プレスリリース

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投稿者 :  投稿日時: 2020-10-28 16:54:01 (85 ヒット)

本学院環境起学専攻の野呂真一郎教授(地球環境科学研究院)と環境物質科学専攻の中村貴義教授(電子科学研究所),本学創成研究機構化学反応創成研究拠点(WPI-ICReDD)の土方優特任准教授,株式会社リガクの佐藤寛泰研究員らの研究グループは,イオン液体中の二酸化炭素の様子を柔らかい結晶を使って可視化することに成功しました。

 

大気中の二酸化炭素濃度上昇は地球温暖化の原因の一つとして知られており,二酸化炭素を大気中に放出する前に高効率に分離回収する試みが世界中で行われています。回収法の一つであるイオン液体による吸収法はこれまで精力的に研究されてきましたが,規則正しい構造をもたない液体であるがゆえに,イオン液体中に吸収された二酸化炭素の構造を見る・知ることはこれまで困難でした。本研究では,液体の柔らかさと結晶の規則性を兼ね備えた柔らかい結晶中にイオン液体成分を組み込むことで,イオン液体中に吸収された二酸化炭素の状態を可視化することに成功しました。本研究成果は,二酸化炭素分離の高効率化へ向けた材料設計に重要な指針を与えることが期待されます。

 

なお,本研究成果は,2020年10月27日(火)公開のCommunications Chemistry誌に掲載されました。また,本研究は,文部科学省科学研究費補助金「挑戦的研究(萌芽)」(18K19864),北海道大学「物質科学フロンティアを開拓するAmbitiousリーダー育成プログラム」による支援を受けて行われました。

 

詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。

柔らかい結晶を使って液体中の二酸化炭素の様子を可視化~二酸化炭素分離の高効率化に期待~(PDF)


投稿者 :  投稿日時: 2020-10-23 13:24:50 (171 ヒット)

本学院地球圏科学専攻の宮﨑雄三助教,西岡純准教授(低温科学研究所),鈴木光次教授,山下洋平准教授(地球環境科学研究院)らの研究グループは,亜寒帯西部北太平洋での船舶による大気と海水の同時観測から,海洋植物プランクトンの細胞老化が進むほど,海しぶきによって大気へ移行する有機物の量が増えることを明らかにし,大気微粒子(エアロゾル)がもつ雲粒の生成能力を抑制する可能性を初めて示しました。

 

大気エアロゾルは太陽光を散乱・吸収するほか,雲の量や降水過程に影響を与えるなど,気候変動に重要な役割を果たします。エアロゾルに最大8090%含まれる有機物は雲生成の促進・抑制を決定づけると考えられています。地球の表面積の約7割を占める海洋の表面では,微生物の活動に伴う有機物が海しぶきにより大気へ放出されますが,海洋大気中の有機物量を支配する要因は明らかではありません。研究グループは海洋植物プランクトンの細胞「老化」に着目した指標を新たに用い,細胞老化が進むほど,海水中及び海しぶきとして大気へ放出される有機物の量が増えることを明らかにしました。さらにこの細胞老化に伴う大気エアロゾルの有機物量の増加は,雲の生成を「抑制」する可能性があることを見出しました。本成果は,温暖化等による海洋表層の植物プランクトンの活動度の変化が,大気への有機物の放出を通して雲の生成に影響することで起こる,将来的な気候影響を評価・予測する上で重要な知見となることが期待されます。

 

なお,本研究成果は,20201012日(月)公開のScientific Reports誌にオンライン掲載されました。

 

詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。

海洋微生物の「老い」が雲の生成を抑える~雲の生成を制御する大気中の有機物量の指標として,海洋微生物の老化度を新たに提唱~(PDF)


投稿者 :  投稿日時: 2020-10-05 16:47:19 (246 ヒット)

本学院地球圏科学専攻の杉山慎教授,西岡純准教授(低温科学研究所)および深町康教授(北極域研究センター)は,本学北方生物圏フィールド科学センターの野村大樹准教授,東京大学大気海洋研究所の漢那直也研究員(日本学術振興会特別研究員・元北海道大学北極域研究センター)と共同で,グリーンランドのカービング氷河から流出する,鉄分に富んだ融け水が,窒素,リンなどの栄養塩に富む海水と混ざって海面へ湧き上がり,夏の間のフィヨルドの生物生産に大きく貢献することを明らかにしました。

 

