令和5年度公開講座 気象・気候研究の最前線:観測,理解,未来
2023-06-01◎公開講座開講にあたって
《北海道大学大学院地球環境科学研究院長 谷本 陽一》
気象と気候は、日々の暮らしや環境に大きな影響を与え、ときに災害をもたらします。その研究は、北海道大学を含む世界中の研究機関で精力的に進められています。本講座では、本研究院に所属する5名の教員が、それぞれの専門性を活かして、研究の最前線をわかりやすく紹介します。本講座では、社会的関心が高く防災に重要な台風(第1回)、気候変動に重要な役割を果たし降水のもととなる大気と海洋の相互作用(第2回、4回)、はるか上空にありながら環境に大きな影響を与える成層圏(オゾン層)(第3回、5回)に焦点をあてます。これらの話題について、全地球的な把握の基礎となる人工衛星による観測、観測やシミュレーションをもとにもたらされる理解、そして今後の発展性や将来予測など未来について議論したいと思います。多くの皆様の受講をお待ちしています。
【公開講座概要】
1.開講時期 令和5年8月28日(月)~ 9月25日(月)(毎週月曜日開催※ 第4回のみ火曜開催)
2.実施場所 オンラインで実施
3.受講資格 高校生または18歳以上の方であればどなたでも受講できます。
4.定 員 100名(先着順)
5.受 講 料 無料
6.修了証書 全5回開講のうち3回以上受講した方には、最終講義終了後に修了証書を
交付します。
【申込要領】(申込は締め切りました)【満席御礼】
お申込みいただいた皆様には8月第2週~受講に関するご案内等を郵送します。
1.申込期間 令和5年7月3日(月)~ 7月24日(月)【必着】
2.申 込 先 北海道大学環境科学事務部(教務担当)
〒060-0810 札幌市北区北10条西5丁目
電話:011-706-2205 FAX:011-706-4867
E-Mail: kyomu[at]ees.hokudai.ac.jp
3.申込手続 申し込みは下記の手順を行うことで完了します。
① 申込URLから申し込む。あるいは申込書【様式】をダウンロードし
ご記入いただきご提出ください。
② 先着順(定員100名)に受講許可の通知を送付します。
③ 手続き完了。
4.詳細は、パンフレット内【申込要領】を参照願います。
5.そ の 他 今年度の講義資料は、各講義終了後にこちらへアップロードされます。
パスワードは受講通知許可通知に記載してありますので、
ご確認ください。
★公開講座資料★
北海道大学大学院地球環境科学研究院 公開講座
《 気象・気候研究の最前線:観測,理解,未来 》
第1回 8月28日(月) 講師:大学院地球環境科学研究院 教授 堀之内 武
講義題目:「人工衛星による台風研究のフロンティア」
概 要:台風は海上で発生し発達するので、人工衛星が主な観測手段となります。それはどのように観測され、何がどうわかるのでしょう? 例えば台風の強度はどのように把握されているでしょうか? 本講演では、近年発展が著しい、人工衛星による台風の観測と研究を紹介します。北大を中心に進めている、気象衛星の高頻度観測を活用する研究で明らかになるダイナミックな台風の姿、航空機観測とのコラボ、そして来るべき台風の実況把握と予測の将来などについて語ります。
第2回 9月4日(月) 講師:大学院地球環境科学研究院 准教授 富田 裕之
講義題目: 「海からの蒸発のはなし -人工衛星から降水の源に迫る-」
概 要: 近年、豪雨やそれに関連する災害が多発しています。降水の起源はもちろん大気中の水蒸気ですが、それをさらに遡ると海にたどり着きます。つまり降水を深く理解するためには海洋からの蒸発量を把握する必要があります。それでは、広大な海洋からの蒸発量をどの様に把握したら良いのでしょうか?本講演では人工衛星観測によって海洋上の水蒸気や蒸発量を把握する方法について概説し、それから分かるグローバルから局所スケールの変化について解説します。
第3回 9月11日(月) 講師:大学院地球環境科学研究院 准教授 河谷 芳雄
講義題目:「雲の上の世界、成層圏を知る」
概 要:日々の天気の変化が起きる対流圏の上には、成層圏とよばれる世界が広がっています。対流圏と成層圏は様々な運動によりお互いに密接に関連しています。わずか120年前に発見された成層圏ですが、近年の研究により、日々の天気予報や将来の気候変動に対する成層圏の重要性が認識され始めています。また成層圏の産学利用も計画されており、私たちの生活にますます関連してくると思われます。本講演では成層圏をとりまく最新の研究状況について解説します。
第4回 9月19日(火) 講師:大学院地球環境科学研究院 教授 谷本 陽一
講義題目:「地球温暖化に海洋はどう関わるのか?」
概 要: 産業革命以降、全球平均気温は徐々に上昇していますが、その上昇率は年代によって異なり、今世紀初頭では地球温暖化の進行がやや減速していました。一方、大気中の二酸化炭素濃度は今世紀に入っても継続的に増加していますから、地球温暖化の進行には、二酸化炭素濃度に加え他の要因の検討も必要です。この講演では、地球温暖化の加速や減速に、海洋と大気の相互作用の過程がどのように関わるか、数値モデルのシミュレーションや海洋観測の取り組みを交えて解説します。
第5回 9月25日(月) 講師:大学院地球環境科学研究院 教授 藤原 正智
講義題目:「オゾン層破壊問題はいまどうなっているのか?」
概 要: オゾン層は、地表の生態系を太陽からの有害な紫外線から守っています。オゾン層破壊問題が認識されてから約50年、モントリオール議定書による国際的な対策が始まってから約35年、いまオゾン層はどうなっているのか解説します。東アジアの国からの予期せぬフロン排出事件、議定書の温暖化物質の排出規制への貢献、地球を人工的に冷やそうとするジオエンジニアリングとの関係、など、オゾン層を取り巻く最近の話題についても取り上げます。