スイスアルプス野外実習 2024年度実習報告
--北海道大学環境科学院 地球雪氷学実習--
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スイス実習・8/31


終日:Rhone氷河にて観測実習(氷河までバスで移動)
夕食後:データ処理・解析、観測打ち合わせ

本日のできごと

本日も早朝から澄み渡った空に飛行機雲がかかっていました。
朝食後にホテルのすぐ裏にあるこの教会までお散歩するのがほぼ日課になりました。




本日は氷河組と河川組の二班に分かれ、それぞれの観測を行います。
河川組は氷河の右岸側から谷底のGletschまで下りますが、まずはこの岩壁を登ります。
あそこから攻めそう、そこらへんは落石ありそう、と岩壁を眺めながら
数分間各々の考えに浸ります。
ただひたすら、氷河が削ってできたトリムラインの鮮明さに圧倒されていました。
早く基盤岩に触れたいものです。



右岸側にあがって振り返ると、向こうの岸にもきれいなトリムラインが残されています。
手前には氷河に削られた基盤岩の滑らかな表面が多くの岩屑に覆われています。
もはや氷河ではなく礫ばかりを見ている気がして、何となく申し訳ない気分になりました。



下流側に向かって歩き始めると、見覚えのある植生が白い頭を一面突き出しています。
夏の大雪山で目にしたが、いまだに名前がわかりません。
礫に刻まれた擦痕も大雪山で見れたらいいなあと、妄想してしまいます。



見わたす限り礫、礫、礫。
氷河底の水流に削られ、上流側に面した表面にできるこのような条痕も観察できました。



基盤岩の下流側の面では、氷河底の水流が再び凍結し、
プラッキング作用が発達するのでいびつな形をしています。
結構な比高になりますので慎重に下りていきます。座って滑っていくのも楽しいです。



ついに氷河湖沿いまできました。
ここはかつての湖岸段丘、あるいは
氷河の端に形成された流れの堆積物からできるケーム段丘だそうです。
どちらも円礫を形成するので、判断が難しいです。



谷底まであと少し。
巨礫に腰を下ろし、氷河が作ったU字谷をいつまでも眺めていられます。



ようやくローヌ川まで下りてきました。
上流側を振り向くと、比高約400 mの花崗岩の崖が聳え立っています。
氷河の末端はそれよりも奥に後退したため見えませんが、
この敷居の美しさはたとえようがないものです。



いよいよ河川観測をスタート。
想像以上の流れの強さに、両手で棒を固定させながら流速計を入れていきます。
数値を読み取る人、記録係、写真係と、一気にチームらしくなりました。



観測後、橋の近くの小ぢんまりとした教会を訪れてみました。
氷河が昔、ここまで前進してきたそうです。
教会内に並んでいる木造椅子に、素敵な継手に出会いました。



Hotel Tiefenbachでの最後の夕食は、なんとラザニアです。
トマトの香りが少々効きすぎた気がしますが、
それにもかかわらずお代わりをした人が四人もいました。

文責 張 佳晏

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