研究室の紹介(奥原研当時)
ゲリラ的研究を目指す駅弁集団

ペトロテック誌「研究室みせて」より(21巻, 898, 1998)

研究科・研究室

当研究科は平成5年に開設した新しい大学院独立研究科です。研究科には4専攻(地圏、生態、物質、大気海洋の各環境科学専攻)あり、詳しい内容は、名前でおおよそ見当がつくと思います。私は化学をベースとした専攻である「物質」に属しています。平成7年に着任したので、まだ3年と少しのほやほや研究室です。研究室を軌道に乗せるための諸々の活動を経て、ようやく形が出来たところです。現在スタッフ含めて15人体制です。 研究室の構成や研究内容などは次ページ右下欄にまとめてあるので、ここでは省略して日常の活動の様子を記します。

学生は大学院生だけで、よその学部から来てもらうことになります。うまく集まってくれるかに涙と笑いがありますが、幸い当研究科全体としては比較的人気が高いようです。学部から持ち上がるのと違って、全く面識もなにもない学生が突然配属してくることも少なくなく、毎年ワクワク、ハラハラしています。他大学出身者が多いので、それぞれ違う経歴の持ち主のごった煮状態となりますが、逆に違和感がなく早くなじむようです。

専門に関して、学生は白紙の状態でやってきます(化学系外もOKで、時には、化学も白紙の状態に近い場合もある)ので、修士一年の夏までは、教育に力を入れますというより、入れざるを得ない。日本語の専門書を2冊ゆっくりと読破、さらに英語の専門書を先輩も交えて、一年がかりでこなします。私自身にもよい勉強になるので続けています。

研究を効率よく進めるためには、学生にピッタリ接近している(研究の上で)のが必要ですが、私の姿を見るとサッと物陰にかくれたり、すぐ用事を思い出すのもいて、目的達成に手間取ることもあります。そこで、帰る時実験ノートを机の上に置いてもらい、毎朝、学生がくる前に、そのノートで結果を知るようにしています。時に"おっ"という結果に出会うときもあり、私のささやかな楽しみになっています。実験ノートには折々の事(研究に関連のない)も書くように言ってあるのですが、これはさすがにあまり書いてない。

日常的な活動として一人ずつの週頭ディスカッション(週の始めに行う)と全体の例会を行っています。最も重要な研究室正式行事として、年2回の泊まり掛け温泉めぐりをやっております。毎回違ったところに行けるのでこれ又楽しみです。

研究の基本方針は特にないのですが、ゲリラ的研究を目指しています。 ゲリラ的研究とはオーソドックスでない、夢を追う研究 [ペトロテック誌19巻518 (1996)] の意味ですが、かなり危険を伴うのでまだ本格的には始めていません。最後に、学生に期待している事は、わざわざ大学院にまで進んだのだから、たとえ世間が納得しなくても、本人自身が納得できる研究をやってほしいということです(奥原記)。

内地出身学生のつぶやき

当研究室をひとことでいうと、“全国名物駅弁味の市”です。各大学から関東のこってり味、関西のあっさり味、東北の情緒あふれる味、遠くは中国の4千年の伝統の味などさまざまな駅弁、いや学生が集まっています。それぞれ個性が千差万別なので先生は大変だと言いたいところですが、実は先生が一番個性的なようです。しかし理系研究室にありがちな退廃的ムード、虚ろな目はなく、陽気なイタリアンブルーが研究室の色といえます。環境を変えて意欲的にやってくる人達が多いので活気があるのでしょう。

札幌は魅力的なところです。“タラバガニ、イクラ、ウニ・・・ああ、胃が破裂するまで詰め込みたい!”、“すすきのの美人ママと唄いたい”、“富良野の五郎さん、僕を厳しく叱って下さい”そんな根拠で大学を選んできた人も私だけではありません。そしてやはり食べ物。研究室の恒例行事にジンパ(ジンギスカンパーティー)なるものがあります。ジンギスカンとはハム状にカットされた羊肉を野菜と共にUFO状の鉄板で焼いて食べるものですが、これが至高のうまさでビールに絶妙に合います。他研究室と合同で行うジンパは大変盛り上がり、中には恋が生まれるなんてことも・・・許せんっ。そして冬はやはりウインタースポーツ。実験を最も苦手とする私たちにとって、気分転換の方法が多いのは大きな救いです。

肝心のことを書き忘れてましたが、研究については皆が精力的に取り組んでいます。研究に対して最も必要とされる納豆のような粘り強さについても、先生のオヤジギャグに耐えていれば自然と身に付くようです。

奥原研究室,その効能と副作用

♥効能:北海道の色に染まれる

なんといっても北海道は、内地(北海道でいう本州以南のこと)の人にとってあこがれの土地。研究室に入ってくる学生にとってもいうまでもなく、入学してからゴールデンウィーク、夏休みと過ごすうちに雪が降り積もる頃にはもうすっかり北海道に染まってます。しかし一年ですっかり北海道に染まれというのも無理な話です.勝手に思っていることですが,外は-10℃でも部屋の中を25℃以上にし半袖姿でアイスを食べ、このアイスがたまらないなんていうようになったら,もう身も心もってやつでしょう。

♥副作用:奥原教授の色にも染まる

教授のキャラクターが強烈すぎるため、多くの学生がこうなります。まず初期症状として、教授の口癖がうつります。続いて行動が似てきて以降どんどんと・・・。が、これにもいい面があって,おかげで研究室はいつも良い雰囲気につつまれています。周りの研究室からどのようにみられているのか、気になるところですが。そういえば奥原教授は北海道出身でした。北海道に来て北海道出身の人の色に染まる。これこそ副作用ですね。