北海道大学 大学院 環境科学院

環境科学の座標軸を提示する

国内希少野生動植物種・シマクイナの国内繁殖を初確認

2021-05-07

本学院環境起学専攻の先崎理之助教と本学大学院農学院の北沢宗大氏,釧路市立博物館の貞國利夫氏,NPO法人おおせっからんどの高橋雅雄氏の研究グループは,国内希少野生動植物種に指定されているシマクイナの繁殖を北海道勇払原野と青森県仏沼で初めて確認しました。

 

シマクイナは極東に分布する世界最小のクイナ科鳥類です。その生態は謎に包まれていますが,生息数が少なく減少していると思われることから,国内希少野生動植物種に指定されています。しかし,近年,北日本の複数の湿地では夏季に数羽から数十羽のシマクイナが相次いで確認されており,繁殖が疑われていました。

 

そこで研究グループは,2012年以降に本種が毎年確認されている北海道勇払原野の湿地でシマクイナの繁殖状況を調べました。2018年5~9月に,湿地内の本種の縄張り付近に自動センサーカメラを仕掛け,湿地内の固定ルートを歩いて繁殖の決め手となる本種の子連れの発見を試みました。

 

その結果,自動センサーカメラではシマクイナの子連れを撮影することは出来なかったものの,目視調査では本種の一組の子連れ(成鳥1羽と巣立ち雛6羽)の観察・撮影に世界で初めて成功し,約110年ぶりに本種の巣を発見しました。さらに,2004年に青森県仏沼で保護・撮影され,種不明とされていたクイナ科鳥類の巣立ち雛が,研究グループの検証によりシマクイナであることが判明しました。これらは日本におけるシマクイナの初めての繁殖記録であり,本種の生態の理解と保全に貢献する重要な成果です。

 

本研究成果は,2021年4月28日(水)公開のWilson Journal of Ornithology誌にオンライン掲載されました。

 

詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。

国内希少野生動植物種・シマクイナの国内繁殖を初確認~巣の発見は約110年ぶり,巣立ち雛の撮影は世界初~(PDF)

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