理念

本専攻の目的

漆黒の闇に浮かぶ青い惑星、地球。宇宙のオアシスと呼ぶに相応しいその美しい姿は、我々にとって棲み良いこの地球の環境と無縁ではありません。大気に包まれた広大な青い海と大陸、そこに浮かぶ雲と極域を覆う白い雪氷。それらのほどよいバランスは、温暖な気候の結果であるとともに、それがそうであるための原因の一部でもあります。では、この地球の環境と気候は具体的にはどのようにして維持されているのでしょうか。また、地球誕生以来、その環境はどのように変遷してきたのでしょうか。さらには、人為起源の二酸化炭素等が大気中に増大しつつある現在、この地球の環境や気候はどのように変化・変動していくのでしょうか。そして、大規模な地球環境の変化・気候変動は、我々の身の回りの自然にどのように影響するのでしょうか。本専攻はそのような疑問に答えるための地球科学的基盤を与えることを目的とします。

教育方針および構成

我々は、自分の住んでいる場所の環境や気候を主に景観と日々の気象の平均状態から感じます。しかし、それは、もちろん、その場だけで決まっているわけではなく、大気や海洋の運動、温室効果気体やエアロゾル、植生や雪氷を含む全球規模の地表面状態の影響を受けています。そしてそれらは相互に作用しあいながらこの地球の環境を形作っています。それら全てを理解するためには、基礎としては、物理学、化学、生物学、地学、全てが必要となり、とても個人でどうにか出来るものではありません。それ故、地球システムの総合的理解は専門を異にする多くの人々の協力の下、初めて可能になります。本専攻では、そのようなことを念頭に以下の階層構造の下に教育を進めます。

高い専門性を目指す研究室: 他者との協力のためにも、まず必要なのは高い専門性です。それは、指導教員を中心とする各研究室での研究を通じて培われます。

伝統的学問分野に根差したコース: 地球表層の科学は、いくつもの分野で別々に研究されてきました。そのような伝統的分野に対応するのが次のコースです。

学生諸君はコースに所属し、各コースで、それぞれの分野について体系的に学びます。セミナーや実習等もコースが中心であり、教育および学生生活における核としての役割を果たします。

分野間の相互作用の場としての専攻: 上記コースは手法や考え方に違いはありますが、対象は同じ地球です。学問の進展にともない、分野間の協力、および、その学際領域の研究はますます重要になってきています。また、学生諸君にとっては、自分の研究を地球科学全体なかで位置づけることも重要であり、さらに、自分の研究対象に関連する事柄を他分野の人がどのように考え、どのように扱っているかを知ることは、新たな研究の種にもなりえます。このような各分野間の意見交換や相互作用の場として専攻が機能することを目指しています。その一助として、他コース向けの4つの基礎論が開講されます。

伝統的専門分野に根差した高い専門性と他分野との会話可能な広い知見を養うこと、これが本専攻の教育におけるスタンスです。

おわりに

環境科学院は特定の学部を持たない大学院です。本専攻も、地球科学に興味を持ちつつもそれを学ぶ機会のなかった多くの人に門戸を開いています。在学生の多くは他分野からの入学者であり、必要に応じて基礎からの教育を行います。この専攻に参画する教員は約60名であり、手法的にも、各種現場観測、衛星観測、化学的・物理的実験、コンピュータシミュレーション、理論等、多様です。アウトドア派の人から書斎派の人まで、必ずや自分に合う世界が見つかるのではないかと思います。身の回りの自然、防災、個々の現象の詳細な機構から地球システム全体の有り様まで、いろいろな興味に基づいて、意欲的に勉強・研究したい学生諸君の入学を歓迎します。


北海道大学 大学院 環境科学院 / 地球環境科学研究院