【プレスリリース】北海道の栄華をかつて極めたニシンはコンブをも育てていた〜ニシンが栄養源として寄与、100 年以上前のコンブから検証〜
2017-07-25北海道の日本海側ではコンブ等の大型海藻類が消失し、それを餌とするウニやエゾアワビ等の生産が減る「磯焼け」が喫緊の課題です。磯焼けの一因としては、海の天然肥料である栄養塩との関連性が指摘されていますが、磯焼けが発生する以前(1930 年頃)の栄養塩の状態を知ることのできる科学データはこれまで存在しませんでした。
この問題を解決するため、栗林貴範博士(本学院で社会人学生として学位取得。北海道原子力環境センター)は、本学総合博物館の阿部剛史講師、本学院生物圏科学専攻の門谷茂特任教授とともに、本学総合博物館が所蔵する 1881 年から 134 年分のコンブ標本の窒素安定同位体比を調べ、この海域の過去の栄養状態の復元を試みました。
その結果、1881〜1920 年(明治から大正期)の日本海側の栄養状態が他の年代や海域と大きく違っていたことがわかりました。明治から大正期の北海道では、現在の 500 倍から 1000 倍に及ぶ大量のニシンが漁獲され、その90%以上は日本海側のものでした。このことから沿岸に押し寄せたニシンの卵や精液、水産加工で出る煮汁などがコンブの栄養源となっていたことが考えられます。本成果は、科学誌『PLOS ONE』に掲載されています。
詳細については、以下のプレスリリースをご覧ください。
北海道の栄華をかつて極めたニシンはコンブをも育てていた〜ニシンが栄養源として寄与、100 年以上前のコンブから検証〜(PDF)
論文PDFは『PLOS ONE』誌公式サイトから無料でダウンロードできます。
Historical δ15N records of Saccharina specimens from oligotrophic waters of Japan Sea (Hokkaido) (学外サイト)