スイスアルプス野外実習 2022年度実習報告
--北海道大学環境科学院 地球雪氷学実習--
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スイス実習・9/2


終日:Rhone氷河にて観測実習(氷河までバスで移動)
夕食後:データ処理・解析、観測打ち合わせ

ローヌ氷河1日目


いよいよ待ちに待ったスイス実習のメインであるローヌ氷河の観測!
まずは氷河の融解水からできているローヌ川の流量観測です。
このローヌ川、地中海に繋がっているのです。
地中海を想像しながら白岩先生の指導の下、圧力計やラプスカメラの設置を行いました。


ついにローヌ氷河に到着!
最初の印象は「黒いっ!」でした。氷河上に生息するクリオコナイトという微生物によって黒くなっているみたいです。
右側には“geotextile”という白い布に覆われている姿が見えます。
氷河を守るために約10年前から用いられているようです。


氷河上に出るまでによく見かけるツルツルとした石。
花崗岩が氷河に削られてこのような神秘的な姿になったそうです。
雨あがりに太陽の光に照らされている姿が特に印象的でした。


観測前にアイゼンに慣れる練習を行いました。最初はアイゼンをつけるのにも一苦労…。
ザクザクという音を立てながら氷河上を歩き回りました。


こちらはクレバスに落ちた場合を想定した救出練習です。
滑車を使うことであまり力を使わずに救出ができます。
簡単に引き上げられることにみな感動しながら、救出練習を行いました。
今回は誰もクレバスに落ちずに、この知識を使わず良かったです。




午後からは実際の観測開始。無事にデータが取れることを祈りながら気象観測と氷河湖の流量観測用の機器を設置しました。
写真の上から、気象状態と氷河湖に浮かぶ氷山の動きを観察するためのラプスカメラ、気象データ、湖の流量観測機器を設置している様子です。


機器の設置が終わると、杉山先生と白岩先生の2班に分かれて観測開始です。
杉山先生の班は表面高度の変化を測定するためのGPS測定でした。
10年前に測定した測定点の氷の一部は完全に融解し、現在は岩が露呈するなど、氷河の後退を感じながら測定していました。
白岩先生の班は、 “モレーン”という氷河によって作られた地形の観察を行いました。
写真の下側は、氷河が拡大した際に氷河の末端が堆積物を集めたできた層、 上の層は氷河による影響がないためコケが生えている様子がよく見えます。


最後に私のお気に入りの写真です。
これは、“Glacial table”といって、大きな石の断熱効果によって下の氷が溶けにくく残っている状態、自然のアートです。
授業や教科書から得た氷河の知識を実際に目にできる貴重な時間を過ごしました。

文責 石井 花菜

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