北海道大学 大学院 環境科学院

環境科学の座標軸を提示する

カモノハシとハリモグラの全ゲノム解読に成功!

2021-01-20

本学院生物圏科学専攻の早川卓志助教,東京工業大学生命理工学院の二階堂雅人准教授,株式会社 digzymeの鈴木彦有博士,アデレード大学のFrank Grutzner 教授,コペンハーゲン大学のYang Zhou 研究員,Guojie Zhang教授らの国際共同研究グループは,『単孔類』と呼ばれる「卵を産む哺乳類」であるカモノハシとハリモグラの高精度な全ゲノム塩基配列の決定に成功し,単孔類がどのように進化しているかを明らかにしました。

 

カモノハシはオーストラリア東部の河川や湖沼に,ハリモグラはオーストラリア全土とパプア島の陸地に生息しています。単孔類はカモノハシとハリモグラの2グループしかおらず,どのように哺乳類が卵を産む爬虫類的な祖先から進化したのかを教えてくれる貴重な存在です。

 

早川助教ら日本グループは,カモノハシとハリモグラの化学感覚(味覚,嗅覚など)の進化に注目しました。その結果,両種は哺乳類全体でも特別な進化をしており,明確な違いがありました。具体的には,①ハリモグラは苦味受容体遺伝子がとても少ないこと,②一方でハリモグラは嗅覚受容体遺伝子を沢山持つこと,③カモノハシはフェロモン受容体遺伝子を沢山持つことがわかりました。

 

本研究成果はハリモグラが餌となるアリやシロアリが発する匂いを頼りに餌を探していることや,水中生活者のカモノハシがフェロモンを用いて効率よく仲間とのコミュニケーションや繁殖をしている可能性を示しており,哺乳類のゲノムと生態を結びつける重要な知見です。

 

なお,本研究成果は,2021年1月6日(水)公開のNature誌にオンライン掲載されました。

 

 

詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。

カモノハシとハリモグラの全ゲノム解読に成功!~世界でたった 2 グループしかいない「卵を産む哺乳類」のゲノムの進化を解明~(PDF)

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