【プレスリリース】木登りカタツムリはなぜ木に登る?〜樹上生活性が進化した適応的意義〜
2017-04-10筑波大学の佐伯いく代准教授、本学院生物圏科学専攻の日浦勉教授(北方圏FSC)らの研究グループは、樹上性カタツムリの一種であるサッポロマイマイがなぜ木の上という特殊な空間を利用するのかを明らかにするため、その生態を調査しました。その結果、林床での冬眠を終えたカタツムリは樹上に移動し、秋になると再び冬眠のため林床に移動すること、樹上の捕食圧は林床よりも低いこと、樹上では林床性のカタツムリとは異なる食物を利用していることなどが判明しました。
風通しのよい木の上は、カタツムリの生息にはあまり適していないと一般的には考えられています。しかし本研究から、サッポロマイマイは、捕食者が少ない上に食物に不自由しない樹上という環境にうまく適応進化していることがわかりました。
本研究は、樹上生活への適応的意義を、カタツムリという超スローライフな樹上性動物に着目することにより、自然環境下で実験的に証明した点で評価されます。また、高木の生える原生林を保護することの意義を考える上でも示唆に富む成果です。
本研究の成果は、動物行動学に関する学術誌『Animal Behaviour』に掲載されています。
詳細については、以下のプレスリリースをご覧ください。
木登りカタツムリはなぜ木に登る?〜樹上生活性が進化した適応的意義〜(PDF)