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投稿者 :  投稿日時: 2022-09-26 16:37:08 (97 ヒット)

北海道大学大学院環境科学院博士後期課程の波多俊太郎氏と本学院地球圏科学専攻の杉山慎教授(低温科学研究所)、同大学の日置幸介名誉教授(元理学研究院教授)らの研究グループは、人工衛星データ解析から南米チリ・パタゴニアで発生した氷河湖決壊洪水を発見し、その規模とメカニズムを明らかにしました。

人工衛星データを用いて同地域の氷河変動を解析中に、氷河が流れ込む湖としては世界で4番目に大きなグレーベ湖で、2020年4月に水位が約20メートル急激に低下したことが判明しました。さらなる解析から、同年7月までに3.7 km3の湖水が流出したことが示されました。この氷河湖決壊洪水は、人工衛星によって地球が観測されるようになって以来、世界最大規模のものです。高解像度の人工衛星画像などを駆使して決壊原因を調査したところ、地形の崩壊によって湖から流出する河川の流れが移動し、河床の侵食が進んで排水が起きたことが確認されました。さらに、GRACEと呼ばれる地球重力を測定する人工衛星のデータを解析した結果、排水による重力場の変化を捉えました。氷河湖決壊洪水に伴う質量変化が、GRACE衛星で観測されたのは初めてのことです。

パタゴニアでは急速に氷河が後退して氷河湖が拡大していますが、アクセスが困難で研究が十分に行われていません。研究グループは同地域での長い研究実績を活かして、稀に見る規模の氷河湖決壊を世界に先駆けて発見することに成功しました。この結果は、氷河湖の決壊による災害、氷河の将来変動、重力衛星による地球観測の可能性について、貴重なデータを提供するものです。

本研究成果は、2022年8月26日(金)公開の Communications Earth & Environment誌にオンライン掲載されました。

 

詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。

世界最大規模の氷河湖決壊を宇宙から発見!~南米パタゴニアで起きた氷河湖の決壊洪水を世界に先駆けて衛星データで解明~(PDF)

 


投稿者 :  投稿日時: 2022-07-28 15:49:44 (54 ヒット)

北海道大学大学院北方生物圏フィールド科学センター小林 真准教授らの研究グループは、地球温暖化にともなって雪解けの時期が早まると、北海道の森林に生育する植物がどのような影響を受けるのかを調査した結果、雪解け時期の早まりはダケカンバ等の大きな木(成木)の成長には影響を与えず、林床植物のみ稈(かん: 枝にあたる部分)の成長を約15%増加させることを明らかにしました。

研究では大型ヒーターに接続した温風の出るダクトを森中に張り巡らせ、森林全体(合計1,600平方メートル)の雪を溶かすという世界でも類を見ない大規模な野外実験を行いました。実験により10日間ほど雪解け時期が早まると、土壌中の微生物が活発になり、春先に植物が成長に利用しやすい土壌中の窒素が多く作られました。一方、養分の増加は、成木の成長促進には影響を与えなかった一方で、林床植物であるササの成長を促進することが分かりました。

本研究は、"雪解け時期の早まり"という冬に起こる気候変動は、森林の植物へ等しく影響するのではなく、林床植物と成木ではその影響の受け方が異なることを、人工的に雪解け時期を早める大規模実験により示した世界で初めての成果です。

雪解け時期の早まりに対して林床植物の成長が、より敏感に増加することが明らかになったことで、将来の森林が大気中の二酸化炭素を固定する機能を推定する際には、成木だけではなく林床植物による二酸化炭素の吸収を評価することが重要であることが分かりました。今後は、より正確に将来の森林による気候調整機能の理解が深まることが期待されます。

なお、本研究成果は、2022年7月26日(火)公開のEcosphere誌に掲載されました。

 

詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。

温暖化で雪解け時期が早まるとササが伸びる~人工的に雪解けを起こした世界初の大規模研究で、雪降る森の正確なCO2吸収量把握に期待~(PDF)

 


投稿者 :  投稿日時: 2022-07-12 11:15:51 (488 ヒット)

本学院地球圏科学専攻博士前期課程(研究当時)の福本峻吾氏と、本学院地球圏科学専攻の杉山慎教授(低温科学研究所)、三寺史夫教授、白岩孝行准教授らの研究グループは、人工衛星データによって、ロシア・カムチャッカ半島における氷河の質量変動を明らかにしました。

現在、世界各地の山岳地域で氷河の急激な衰退が報告されています。山岳域の氷河は地球上の氷総量の1%に過ぎませんが、その氷損失量は南極やグリーンランドの氷床よりもずっと激しく、21世紀の氷河氷床全融解量の80%を占めています。しかしながら、ロシア・カムチャッカ半島の氷河については研究例が少なく、氷河変動の正確な理解が求められていました。

