Graduate School of Environmental Science

環境科学の座標軸を提示する

2016 Public Lecture

2016-06-08

平成28年度公開講座 サステナビリティに資する化学

パンフレット

公開講座開催にあたって

《北海道大学大学院地球環境科学研究院長 久保川 厚》

  サステナビリティは持続可能性を意味する英語“Sustainability”の片仮名表記であり,本学でもサステナビリティウィークが毎年開催されています。今日わたしたちが享受している物質的豊かさを今後も保ちつつ,環境に調和した持続可能性に富む社会へと転換してゆくためには,物質や材料を扱う化学の力が必要です。化学と一口に言っても,実際に化学者が取り扱うのは,フラスコの中だけにとどまらず,地球全体からナノ領域まであらゆるスケールでの物質循環・変換であり,将来的に環境浄化やエネルギー問題の解決に資する取り組みへと繋がっています。
 この公開講座では,環境にやさしい防汚材料・環境浄化に資する光触媒や触媒,ガスの分離・貯蔵が可能なナノ材料など材料に立脚する話から,解決すべき大気汚染問題や水素エネルギーに基づく社会像など,多岐に亘る内容を取り扱っており,物質材料科学や化学反応計測等の研究に携わる6人の研究者が最新の研究成果をわかりやすく紹介します。多くの皆様のご来聴をお待ちしています。

【公開講座要領】

  1. 開講時期  平成28年8月23日(火)〜9月27日(火)(毎週火曜日)
  2. 実施場所  北海道大学大学院地球環境科学研究院(札幌市北区北10条西5丁目)
  3. 受講資格  満18歳以上の方であればどなたでも受講できます。(学歴不問)
  4. 定  員   先着70名
  5. 受 講 料   3,500円(既納の受講料はお返しできません。)
  6. 修了証書  全6回の開講のうち,4回以上受講した方には、最終講義終了時に修了証書を交付します。
  7. 主  催   北海道大学大学院地球環境科学研究院
  8. 後  援   札幌市教育委員会

【申込要領】

  1. 申込期間 平成28年7月11日(月)〜7月22日(金)【必着】
  2. 申込先  北海道大学環境科学事務部教務担当

    〒060-0810 札幌市北区北10条西5丁目
    電話 (011) 706-2204
    E-Mail kyomu (at) ees.hokudai.ac.jp

  3. 申込手続   申し込みは,下記の手順を全て行うことで完了します。

    1.仮申込【仮申込書】をダウンロードしてご利用下さい.
    2.先着順(定員70名)に本申込みの手続書類を郵送
    3.本申込み(受講料の納付を含む)
    4.手続き完了

  4. 詳細は,別紙「申込方法」を参照願います。

【その他】

  1. 会場には、駐車場がありませんので、公共の交通機関をご利用ください。
  2. 本公開講座は、平成28年度前期道民カレッジ連携講座(環境生活コース9単位)の指定を受けています。
  3. 本公開講座は特定の回のみの受講も可能です(受講料も減額となる場合があります)ので、希望される方は上記申込「1仮申込み」の際にお申し出ください。

北海道大学大学院地球環境科学研究院 公開講座
《サステナビリティに資する化学》

  ※講義題目をクリックするとテキストが閲覧できます。

第1回 8月23日(火) 講師:大学院地球環境科学研究院 教授 八木 一三
講義題目:「水と水素で循環する水素エネルギー社会」

概  要:水素燃料電池自動車(FCV)が発売され,水素社会の到来が期待されています。また,既に家庭用燃料電池(エネファーム)を導入することを考えているご家庭もあるかもしれません。しかし現在,水素は化石燃料を元に作られているものがほとんどで,本当の意味で持続可能な社会を支える技術にはなっていません。本講義では,現在の水素製造技術や燃料電池技術の詳細を紹介し,将来の水素社会に向けた様々な取り組みや先端技術開発についてお話しします。

第2回 8月30日(火) 講師:大学院地球環境科学研究院 教授 松田 冬彦
講義題目:「フジツボが嫌う有機化合物の化学」

概  要:フジツボなどの付着生物は海洋に広く分布し,幼生期は浮遊生活を送り,成体へ変態する時に適切な場所を選択して着生します。付着生物の着生は船底,魚網,発電所冷却系などに大きな損害を与えるため,着生防除剤として有機スズ化合物が広く使われてきましたが,海洋汚染のため2008年に使用が禁止されました。海底に棲息している生物にとって他の生物の着生はその個体の死を意味しますので,フジツボなどが嫌う有機化合物(着生阻害物質)を作り,身を守っています。そこで,海洋生物由来の着生阻害物質を利用した「環境にやさしい」着生防除剤の開発を目指した研究が活発に行われています。この講義では私たちの着生阻害物質に関する研究を紹介します。

第3回 9月6日(火) 講師:電子科学研究所 准教授 野呂 真一郎
講義題目:「ガスを自在にあやつる多孔性材料」

概  要:多孔性材料とは内部にたくさんの空孔をもつ物質であり,その空孔中に分子をたくさん取り込んだり,特定の分子のみをふるい分けたりすることが可能です。このような物質を使うと,扱いづらいガスを自在にあやつる(貯める,分ける)ことができます。本講義では,多孔性材料を用いたエネルギーガスや温暖化ガスの効率的な貯蔵・分離技術について解説します。

第4回 9月13日(火) 講師:大学院地球環境科学研究院 教授 神谷 裕一
講義題目:「空気と水をキレイにする触媒化学」

概  要:私たちの快適な暮らしには,清浄な空気と水は欠かせません。公害問題とモータリゼーションに端を発した日本の大気汚染は大きく改善されてきましたが,これは工場や自動車の排気ガスを化学的に浄化しているからです。化学反応による環境の清浄化には,化学反応を促進させる物質“触媒”が大いに活躍しています。本講義では,空気と水を清浄化する触媒技術について紹介します。

第5回 9月20日(火) 講師:大学院地球環境科学研究院 准教授 廣川 淳
講義題目:「揮発性有機化合物の大気環境化学」

概  要:空気中には,人間活動により様々な有機化合物が放出されています。これらは,揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds, VOCs)とよばれ,空気中の化学反応を通して大気環境問題に深く関わっています。例えば,VOCsの酸化反応から生成する粒子状物質は,近年,健康影響が懸念されているPM2.5の主要な割合を占めていることが指摘されています。本講義では,VOCsに起因する大気環境問題を,主に化学の視点から解説します。


第6回 9月27日(火) 講師:触媒科学研究所 教授 大谷 文章
講義題目:「光触媒による環境浄化とエネルギー変換」

概  要:植物の光合成を考えてもわかるように光は生物が生きていくのに不可欠なものですが,太陽からふりそそぐ膨大な量の光は,環境浄化やエネルギー創出にも利用できます。代表例が光触媒反応です。すでに,日常生活のなかにも光触媒の応用製品がふえてきています。たとえば,ガラスや壁の光触媒コーティングや空気清浄機がそうです。これらは,光触媒反応によって屋外では汚れをふせぎ,室内では汚染空気を浄化や抗菌・抗ウイルス作用をしめします。また,光触媒によって水を分解し,燃料となる水素をとりだす研究も行われています。ここでは,これらの光触媒の基礎とその可能性についてやさしく解説します。

講義時間は,毎回18:00〜19:30です。

※ 講師の都合により,講義日が変わる場合があります。

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