氷の融け水は,水深200mにある氷河の底からフィヨルドに流出し,その場の海水を巻き込んで湧昇します。ポンプを使ったように海面へ汲み上げられた融け水と海水は,周囲の海水に比べ鉄分と栄養塩を豊富に含んでおり,フィヨルドの広域に広がり植物プランクトンの増殖を促します。

 

カービング氷河が流入するグリーンランドのフィヨルドには,氷河の恵みを受けた豊かな生態系が広がっています。今後,北極域の温暖化が進行してカービング氷河が消失すれば,氷河の融け水による汲み上げポンプの機能が失われて生態系に大きな影響が予想されます。本研究は,グリーンランドで加速している氷河の融解が,フィヨルドの生態系に与える影響の理解への貢献が期待されます。

 

本研究成果は,2020928日(月)公開のGlobal Biogeochemical Cycles 誌にオンライン掲載されました。なお,本研究は,ArCS北極域研究推進プロジェクト,ArCS II 北極域研究加速プロジェクト,日本科学協会の助成を受けて実施されました。

 

詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。

氷河ポンプがフィヨルドの豊かな海洋生態系を支える~海の栄養分が補給・撹拌・移送されるしくみを解明~(PDF)


投稿者 :  投稿日時: 2020-09-20 16:38:37 (296 ヒット)

本学院地球圏科学専攻の西岡純准教授(低温科学研究所),東京大学および海洋研究開発機構の合同研究チームは,シベリアとアラスカの間に位置する“アナディル海峡”で海洋調査を行い,北極海に流れこむ冷たい『湧き水』の存在を明らかにした。この観測は,ロシア極東海洋気象学研究所の「マルタノフスキー号」と海洋研究開発機構の海洋地球研究船「みらい」を用いて2017年と2018年の夏に行われた。それ以前の観測では,ロシア排他的経済水域(EEZ)内の観測が制限されているためにアメリカEEZ内であるアラスカ沿岸の調査結果が中心に報告されてきた。これによると,夏に北極海に流入する海水は極めて高温で,その温暖な海水が北極海の海氷分布を主体的に決定すると言われてきた。しかしながら,アナディル海峡の西側(ベーリング海北西部シベリア沿岸)海域を「マルタノフスキー号」で詳しく調査し「みらい」の広域調査(アラスカ沿岸)とあわせることで,冷たい水が下層から湧き出すポイントが存在し,その水が海峡を北上することで北極海の低水温と海氷の維持につながっていることが明らかになった。この発見によって今後,以前より高い精度での北極海の海氷予測の実現が期待される。また今後はアナディル海峡の冷水の起源を特定し,詳しい調査を行うことで北極海の海氷とベーリング海北西海域の気候変動との因果関係を明らかにしていく。

 

本研究成果は,Journal of Geophysical Research–Oceans誌に掲載されました。

 

詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。

北極海の冷水の起源はシベリアにあった!シベリア沿岸に冷水湧昇帯を発見し,その物理メカニズムを解明(PDF)


投稿者 :  投稿日時: 2020-09-19 16:38:52 (263 ヒット)

本学院地球圏科学専攻の青木茂准教授,平野大輔助教(低温科学研究所)ならびに博士後期課程の山崎開平さんは,海洋研究開発機構や東京海洋大学,水産研究・教育機構の研究者らとともに,オーストラリア南方の南極海の海底付近において,これまで加速度的に低くなってきているとされてきた塩分が,2010年代に反転して急激に高くなりつつあることを見出しました。これまで減ってきていた重い水の量も増えています。こうした海の変化の実態は,水産庁の開洋丸による広域海洋調査や東京海洋大学の海鷹丸による観測航海といった近年の日本による観測を,世界の過去の観測も含めて比較することで判明しました。この変化は,南極深海の海洋循環が強まりつつある可能性も提示しています。変化の原因は,この海域の上流側に位置する南極の棚氷の融解が,ここ何十年か加速してきていたものの,2010年代の前半に弱まったことにある可能性があり,南極氷床と深海との連動性を示すものです。今後の動向を見極めるためには,南極海モニタリング観測網の整備により,変化の傾向を引き続き注視していく必要があります。

 

本研究成果は,2020915日(火)公開のScientific Reports誌に掲載されました。

 

詳細については,以下のプレスリリースをご覧ください。

南極の海の底,もう甘くするのは止めました!?~数十年続いた淡水化傾向が逆転。南極海観測網の継続に期待~(PDF)


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北海道大学 大学院 環境科学院 / 地球環境科学研究院