西暦3000年までのグリーランド氷床の変動を予測
2022-03-28北海道大学低温科学研究所のグレーべ・ラルフ教授とチェンバース・クリストファー博士は,西暦3000年までのグリーンランドの氷床の変動についてシミュレーションを行い,21世紀の温暖化がもたらす長期的な影響について調べました。
これまで,本研究チームも参画する氷床モデル比較相互プロジェクト(ISMIP6)は,気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書に研究内容を提供してきましたが,その氷床変動計算は西暦2100年まででした。本研究では,西暦2100年以降は温暖化の傾向に変化がないとの仮定のもと,西暦3000年までのシミュレーションを行いました。「温暖化進行」経路シナリオで12の数値実験,「地球温暖化ガス排出量の削減」の経路シナリオでは2つの実験をそれぞれ行いました。「温暖化進行」のシナリオでは,氷の損失の海面水位相当(SLE)は,12の実験のアンサンブル平均で1.8 mに上りました。「ガス排出量削減」のシナリオでは,氷の損失は,2つの実験のアンサンブル平均で0.25mSLEに留まることがわかりました。
本研究の結果では,温暖化は,たとえ21世紀末に進行が停止したとしても,効果的な気候変動緩和策が取られない限り,その後数百年にわたりグリーランドの氷床への影響があり,世界的な海面上昇につながる危険を示唆しています。
本研究は,2022年3月14日(月)公開のJournal of Glaciology誌にオンライン掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。