そこで研究グループは、人工衛星データを使ってカムチャッカ半島全域で氷河の表面標高変化を解析し、2000~2016年の氷量変化を測定しました。その結果、21世紀に入って半島全域で4.9Gtの氷が失われ、0.013mmの海水準上昇に相当する融解水が流出したことが明らかになりました。また2010年以降は氷河の縮小が特に激しく、­毎年1mを超える世界的にも顕著な質量減少が確認されました。また、気候変動の経年変化(太平洋十年規模振動)を解析した結果、同半島における氷減少が今後も加速することが示唆されました。以上の結果は、温暖化とそれに伴う気候変動に対して、カムチャッカ半島の氷河が敏感に反応していることを示します。本研究成果によって、海水準上昇の正確な把握と予測が実現し、カムチャッカ周辺の水文環境の理解が進むことが期待されます。

本研究成果は、2022年7月4日(月)公開のJournal of Glaciology誌にオンライン掲載されました。

 

詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。

ロシア・カムチャッカ半島で最新の氷河変動を解き明かす~近くて遠い、極東ロシアに見る気候変動~(PDF)

 


投稿者 :  投稿日時: 2022-07-12 09:41:01 (394 ヒット)

本学院地球圏科学専攻の青木茂准教授(低温科学研究所)は、国立極地研究所の平野大輔助教、海洋研究開発機構の草原和弥研究員らの共同研究グループと共に、インド洋区にあるアメリー棚氷とケープダンレーポリニヤ付近の南極海沿岸において、海氷の少なかった2016/17年の夏季は海面水温が例年より0.5~1℃も高く、ポリニヤ域表層海水中の棚氷融解成分が約30%高かったことを観測しました。融解成分の高い状態は冬まで継続しました。

人工衛星データや数値実験結果の解析から、夏季に海氷が少ないときには海面付近に通常より多く熱がたまり、風により表層の暖水が棚氷の下に押し込まれ、棚氷を底面から融解させるメカニズムが働くことを見出しました。その後、アメリー棚氷方面から低塩分の暖水が流れてくることでポリニヤでの秋季の海氷形成が遅れ、深層大循環に関わる高密度水の形成が遅れることもわかりました。これまで棚氷の融解には水深数百メートルにある暖水が主要な役割を果たしていると考えられてきましたが、今回の研究は高温になった夏季表層水の沈み込みも大きく寄与することを示しています。

今後、地球温暖化が進行すると南極の海氷も減少すると予想されていますが、海氷減少に伴って海洋表面の貯熱量も加速度的に増大し、棚氷の融解を通じて南極氷床に影響を与えると同時に、海氷の生産が遅れることを通じて深層大循環にも影響する可能性を示しています。

本研究成果は、2022年6月22日(水)公開のCommunications Earth&Environment誌に掲載されました。

 

詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。

南極海の表層にたまった熱が氷河を底から融かす~海氷の生成を遅らせて深層大循環に影響する可能性も~(PDF)

 


投稿者 :  投稿日時: 2022-06-15 15:57:48 (560 ヒット)

本学院生物圏科学専攻の早川卓志助教(地球環境科学研究院)と、明治大学研究・知財戦略機構の糸井川壮大研究推進員は、京都大学、アデレード大学、オーストラリア国立大学、コペンハーゲン大学との国際共同研究チームをつくり、卵を産む哺乳類(単孔類)であるカモノハシとハリモグラが持つ苦味センサータンパク質(苦味受容体)の機能を網羅的に分析しました。水中の多様な生物を食べるカモノハシは、幅広い種類の苦味物質を検知できる万能型苦味受容体を持つが、アリ・シロアリ食に特化したハリモグラは、カモノハシのような万能型受容体を持たず、検出できる苦味物質が少ないことが分かりました。ハリモグラがアリやシロアリを専門に食べるようになったことで苦味の重要性が下がり、限られたものにしか苦味を感じなくなった一方で、水中で様々な生物を摂食するカモノハシは苦味受容体を使って食べられるものの選択を行っている可能性を示しています。

さらにカモノハシやハリモグラでも、植物などに含まれる有毒な配糖体を検知する苦味受容体は残されており、この苦味受容体の機能はヒトを含む全ての哺乳類グループで共通のものであることも分かりました。ヒトやその他の哺乳類がカモノハシ・ハリモグラと分かれたのは約2億年前まで遡ります。大型恐竜が繁栄し、花を咲かす被子植物の多様化が始まろうとしていた時代です。恐竜と競合しながら、植物や昆虫などの毒を含みうる食べ物を口にして進化した哺乳類において、苦味感覚の進化が非常に重要であったことを本研究は意味します。

なお、本研究成果は、日本時間2022年6月1日(水曜)公開のMolecular Biology and Evolution誌に掲載されました。

 

詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。

卵を産む哺乳類カモノハシとハリモグラの苦味感覚を解明~恐竜時代から続く哺乳類の毒物に対する味覚の適応進化~(PDF)  

 


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北海道大学 大学院 環境科学院 / 地球環境科学研究院