Graduate School of Environmental Science

環境科学の座標軸を提示する

研究院アワー2011年8月10日:塩竃秀夫:モデル民主主義を超えて

2011-06-28

とき :2011年8月10日(水) 15:30〜16:30

ところ:大学院地球環境科学研究院D棟101号室

演題:モデル民主主義を超えて −観測による不確実性制約は、地球温暖化に伴うアマゾン川流域の乾燥化を示唆する−

講演者:塩竃秀夫 氏(国立環境研究所)

座長:岡田直資 特任助教(統合環境科学部門 実践・地球環境科学分野)
要旨:
 
将来、人間活動による温室効果ガス濃度の増加によって、地上気温だけでなく、降水量にも変化が生じる。南米大陸の多くの国々は、洪水や渇水などの水災害に対して脆弱であり、将来の水資源量変化(河川流量変化)による社会経済などへの影響も大きいと考えられている。また、アマゾン川流域の乾燥化は、熱帯雨林の生態系に悪影響を与え、地球の炭素循環へも影響する可能性がある。

気候変動の予測は大気海洋結合モデル(GCM)を用いて行われるが、地上気温の予測と比べて、南米大陸の降水量変化予測にはGCM間で大きなばらつきがある。そのため、GCMの将来予測実験結果を入力データとする水資源影響評価にも不確実性が生じる。これまで、複数のGCM間で予測結果に大きな差異がある場合、影響評価結果の信頼性を客観的に調べる方法はなかった。そのため本研究では、影響評価の信頼性を評価する方法を開発した。その結果、GCMによる多数決(アンサンブル平均)ではアマゾン川流域は湿潤化するという予測であったのに対して、観測データとの比較で不確実性を制約した場合、アマゾン川流域は乾燥化する可能性が高いことがわかった。

本研究により、複数のGCM間で将来気候変化予測に大きなばらつきがある時、GCMに予測の一致度は、必ずしも信頼性を示す指標にならない事が示された。ここで提案した方法は、ほかの気候変化予測研究、影響評価研究においても応用可能なものであり、今後様々な研究で利用されることを期待している。

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