スイスアルプス野外実習 2006年度実習報告
−−北海道大学環境科学院 地球雪氷学実習−−
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スイス野外実習11日目


スイス実習の最後に、Davosにある雪・雪崩研究所(Swiss Federal Institute for Snow and Avalanche Research SLF)を見学した。スイスでは雪や雪崩の研 究は古くからさかんであり、世界で最も先進的な研究が行われている。Davos は昔からスキーリゾートとして知られる町で、まわりは山々で囲まれている。 そんなDavosにある研究所では、スイス全土に渡る雪崩予報の配信を主な業務 として、雪崩予報のためのモデル開発とシミュレーション、警報システムやリ スクマネージメント技術の開発も行っている。それに加え、積雪や雪の基礎研 究も行われていて、雪崩モデル開発だけでなく積雪変質モデルの開発もしてい る。積雪変質は、表層雪崩の発生に重要な弱層形成メカニズムにおいて重要で ある。また、研究所内では雪の結晶を生成したり積雪サンプルを解析したりす るための低温室、競技用スキーの研究開発を行っている様子も見ることができ た。

Davosの位置

スイス全土で配信されている雪崩予報の 様子。SLFでは冬季にスイス全土の雪崩予報 をHPで公開している。下図は危険度を 5 段階で分けたもので、数字が大きいほ ど危険度が大きい。

玄関ホ−ルにはいろいろな雪崩や雪に関する展示物がある。Davosでの雪崩や 土砂災害の歴史についてのパネル、雪崩のメカニズムの簡単な模型などが展示 されている。

雪崩や土石流の力学やシミュレ−ションについてのレクチャ−。Davosでの雪 崩や土石流のシミュレーションを見ることができた。

さまざまなタイプの積雪の模型を使った積雪の研究のレクチャ−。積雪にはさ まざまタイプがあり、気象条件によって積雪内部で変化していく。サンプルの 解析や積雪変質モデルの研究について聞くことができた。

研究所の中を案内してもらう。実際にスイス全土で用いられている気象測器が 展示されている。さらに、スイス全土で配信されている雪崩予報の様子をネッ トを使って紹介してもらった。

自分のはく息で水蒸気をペットボトルに送り込み、それを冷やして雪の結晶を 自分達でつくった。ペットボトル内につるされた糸のまわりに針状の雪の結晶 が生成された。

マイナス13度の低温室では雪の結晶を見ることができた。

この研究所内では、競技用のスキーの研究開発も行われている。 プロのスキーヤーと協力してスキー板の形状やワックスによる 違いを調べ速く滑れるスキーを研究している。

ホテルから見たDavosの町。山々に囲まれている。雪崩や土石流の研究が町の 生活と結び付いていることが実感できる。

山の中にある筋は雪崩によるもの。雪崩の多い地域の山ではよく見られる特徴 だという。
文責  平池 友梨

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