2011年度沼口賞受賞者および授賞理由一覧

過去の活動記録 - 2011年度沼口賞受賞者および授賞理由一覧

2011年度沼口賞受賞者および授賞理由一覧

カテゴリ : 
院生の活動
執筆 : 
kigaku 2012/3/25 18:10
沼口修士論文賞は、自然をこよなく愛し、その仕組みを理解しようと多大な情熱を 以って数々の優れた研究に取り組んだ故沼口敦助教授の遺志を引き継ぐような研究を奨励する趣旨で2001年に設立されました。環境科学院への改組に伴い、2006年度からその授賞母体が環境起学専攻に移りました。本論文賞は毎年、環境起学専攻の当該年度の修士論文の中から、専攻の理念にふさわしい優れた研究を論文賞選考委員会が選考し、授賞します。
2012年3月25日 修了祝賀会において「沼口賞」の授賞式が行われました。
沼口賞授賞者選考理由

授賞対象者:統合コース 本城 慶多君:Sensitivity analysis of household CO2 emissions in 47 prefectures of Japan
(日本の 47 都道府県における家計部門 CO2 排出量の感度分析)


 地球の気候変動に大きく関与している人類活動によるCO2ガスの大気への放出量の削減は今日の国際社会に投げかけられている大きな課題である。日本においても、多くの削減努力がなされているが、残念ながら家庭部門のCO2排出量は増加の一途をたどっている。本論文では日本の47都道府県の家庭部門のエネルギー使用に伴うCO2排出量の予測を、人口分布の変化、温暖化による冷暖房エネルギー需要の変化、原子力発電や石炭石油発電から低炭素LNG発電への切替による効果、炭素税導入による削減効果をモデル計算によって推定をした。推定結果より、1)21世紀末における冷暖房需要の変化に伴うCO2排出量は北方地域の暖房需要の減少が冷房需要を僅かに上回り、若干の減少をすること、2)炭素税の導入による削減効果は短期間では限定的であること、3)原子力と石炭石油発電をすべて高効率LNG発電に転換すれば、現状のCO2排出量のレベルを維持出来ること、を明らかにした。本研究は、最新の気候変動モデルの結果を利用し家庭部門のCO2排出量の将来予測を日本の都道府県別で行った野心的な研究である。また、2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、原発廃止の声が高まりを見せる中で、脱原発とクリーンLNG燃料への転換が家庭部門CO2排出量にどの程度影響するかを定量的に評価したことは大いに評価できる。この結果は今後の日本の電力供給のあり方の議論に重要な論点を提供するものである。

沼口修士論文賞は故沼口敦助教授の遺志を引き継ぐ研究を奨励する趣旨で前大気海洋圏環境科学専攻の修士課程修了学生を対象として設立されたものであるが、2006年度からは改組に伴い環境起学専攻の論文賞として引き継がれ、環境起学の理念にふさわしい優れた研究を行い修士論文をまとめた学生の中から選考されることになった。本委員会では論文(研究)の完成度はもとより、課題解決型であるか、分野横断・統合性についての評価を行った。 環境起学は環境と環境の変化を科学的に調べると同時に、得られた知見を利用して包括的かつ統合的な環境の改善や修復に役立てる方法も探索する学問であるとするならば、本論文は環境起学専攻の理念と目的にもっとも合致し、受賞に相応しいと認められた。
沼口賞受賞者選考委員会     南川雅男、田中教幸(委員長)、白岩孝行、根岸淳二郎

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北海道大学 大学院 環境科学院 / 地球環境科学研究院