第4回 シンポジウム 「21世紀COE汚染物質(評価修正)グループ」


 研究科アワー
       「21世紀COE汚染物質(評価修復)グループ」を下記の日程で行いました。



日時:  2003年6月20日(金) 17時より18時 
場所:  研究科2階講堂


講演者:  田中 俊逸(生体機能化学講座)
       沖野 龍文(生体機能化学講座)
       嶋津 克明(物質機能化学講座)


座長:  乗木新一郎(化学物質循環講座)



汚染物質(評価修復)グループでは、低濃度環境汚染物質に関して、探索→影響評価→調査→修復という一連のシステムを稼働させながら、人や生態への影響やその修復法に関する研究を展開しようとしている。今回はその研究計画の概要とともに2・3のトピックスについて紹介。


1)グループの研究計画の概要並びに環境影響因子としての腐植物質(田中俊逸)      
  環境汚染物質、特に低濃度で人や生態系に影響を与える物質に対処していくためには、探索→影響評価→調査→修復という一連のシステムを稼働させることが必要である。システム中のそれぞれの要素は相互に関連しており、新しい指標に基づく影響評価法の開発は、新たな汚染物質や環境影響因子の探索を可能にする。また、環境修復法に関する方向性を示すことができる。
 土壌有機物の一つである腐植物質は、その化学構造から環境中で錯形成、酸化還元、界面活性能など多様な機能を示し、汚染物質の動態等に大きな影響を与える環境影響因子の一つと考えられる。腐植物質の機能の幾つかを紹介し、その環境影響因子としての役割を議論してみたい。


2)未知環境汚染物質の探索(沖野龍文)
 赤潮やアオコなどの有毒プランクトンの発生、PCB、有機スズ化合物や水銀などの生体濃縮など、水圏の生物は化学物質のレベルにおいても非常に大きな問題となっている。また、各地である生物が大量発生するという現象が報じられ、これも生態系機能低下の結果と考えられる。
 そこで、未知環境汚染物質の探索研究として、水圏生物を対象に、グループ内の協力により、神経芽細胞の分化あるいはアポトーシスの誘導、促進といった評価法を用いてスクリーニングする。また、北海道でも大量発生して廃棄物として問題となっているヒトデの有効利用に関する天然物化学的研究を展開する。


3)電気化学法による硝酸性窒素の無害化(嶋津克明)
工場廃液や肥料の過剰投与により地下水の硝酸性窒素汚染が進行している。硝酸性窒素は酸素欠乏症やがんを引き起こすと言われており、無害化技術の早急な開発が求められている。私達は将来有望な修復技術と認識されつつある電気化学法による無害化を検討し、これまで電気化学系では最高の活性と選択性を有する電極触媒の開発に成功した。硝酸汚染の現状、電気化学系の特徴などを交えてこれまで得られた研究成果の概要を紹介する。


 

 



北海道大学 大学院地球環境科学研究院・低温科学研究所
21世紀COEプログラム「生態地球圏システム劇変の予測と回避」
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