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研究紹介

報告:GCOE国際サマースクール2009「北方林における生態系生態学の最前線」


 国際サマースクール2009「北方林における生態系生態学の最前線」を雨龍・中川・天塩研究林および札幌キャンパスにて6月14日から開催し、北海道大学および海外から博士課程の大学院生19名が参加しました。

 本サマースクールの目的は,様々な国から集まった参加者が生態系生態学に関するフィールドでの観測手法を習得するとともに,協同で研究計画を立案したり,既往研究をレビューしたりすることにより,統合フィールド環境科学に関する国際的視野をもった研究者を育成することにあります。そのため,森林をじっくりと観察して北の森林でどのような研究が実施可能なのかを考え、グループで討論することに重きを置いたプログラムが組まれました。初日のガイダンス,ポスターセッションと講義に続いて,翌日からは道北の研究林に場所を移し,「北方林における群集構造と機能」,「土壌プロセスと生物地球化学」,「ランドスケープにおける生態系機能と構造の空間変化」,「森林集水域における炭素循環と森林施業」というトピックについてフィールドセッションやグループ討論を実施しました。


雨龍研究林にて集合写真。防虫(蚊)ネットが役立ちました

---研究計画(疑問→作業仮説→検証するためのアプローチ)を立てる
 フィールドセッション・グループ討論では,まず各参加者が森林内を観察しながら設定された大きなテーマに沿って自由に研究課題(疑問)を考えました。フィールド研究においては,野外での観察から新しい疑問・アイディアが湧いてきます。そして,3〜4名のグループごとにそれらの課題に対する作業仮説を立て,それを検証するためのアプローチを考え,最後にグループごとに発表を行いました。これはまさに共同研究のプロポーザル作成のトレーニングです。参加者は非常に積極的で,活発なグループ討論,白熱した質疑応答が展開されました。課題や仮説の妥当性・新規性や,検証するための研究手法については検討が必要な部分が残されたものの,多くの参加者は母国語ではない英会話や専門性の違い,時間の制約に苦労しつつも,研究計画立案の基本についてそれぞれに学んでいました。

---これまでの研究をレビューする
 研究計画を立てるには,関連分野でこれまでにどのような研究が行われてきたか知っておく(レビューする)ことは重要です。各参加者が各研究テーマについての既往研究を事前にレビューし,グループごとにそれを統合して最終日にグループ発表を行いました。グループのメンバーは必ずしも同じ研究分野とは限らず、参加者は限られた時間内で統合するのに苦労していましたが、多分野間での連携について学びました。


グループ討論する参加者

---おわりに
 本サマースクールを通じて,参加者は英語でのグループ討論,発表・議論を体験し,また友情を育みました。これは研究者としてのスキルアップと国際的信頼関係の構築につながりました。サマースクール終了後,参加者からは「この模擬体験が自分の研究の役に立った」,「参加してよかった」との声が多数寄せられました。この参加者間の交流が今後も続き,将来のフィールド環境科学における国際的連携や共同研究の発展につながることが期待されます。なお、国際サマースクールは来年度以降も毎年異なるテーマで開催される予定です。学生の皆さんの研究(あるいはその後の研究人生)に必ずや役立ちますので、奮ってご参加ください。
(文責 福澤 加里部 北海道大学北方生物圏フィールド科学センター G-COE特任助教)

サマースクール2009の報告の詳細については,こちらのウェブサイトをご覧ください。



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