夜空で密会するシギとハト
2022-12-08本学院生物圏科学専攻の先崎理之助教(地球環境科学研究院)、森林総合研究所の青木大輔研究員、北海道大学大学院農学院博士後期課程の北沢宗大氏、日本渡り鳥保全・研究グループの原 星一氏と共同で、これまで夜間に単独で渡ると考えられていたヤマシギのうち一定数が、日中の生息環境や生態が異なるアオバトなどの他種とペアになって渡ることを発見しました。
毎年、おびただしい数の鳥類が、遠く離れた繁殖地と越冬地の間を行き来する渡りを行います。タカの仲間や大型の水鳥などの一部を除き、多くの鳥類は、天敵からの捕食リスクが低く、気象条件が飛翔に適している夜間に単独で渡ることが知られています。しかし、夜空を渡る鳥類を識別することは難しく、夜間に渡る鳥類にどのような種間関係があるのかについては解明されてきませんでした。
こうした中で研究チームは、北日本の二カ所(室蘭鳥類観測所・津軽鳥類観測所)で、デジタル機器を用いた地上観察から夜空を渡る鳥類を識別する手法を確立し、ヤマシギと他種が 2羽で一定の距離を保ちながら渡るという未知の現象を目撃しました。そこで、2021年10~11月に上記二カ所において、どのくらいのヤマシギが他種と一緒に渡るのかを調べたところ、観察された48羽のヤマシギのうち、約17%(8羽)が他種とペアになって渡っていました。ペア種の内訳は、アオバト(5羽)、キジバト(1羽)、オオコノハズク(1羽)、ツグミ属鳥類の 1種(1羽)でした。ヤマシギは暗闇の中から単独で渡る他種のパートナーを見つけだして一緒に渡ることで、捕食者をいち早く見つけたり、目的地への飛翔距離を短縮したり、飛翔エネルギーを節約したりしている可能性があります。
なお、本研究成果は、2022 年12月1日(木)公開の Ecology 誌に掲載されました
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
夜空で密会するシギとハト~鳥類の夜間渡りにおける驚きの種間関係を発見~(PDF)