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投稿者 : admin 投稿日時: 2022-03-24 10:16:33 (255 ヒット)

2021年度沼口賞


氏名: 濵野上 龍志
題目: マガキ (Crassostrea gigas)の海洋酸性化影響評価:岡山県日生地先海域と宮城県志津川湾における事例研究(Projecting the impacts of ocean acidification on Pacific oyster (Crassostrea gigas): a case study in Hinase oceanic district in Okayama Prefecture and Shizugawa Bay in Miyagi Prefecture)
 【修士論文の要旨】

氏名: 段 和歓
題目: 北海道の雪氷冷熱エネルギー賦存量評価:ニセコ町における事例研究 (Assessment of snow and ice cryogenic energy potential in Hokkaido: a case study in Niseko Town)
 【修士論文の要旨】


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【選考理由】
氏名: 濵野上 龍志

 人為起源CO2の大量排出に起因する海洋酸性化は、炭酸カルシウムの殻や骨格の形成阻害を通じて貝類等に悪影響を及ぼすと懸念されるが、日本近海のマガキ等の貝類養殖種に対する実際の海洋酸性化影響はよくわかっていない。この現状を踏まえ、濵野上君は日本の主要なマガキ養殖域である岡山県備前市日生地先海域と宮城県南三陸町志津川湾を対象に、マガキの海洋酸性化影響の現状評価と将来予測を行った上で、得られた結果に基づき、今後の海洋酸性化に対する具体的な対策提言を行った。まず、対象海域で実施されている連続観測データの解析を通じて、海洋酸性化の指標である炭酸カルシウム飽和度が大雨後に急速に低下することを初めて明らかにした。また、数値モデリングにより今世紀末までには炭酸カルシウム飽和度がマガキ幼生にとって危険な水準まで低下する可能性があること、その影響を回避するためには緩和策として人為起源CO2の大幅な排出削減が不可欠なことを定量的に示した。さらに、緩和策と並行して実施すべき適応策として、地元の漁業者や漁業組合、カキ養殖業者等への現場での綿密な聞き取り調査や費用便益分析を行った上で、マガキ生産効率の向上と他地域または人工採苗施設からのマガキ種苗購入価格の低減を段階的に進めていく必要性を示した。
 以上の研究は、日本沿岸のマガキ養殖海域に対して初めて統合的に実施されたものであり、日本海洋学会や沿岸環境関連学会連絡協議会等の学会で発表し、学術的にも高い評価を受けている。また、持ち前の社交性も活かして国内外の専門家・実務者との連携を自主的・積極的に進めつつ、観測データ解析、数値モデリング、社会調査、費用便益分析といった多様な手法に習熟し、これらを組み合わせて実施した学際的研究としてもとても高く評価できる。
 以上の理由から、本論文は環境起学専攻の理念と目的に合致し、受賞に相応しいと認められた。

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【選考理由】

氏名: 段 和歓
 北海道には地域に特徴的な再生可能エネルギーである雪氷冷熱が豊富に存在するにもかかわらず、その利活用はこれまで不十分であった。段君は修士課程入学後の早い段階から北海道での雪氷冷熱利活用の推進に向けた研究を志し、高い意識を持ち続けて自立して研究を進めてきた。まず、国内外の関連研究のレビューから始め、次に北海道内の現存の雪氷冷熱利用施設に対して綿密な聞き取り調査を行い、事業主体が抱える現在の課題を明らかにした。その上で、北海道の中でも特別豪雪地帯に属し、また今後も一定の人口が維持されることが見込まれるニセコ町を対象に、雪氷冷熱で農産物や加工品等を低温貯蔵する際の環境性と経済性の評価を行った。その結果、雪氷冷熱の利活用を推進していくためには、低温貯蔵施設の建設時の補助金の導入といった事業者に対する経済的動機の付与が不可欠であることを定量的に明らかにした。さらに、将来の気候変化と社会変化をも考慮し、施設を数十年先まで運用し続けることを考える場合、中小規模雪利用式施設よりも大規模雪利用式施設に優位性があることを明らかにした。
 以上の研究成果は日本LCA学会、日本地球惑星科学連合大会、環境科学会で発表しており、環境科学会2021年会では最優秀発表賞(修士課程学生の部)を受賞する等、学術的にも高い評価を受けている。また、持ち前のたゆまぬ努力により在学中に日本語運用能力や論文読解力を飛躍的に高めつつ、社会調査、ライフサイクルアセスメント、フルコスト評価、費用便益分析といった多様な手法に習熟し、これらを組み合わせて地域社会のニーズに応えるべく実施した学際的研究としてもとても高く評価できる。
 以上の理由から、本論文は環境起学専攻の理念と目的に合致し、受賞に相応しいと認められた。

投稿者 : kigaku 投稿日時: 2022-01-14 10:35:47 (237 ヒット)
藤井准教授、前原せり菜さん(卒業生)らによる以下の研究がプレスリリース(研究発表)に掲載されましたので、ご覧ください。

