価であり、資源量が限定されているため、低白金・高活性かつ高耐久性を有する触媒の開発が必要です
金属酵素などの生体内分子は反応活性サイトの構造とその周辺環境を分子レベルで制御することで、様々な反応を高効率に駆動しており、その分子構造を模倣することで新たな電極触媒が得られます
酵素や蛋白質など生体分子は分子量が大きく、その内奥に反応活性サイトが埋め込まれています。そこでどのような分子構造変化が起こり、反応が進行するのかをその場分光法と組み合わせた蛋白質膜電気化学(PFE)により知ることは、高性能な生体分子模倣触媒を開発する上で重要な知見になります
生体分子がキラリティ(不斉)をもつことは良く知られています。キラルな原子配列の導入やキラル分子の表面固定等により得られたキラル表面では、キラル分子とのエナンチオ選択的な電子移動や電極触媒反応が起こります
硝酸性窒素は日本国内でも調査されている地下水の汚染です。しかし、中性水溶液における還元反応は進行しにくいことが知られており、無害な窒素や工業的に有用な物質への変換が望まれています
亜酸化窒素(N2O)は今世紀最大のオゾン層破壊物質であるとともに、温室効果係数がCO2の300倍もあり、大気中濃度が今も増加し続けています。再生可能エネルギーによる無害化が有効です