北海道大学 大学院 環境科学院

環境科学の座標軸を提示する

グリーンランド氷床に飛来するダストの起源

2021-10-01

本学院地球圏科学専攻の的場澄人助教(低温科学研究所)は,国立極地研究所の永塚尚子特任研究員を中心とする研究グループと共に,グリーンランド氷床北西部の「SIGMA-D アイスコア」に含まれる鉱物ダスト(岩石由来の微粒子)の分析を行い,過去100 年の間にグリーンランド氷床上に降下したダストの起源について,その連続的な変化を初めて明らかにしました。

 

アイスコアに含まれる鉱物ダストの濃度や粒径は地球環境変動の歴史を読み解くための指標となっています。さらに,鉱物ダストがどこから飛来したか,つまり,ダストの起源を明らかにすることは,過去の大気循環や供給源となる場所の環境変動を知るための重要な手がかりです。しかし,極域のアイスコアに含まれる鉱物ダストは,量が少ないためにその起源を推定することが難しく,近年の温暖期のダストの起源についてはこれまでほとんど明らかにされていませんでした。

 

本研究では,電子顕微鏡を用いて鉱物ダストのサイズや組成を一粒ずつ解析することで,濃度が低い時期でもアイスコア中の鉱物ダストの起源推定を可能としました。本成果により,SIGMA-D アイスコアの鉱物ダスト起源はグリーンランドの気温変化の影響を受けて変動しており,温暖な時期には雪や氷の融解によって露出した氷床周辺の堆積物に由来する鉱物ダストが多く飛来していたことが分かりました。この成果は,Climate of the Past 誌に掲載されました。

 

詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。

グリーンランド氷床に飛来するダストの起源~アイスコア中の微量なダストから過去 100 年の変化が明らかに~(PDF)

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