詳細はこちら https://www.hokudai.ac.jp/news/2022/01/post-967.html

投稿者 : kigaku 投稿日時: 2021-11-29 10:54:01 (352 ヒット)
修士2年 段和歓さんが
環境科学会2021年会 修士課程学生の部 優秀発表賞(富士電機賞) 最優秀発表賞を受賞いたしました。


北海道の雪氷冷熱エネルギー賦存量評価: ニセコ町における事例研究

https://confit.atlas.jp/guide/event/ses2021/notifications

投稿者 : kigaku 投稿日時: 2021-10-14 10:51:19 (383 ヒット)

Ting Wang and Tennyson Lap Wing Lo, both Ph.D. students in the Division of Environmental Science Development, received the Best Presentation Award at the 3rd GLP Asia Conference held online on September 14-17, 2021.

Ting Wang Site sustainability of the unmanaged campsites in Daisetsuzan National Park, Japan: An analysis based on areal camping impacts and use level of the sites Tennyson Lap Wing Lo Morphological changes and drainage network development after coseismic
landslides: A case study in Hokkaido Eastern Iburi region

投稿者 : admin 投稿日時: 2021-03-26 15:41:31 (845 ヒット)

2020年度沼口賞


氏名: 山下 祥平
題目: Negative effects of spring water on chum salmon (Oncorhynchus keta) from eyed egg to emergence (河川湧水が卵・仔魚期サケ (Oncorhynchus keta) に及ぼす負の影響)
 【修士論文の要旨】

氏名: 三部 真優
題目: 世界自然遺産白神山地に対するイメージ: 聞き取りから明らかにした各関係者の認識
 【修士論文の要旨】


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【選考理由】
氏名: 山下 祥平

 生態系の構造や変化に伴う生物多様性や諸機能の低下は地球規模で進行中であり、その機構解明や対策提案は喫緊の課題である。本研究は重要な生態系サービスを提供するシロザケの産卵環境に着目し、正の効果が知られている湧水の負の側面を定量的に示した。都市河川である豊平川において、一部の産卵床に観察される低酸素、高電気伝導度の地下水がシロザケ卵の生残率および仔魚個体サイズを低下させることを示した。厳冬期の野外観測と室内実験をオリジナリティーに富んだ手法を用いて実施した。湧水の正の効果を最大化するために、河川外の湧水汚染源への対策が有効である必要性も指摘した。
 以上の研究は、汚濁が疑われる河床からの湧出水の影響を生活史初期の再残率や成長率の観点から詳細に報告した希な事例として高い新規性が認められ、豊平川のシロザケの良好な再生産環境保全に寄与する応用性も有する。野外および実験水槽での操作実験を複合的に用いた重層的な研究計画・成果は高く評価できる。
 以上の理由から、本論文は環境起学専攻の理念と目的にもっとも合致し、受賞に相応しいと認められた。

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氏名: 三部 真優
 多くの地域において、年々、劣化していく自然や衰退していく地域を目の前にして、何とかせねば…という想いのもと、いわゆる偉い人や熱意のある人によるかけ声で始めてみたり、他の地域での好事例を真似たりするものの、まとまった行動にならずに、熱意が冷め、課題解決に至らないことが多い。これは、関係者が抱くそれぞれの大切な想いを共有しないままに、課題解決のための合意形成を行おうとすると、同床異夢、即ち、目指すものが異なり、何故異なってしまうかも分からない状態に陥ることによる。ユネスコ世界自然遺産に登録されている白神山地も例外ではない。
 本研究は、そもそも「白神山地ってどんなところ?」を、活動地域や立場、年齢の偏りがないように配慮しつつ、新たな視点や考えが得られなくなるまで、関係者66人計93時間に聞き取りを行った。さらに、質的データ分析(佐藤, 2008)に基づき、その結果を分析、考察した。多くの人々は、白神山地に関わり始めると、良く知られている基本的な知識や経験を得ていき、「コモンセンス」と呼べる白神山地の理解状態に達する。更に、理解を進めていくと、「my白神」と名付けた独自の理解に至る。「my白神」は、自然など特定の事柄に特化した具体的な理解から、文化や暮らしまで幅広く抽象的な理解まで、多様なものである。象徴的な言葉「入れば分かる」には、「発言者と同じ体験をすれば、同じ理解をするはずだ」という文字通りの追体験を意味するほかに、現場を目にして、一緒に入った発言者(高度な理解している人)から、当人が理解の補助を受ける(すなわちインタープリテーション)という意味もあることが分かった。「our白神」と名付けた関係者が考える全体像は、互いの「my白神」が影響しあう形でゆるく繋がっている。多くの関係者の共通の想い「白神山地という地域や自然が持続してほしい」とともに、「入れば分かる」の意味に留意し、お互いの「my白神」を尊重することが大切であるということを明らかにした。
 以上の理由から、本論文は環境起学専攻の理念と目的に合致し、受賞に相応しいと認められた。

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Graduate School of Environmental Sceince, Hokkaido University