Graduate School of Environmental Science

環境科学の座標軸を提示する

2014 Public Lecture

2014-06-20

平成26年度公開講座 IPCC第5次評価報告書を読み解く

パンフレット

公開講座開催にあたって

《北海道大学大学院地球環境科学研究院長 久保川 厚》

  産業革命以前と比較して1℃という世界平均気温の上昇を実感するのは困難ですが、昨年夏の41.0℃という国内観測史上最高気温やフィリピンを直撃した最大瞬間風速90m/sという猛烈台風は、顕在化しつつある地球温暖化の一側面なのかも知れません。近年の地球温暖化が人間活動に起因するという認識は研究者の大多数に共有されていますが、これを否定する書籍が書店で目を引くのも事実です。通説を批判的に検証しようという態度は科学の進歩に不可欠ですが、温暖化対策の実施には社会的合意形成が必要です。そうした要請に応えるべく科学的知見の集大成を目指して設立された国際的枠組みが気候変動に関する政府間パネル(IPCC)で、今年はその第5次評価報告書(AR5)が公表される年に当たります。本公開講座ではAR5執筆者を含む6人の講師がその概要を分かりやすく説明します。多くの皆様の御来聴をお待ちしています。

【公開講座要領】

  1. 開講時期  平成26年8月20日(水)〜9月24日(水)(毎週水曜日)
  2. 実施場所  北海道大学大学院地球環境科学研究院(札幌市北区北10条西5丁目)
  3. 受講資格  満18歳以上の方であればどなたでも受講できます。(学歴不問)
  4. 定  員   先着70名
  5. 受 講 料   3,500円(既納の受講料はお返しできません。)
  6. 修了証書  全6回の開講のうち,4回以上受講した方には、最終講義終了時に修了証書を交付します。
  7. 主  催   北海道大学大学院地球環境科学研究院
  8. 後  援   札幌市教育委員会

【申込要領】

  1. 申込期間 平成26年7月14日(月)〜7月25日(金)【必着】
  2. 申込先  北海道大学環境科学事務部教務担当

    〒060-0810 札幌市北区北10条西5丁目
    電話 (011) 706-2204
    E-Mail gakujutu (at) ees.hokudai.ac.jp

  3. 申込手続   申し込みは,下記の手順を全て行うことで完了します。

    1.仮申込【仮申込書】をダウンロードしてご利用下さい.
    2.先着順(定員70名)に本申込みの手続書類を郵送
    3.本申込み(受講料の納付を含む)
    4.手続き完了

  4. 詳細は,別紙「申込方法」を参照願います。

【その他】

  1. 会場には、駐車場がありませんので、公共の交通機関をご利用ください。
  2. 本公開講座は、平成26年度前期道民カレッジ連携講座(環境生活コース9単位)の指定を受けています。
  3. 本公開講座は特定の回のみの受講も可能です(受講料も減額となる場合があります)ので、希望される方は上記申込「1仮申込み」の際にお申し出ください。

北海道大学大学院地球環境科学研究院 公開講座
《IPCC第5次評価報告書を読み解く》

  ※講義題目をクリックするとテキストが閲覧できます。

第1回 8月20日(水) 講師:大学院地球環境科学研究院 教授 長谷部 文雄
講義題目:「地球温暖化序論」

概  要:地球温暖化を理解する第一歩として、地球表面の温度が決まるメカニズムを理解します。続いて、気候変動を引き起こす各種要因とその影響の大きさについて、AR5第1作業部会の示した科学的根拠に基づいて概要を説明します。最後に、第2回以降の講義のトピックスについて紹介するとともに、ヒートアイランド現象やオゾン層破壊との混同など、しばしば見られる誤解の解消も目指します。

第2回 8月27日(水) 講師:大学院地球環境科学研究院 教授 山中 康裕
講義題目:「人間活動に伴って排出されたCO2の行方」

概  要:人間活動に伴うCO2排出量の約半分が陸上生態系や海洋に吸収されます。だから、まず半分にすれば、大気中に残る量、すなわち、大気中CO2濃度の増加が抑えられます。2007年G8サミットでの2050年半減に向けた宣言は画期的なものでした。やがて陸上生態系も海洋の吸収量も、新たな気候のもとで落ち着いていくので、100年以上にわたって気候状態を安定化させていくためには今世紀末に向けて更なる削減が必要です。どの程度削減したらどうなるかを考えていきましょう。

第3回 9月3日(水) 講師:低温科学研究所 准教授 青木 茂
講義題目:「地球温暖化は海の温暖化」

概  要:海といえば、寄せては返す浜辺の波や潮の満ち干といった日常的な変動や、津波のような突然の大変動をイメージすることはあっても、それらを除けば、ほとんど永遠に変わらないものだと思ってはいませんか?しかしながら、ここ数十年来、地球が余分に蓄えてきた熱エネルギーのほとんどを引き受けているのは、実は海なのです。海は暖まっています。海が暖まれば極地の氷を融かします。海水位が上がります。変わりゆく海の姿に迫ります。

第4回 9月10日(水) 講師:大学院地球環境科学研究院 准教授 吉森 正和
講義題目:「地球温暖化を気候モデルで予測する」

概  要:「今世紀末、気温4.8度・海面82センチ上昇」、こんな見出しが昨年9月新聞を賑わせました。これらの数字は人間の生活や安全、生態系や生物多様性に深刻な影響を与えうる大きさです。こうした値はどこから来て、どんな意味を持つのでしょうか。将来予測は、コンピュータの中に仮想の地球を作って計算することによって行いますが、この仮想地球のことを「気候モデル」と呼んでいます。気候モデルとはいったいどんなもので、信用してもよいのでしょうか。気候モデルを使った将来予測の世界を紹介します。

第5回 9月17日(水) 講師:大学院地球環境科学研究院 准教授 佐藤 友徳
講義題目:「地球温暖化による日本、北海道への影響」

概  要:日々の天気や季節の移り変わりは我々の生活に様々な影響をもたらします。地球温暖化はこのような身近な気候をどのように変化させるのでしょうか。本講義では、日本や北海道の気候に着目して、観測データが明らかにした過去の気候変化と、その要因を議論します。さらに、最新の気候モデルが予測する北海道の将来気候を紹介し、気候変動が北海道社会に対して与える影響を様々な視点から考察します。


第6回 9月24日(水) 講師:大学院地球環境科学研究院 准教授 藤原 正智
講義題目:「ジオエンジニアリング:新しい温暖化対策?」

概  要:国際的な温室効果ガス削減の取り組みは思うように進んでいません。そこで最近、人為的・意図的に気候システムを大幅改変し、温暖化を軽減しようとする様々な技術が提案されており、総称してジオエンジニアリング(気候工学)と呼ばれています。IPCC AR5ではそのいくつかについて、はじめて評価がなされました。本講義では、気候工学の研究を真剣に考える人達の動機、提案されている主だった手法の詳細、および、科学的・技術的・倫理的・社会的・法的問題について議論します。

講義時間は,毎回18:00〜19:30です。

※ 講師の都合により,講義日が変わる場合があります。

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