Graduate School of Environmental Science

環境科学の座標軸を提示する

EESセミナーの開催(日本海堆積物に記録された過去の東アジア冬モンスーン変動)7/25

2022-07-13

EES seminar(旧:研究院アワー)のご案内

久しぶりにEESセミナーを企画しました。興味をもたれた方はどなたでも気軽にご参加ください。(わかりやすく面白い話になると思います。)

  • 2022年7月25日(月)16:30-17:30
  • Place: 環境科学院D101
  • Speaker: 入野智久 (Tomohisa Irino)
    • 地球圏科学部門・環境変動解析学分野・准教授 (Associate Professor, Faculty of Environmental Earth Science, Hokkaido University)
  • Title: 日本海堆積物に記録された過去の東アジア冬モンスーン変動 (Reconstruction of east Asian winter monsoon in the past using sediment archives in the Japan Sea)
  • Language: Japanese
  • Chair: 堀之内武(地球圏科学部門)

要旨

東アジアの気候は、夏の多雨と冬の厳寒で特徴づけられ、それぞれ東アジア夏モンスーン、冬モンスーンと呼ばれている。夏モンスーン期には、揚子江の流出に伴って塩分が低く栄養塩に富んだ東シナ海表層水が対馬海峡を通して日本海に流入し、日本海表層の成層と生物生産を維持している。また冬モンスーンによる日本海表層水の冷却は、海氷の生産と表層水の中深層への沈み込みによる換気をもたらしている。一方、日本海の海底堆積物への有機物の埋没フラックスは、生物生産と底層水酸化還元度に依存した有機物の分解とに制御されるので、夏モンスーンによる栄養塩に富む東シナ海沿岸水の日本海への張り出しと、冬モンスーンによる底層水の換気の程度のバランスで決まると考えられる。2013年に行われた統合深海掘削計画第346次調査航海(IODP Exp. 346)では、日本海の中で330 mから 3429 mにいたる様々な水深の7地点から連続な堆積物が掘削された。水深の最も浅いU1427地点を除くU1422-U1426およびU1430地点の堆積相は、千年スケールで繰り返す明暗互層をなす半遠洋性堆積物で、それらの明暗パターンは同時間面として広く対比でき、どのサイトの年代モデルも確立している。また日本海堆積物の明度は、有機炭素(TOC)含有量と強く逆相関することが分かっているので、堆積物写真、堆積物全体のガンマ線吸収率(GRA)からそれぞれ算出される明度、乾燥かさ密度を用いることで、各地点各時代のTOCフラックスを計算できる。そこで過去における冬モンスーンによる日本海中深層の換気パターンを復元するために、TOCフラックスの深度分布の時代変化を利用し、過去100万年間にわたる数万年スケールでの冬モンスーン変動の評価を試みる。

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