【プレスリリース】フィヨルドの生態系を支える「氷河ポンプ」を発見
2018-08-28本学北極域研究センターの漢那直也研究員,本学院地球圏科学専攻の杉山慎教授,深町康准教授(低温科学研究所)らの研究グループは,グリーンランドの氷河の融け水による湧昇流(プルーム)が,フィヨルドの中層(深さ 200 m)から栄養塩を汲み上げるポンプとして機能していることを,初めて定量的に明らかにしました。
プルームによって表層へ運ばれた栄養塩は,その後,亜表層(深さ 10~50 m)に水平的に広がっていきます。プルームの真上では,植物プランクトンがこれらの栄養塩を利用して大増殖を起こす様子が明らかとなりました。本研究は,氷河の融解が著しいグリーンランドにおいて,氷の融け水がフィヨルドの基礎生産(光合成等によって有機物が生産されること。食物連鎖の基底をなす)に果たす重要な役割を明らかにしたものです。
なお,漢那直也研究員をはじめ,共著者の大橋良彦研究員(低温科学研究所),榊原大貴研究員(北極域研究センター),野村大樹助教(水産科学研究院)はいずれも本学院を修了し、活躍されている方々です。
本研究成果は,2018年5月23日(水)公開のJournal of Geophysical Research–Biogeosciences誌にオンライン掲載されました。また,米国地球物理学連合の Research Spotlightに選ばれ,機関誌 Eos(オンライン版)に取り上げられました。
詳細については、以下のプレスリリースをご覧ください。
フィヨルドの生態系を支える「氷河ポンプ」を発見~プルームによる栄養塩輸送が植物プランクトンを育む~(PDF)