Graduate School of Env.Science / Faculty of Env.Earth Science
Hokkaido University
N10W5 Sapporo
Hokkaido 060-0810
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《北海道大学大学院地球環境科学研究院長 嶋津克明》
「化学」というと環境汚染や温暖化ガスといった負のイメージが先にたつかもしれません。しかし私達が今日享受している物質的豊かさは,人類が「化学」を使いこなすことで獲得してきたものです。したがって環境に調和したサステイナブルな社会を作っていくためには,物質を扱う化学の力がどうしても必要となります。例えば,植物は再生可能な太陽光エネルギーを利用した光合成という素晴らしいプロセスを完成させていますが,これを化学の力で人工的に模倣することで,エネルギー問題の解決に貢献しうる光触媒が完成されつつあります。有用な天然物質の探索やバイオマスの有効利用,ゼロエミッションプロセスや環境修復材料の開発も進められています。こうした「地球にやさしいくらし」を実現するための技術に加えて,本公開講座では,オゾン層問題や環境分析といった「地球の健康診断」をするための手法についても取り上げます。御来聴をお待ちしています。
概 要:光合成を考えてもわかるように光は生物が生きていくのに不可欠なものですが,太陽からふりそそぐ膨大な量の光は環境浄化やエネルギー創出にも利用できます。代表例が光触媒反応です。すでに,日常生活のなかにも光触媒の応用製品がふえてきています。たとえば,ガラスや壁の光触媒コーティングや空気清浄機がそうです。これらは,光触媒反応によって屋外では汚れをふせぎ,室内では汚染空気を浄化や抗菌・抗ウイルス作用をしめします。また,光触媒によって水を分解し,燃料である水素をとりだす研究も行われています。ここでは,これらの光触媒の可能性についてやさしく解説します。
概 要:富栄養化した海や湖で大発生する赤潮やアオコや船に付いて世界中を旅をするフジツボやイガイは厄介者である。この厄介者を防ぐ化学技術と逆にその化学物質を利用する研究を紹介する。
概 要:私たちは今,地球温暖化,資源・エネルギーの枯渇,地球規模の化学物質汚染,オゾンホールによる紫外線増加,海の富栄養化といった人類共通の問題に直面しています。このような環境問題は古くから知られており,およそ100年前に活躍した宮沢賢治の童話にも様々な環境問題が登場します。「やまなし」では食物連鎖,「グスコーブドリの伝記」では冷害と炭酸ガスと温暖化 ,「狼森と笊森,盗森」では農地開発などが取り上げられています。今回はこのような童話を題材に生態系での物質循環,化学物質汚染,バイオ燃料など生体物質科学に関連した環境問題を紹介したいと思います。
概 要」オゾンはオゾン層として太陽紫外線から地上の生命を守るはたらきをしていますが,地表付近のオゾンは人体,植物にとって有害な大気汚染物質の一つです。また,二酸化炭素と同様に温室効果ガスであり,オゾン濃度の変化は気候にも影響すると考えられています。一方,大気エアロゾルとは,大気中に浮遊する液体,固体の粒子状物質のことで,やはり人体,植物,気候への影響が指摘されています。本講義では,オゾンと大気エアロゾルの生成と反応,環境への影響について,主に化学の視点から解説します。
概 要:私たちが快適に暮らすために,清浄な空気と水は欠かせません。日本の大気汚染は大きく改善されてきましたが,これは工場や自動車の排気ガスを化学的に浄化しているからです。化学反応による環境の清浄化には,化学反応を促進させる物質“触媒"が大いに活躍しています。本講義では,空気と水を清浄化する触媒技術について紹介します。また関連した話題として,化石資源の有効的な利用方法についても解説します。
概 要:私たちの周りの土や水には様々な化学物質が溶けています。それらはカルシウムなどの必要な金属イオンであったり,有害な物質であったりします。この濃度を測るためには,普通には大がかりな機械が必要ですが,特定の金属イオンと反応して色が変わる試薬を使うと簡単な機械で濃度を調べることが出来ます。このような目的に使われる試薬の開発の研究を紹介します。
講義時間は,毎回18:30~20:00です。
※ 講師の都合により,講義日が変わる場合があります。Graduate School of Environmental Sceince, Hokkaido University