日本沿岸の熱帯性魚種の詳細な分布推定・予測に成功
2022-01-13本学北方生物圏フィールド科学センターの須藤健二博士研究員と仲岡雅裕教授,本学院修士課程(研究当時)の前原せり菜氏と本研究院の藤井賢彦准教授の研究グループは,地球温暖化にともなう海水温上昇により,日本の沿岸地域で熱帯性魚種の分布が将来的に拡大することを詳細に予測しました。有毒魚としてソウシハギ(Aluterus scriptus)とアオブダイ(Scarus ovifrons),草食魚としてノトイスズミ(Kyphosus bigibbus)とアイゴ(Siganus fuscescens),観賞魚としてハマクマノミ(Amphiprion frenatus)とトゲチョウチョウウオ(Chaetodon auriga)に対してそれぞれの分布推定と予測を行ったところ,今後,CO2を含む温室効果ガスの大幅削減を行わない場合,今世紀末には日本沿岸での生息地が現在よりも最大 2 倍程度拡大する一方,温室効果ガスを大幅削減する場合はその生息地が現在から大きく変化しないことがわかりました。本結果成果は,パリ協定に従うなど,温室効果ガスの排出量削減に意欲的に取り組むことで,将来の沿岸地域の地球温暖化影響を大きく緩和できることを示唆しています。さらに,数 kmの高空間解像度の結果は,沿岸地域の地方自治体等が気候変動適応策を策定する際の科学的指針として直接利用することができると期待されます。
なお,本研究成果は,2022年1月5日(水)公開のFrontiers in Built Environment誌に掲載されました。
詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。
日本沿岸の熱帯性魚種の詳細な分布推定・予測に成功~沿岸の地方自治体等での地球温暖化適応策の策定への貢献に期待~(PDF)