活動記録

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投稿者 : admin 投稿日時: 2021-03-26 15:41:31 (228 ヒット)

2020年度沼口賞


氏名: 山下 祥平
題目: Negative effects of spring water on chum salmon (Oncorhynchus keta) from eyed egg to emergence (河川湧水が卵・仔魚期サケ (Oncorhynchus keta) に及ぼす負の影響)
 【修士論文の要旨】

氏名: 三部 真優
題目: 世界自然遺産白神山地に対するイメージ: 聞き取りから明らかにした各関係者の認識
 【修士論文の要旨】


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【選考理由】
氏名: 山下 祥平

 生態系の構造や変化に伴う生物多様性や諸機能の低下は地球規模で進行中であり、その機構解明や対策提案は喫緊の課題である。本研究は重要な生態系サービスを提供するシロザケの産卵環境に着目し、正の効果が知られている湧水の負の側面を定量的に示した。都市河川である豊平川において、一部の産卵床に観察される低酸素、高電気伝導度の地下水がシロザケ卵の生残率および仔魚個体サイズを低下させることを示した。厳冬期の野外観測と室内実験をオリジナリティーに富んだ手法を用いて実施した。湧水の正の効果を最大化するために、河川外の湧水汚染源への対策が有効である必要性も指摘した。
 以上の研究は、汚濁が疑われる河床からの湧出水の影響を生活史初期の再残率や成長率の観点から詳細に報告した希な事例として高い新規性が認められ、豊平川のシロザケの良好な再生産環境保全に寄与する応用性も有する。野外および実験水槽での操作実験を複合的に用いた重層的な研究計画・成果は高く評価できる。
 以上の理由から、本論文は環境起学専攻の理念と目的にもっとも合致し、受賞に相応しいと認められた。

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氏名: 三部 真優
 多くの地域において、年々、劣化していく自然や衰退していく地域を目の前にして、何とかせねば…という想いのもと、いわゆる偉い人や熱意のある人によるかけ声で始めてみたり、他の地域での好事例を真似たりするものの、まとまった行動にならずに、熱意が冷め、課題解決に至らないことが多い。これは、関係者が抱くそれぞれの大切な想いを共有しないままに、課題解決のための合意形成を行おうとすると、同床異夢、即ち、目指すものが異なり、何故異なってしまうかも分からない状態に陥ることによる。ユネスコ世界自然遺産に登録されている白神山地も例外ではない。
 本研究は、そもそも「白神山地ってどんなところ?」を、活動地域や立場、年齢の偏りがないように配慮しつつ、新たな視点や考えが得られなくなるまで、関係者66人計93時間に聞き取りを行った。さらに、質的データ分析(佐藤, 2008)に基づき、その結果を分析、考察した。多くの人々は、白神山地に関わり始めると、良く知られている基本的な知識や経験を得ていき、「コモンセンス」と呼べる白神山地の理解状態に達する。更に、理解を進めていくと、「my白神」と名付けた独自の理解に至る。「my白神」は、自然など特定の事柄に特化した具体的な理解から、文化や暮らしまで幅広く抽象的な理解まで、多様なものである。象徴的な言葉「入れば分かる」には、「発言者と同じ体験をすれば、同じ理解をするはずだ」という文字通りの追体験を意味するほかに、現場を目にして、一緒に入った発言者(高度な理解している人)から、当人が理解の補助を受ける(すなわちインタープリテーション)という意味もあることが分かった。「our白神」と名付けた関係者が考える全体像は、互いの「my白神」が影響しあう形でゆるく繋がっている。多くの関係者の共通の想い「白神山地という地域や自然が持続してほしい」とともに、「入れば分かる」の意味に留意し、お互いの「my白神」を尊重することが大切であるということを明らかにした。
 以上の理由から、本論文は環境起学専攻の理念と目的に合致し、受賞に相応しいと認められた。

投稿者 : admin 投稿日時: 2020-03-25 12:34:27 (892 ヒット)

2019年度沼口賞


氏名: Tiyamike Lizzie Salanjira
題目: Assessment of heavy metal levels in children's hair at the dumpsite in Lilongwe, Malawi (マラウイ・リロングウェ市のゴミ廃棄場での児童毛髪中の重金属含有量調査) 【修士論文の要旨】

【選考理由】
発展途上国ではゴミ捨て場に毎日通い、掘り出したゴミを買取業者に売って生活する児童も多い。電子廃棄物などの焼却灰や煙に接して過ごすので、児童の重金属汚染が昔から危惧されていたが、ケニアでの鉛汚染についての血液検査以外、先行研究は皆無であった。
 本研究では、マラウイの首都のゴミ廃棄場周辺に住む児童188名の毛髪を採取し、既定の洗浄後に毛髪試料中の鉛やカドミウムなど九つの重金属含有量を測定することで、ゴミ廃棄場に通う児童と通わない児童との間では、七つの重金属含有量で優位な差があり、特にアンチモンやクロムなどは通常よりも明らかに高濃度になっていたことを見出した。また廃棄場や住宅地の土壌133試料中のバルク・粘土成分、20試料の生活水についても分析を行い、この重金属汚染源はゴミ廃棄場のみであることも特定した。本研究はゴミ廃棄場による人体汚染を世界で初めて明確に示した事例であり、今後、健康被害軽減のための児童教育や政策策定における重要な論拠となりうる成果である。
 以上の理由から、本論文は沼口賞設立の理念と目的に合致し、受賞に相応しいと認められた。

投稿者 : kigaku 投稿日時: 2019-03-25 18:50:01 (1010 ヒット)

2018年度沼口賞


氏名: 加藤 颯人
題目: ベイツ型擬態の共存に関する群集動態モデルの数理的解析(修士論文の要旨)

【選考理由】
生物種間の相互作用を理解することは、複雑な生態系の理解や保全政策の策定のために重要な現代的課題の一つである。有名な種間相互作用として古くから知られている擬態は生物進化の結晶の一つであるが、真似をするべきモデル種がいない地域にも擬態する種が存在するという謎があった。本研究はその謎に取り組むために、数理モデルを構築し,その謎に理論的解答を与えた。この解答が一般的な仮定のもとでも成立することを数学的に証明したという新奇性があるため、この研究成果は擬態種生態系の保全策に影響を与えるという応用性の高さも有している。
 以上の理由から、本論文は沼口賞設立の理念と目的に合致し、受賞に相応しいと認められました。

投稿者 : kigaku 投稿日時: 2018-12-03 10:35:11 (1020 ヒット)
2018年11月29日(木)に中間発表会としてポスター発表が2セッション、口頭発表が1セッション開催され、活発な議論が交わされました.



北海道大学 大学院 環境科学院 / 地球環境科学研究院