北海道大学 大学院 環境科学院

環境科学の座標軸を提示する

未知の海域である西部ベーリング海と東カムチャツカ海流上流のプランクトン生態系構造の制御要因を解明

2023-01-26

本大学院地球圏科学専攻の西岡 純教授(低温科学研究所)、鈴木光次教授(地球環境科学研究院)、香港科学技術大学のカイリン リュウ研究員及びホンビン リュウ教授らの研究グループは、親潮域上流の東カムチャツカ海流域から西部ベーリング海の栄養物質循環及びプランクトン生態系の構造と制御機構を、極東ロシア海洋気象学研究所との国際共同観測から世界で初めて明らかにしました。

これまで、日本の水産資源の多くを支える北太平洋亜寒帯域は、オホーツク海の影響を強く受けていることが知られていました。これに加え、北太平洋亜寒帯域の水塊形成は、東カムチャツカ海流とさらに上流に位置する西部ベーリング海の影響を受けていますが、これらの海域は観測データの圧倒的不足のため、栄養物質循環とプランクトン生態系の構造や制御機構は不明のままでした。

本研究では、東カムチャツカ海流とその上流に位置する西部ベーリング海及びアナディル湾の観測を実施し、これら未知の海域の栄養物質循環と、植物プランクトンの成長速度と微小動物プランクトンの捕食速度の空間パターンを明らかにしました。プランクトン生態系構造のデータを解析した結果、カムチャツカ半島沖から西部ベーリング海の植物プランクトンの増殖は、海洋循環で供給される窒素や河川などを通じて供給される鉄分などの栄養物質の利用可能性と、水温の影響を受ける微小動物プランクトンの捕食の有無によって決定されることを見出しました。これらの知見から、東カムチャツカ海流と西部ベーリング海を含む北太平洋亜寒帯域では、海洋温暖化に対するプランクトンの増殖応答が海水中の栄養条件の違いにより異なることが予想されました。

なお、本研究成果は、2023 年 1 月 16 日(月)公開の Limnology and Oceanography 誌にオンライン掲載されました。

詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
未知の海域である西部ベーリング海と東カムチャツカ海流上流のプランクトン生態系構造の制御要因を解明~気候変動に伴う北太平洋プランクトン生態系変化の将来予測に貢献~(PDF)

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