Graduate School of Environmental Science

環境科学の座標軸を提示する

2017 Public Lecture

2017-06-09

平成29年度公開講座 健康を目指す環境科学

パンフレット

公開講座開催にあたって

《北海道大学大学院地球環境科学研究院長 久保川 厚》

 衛生環境の向上・安全な水の供給・栄養の改善・医療の進歩などにより人間の寿命は延びてきました。一方で,様々な環境汚染物質が健康を損なうという心配はないでしょうか。環境科学者は,汚染物質の健康に及ぼす影響を調べ,健康を守りながら化学物質を使う仕組みを整えてきました。そのまま残しては健康を損なう化学物質を取り除く方法も開発しています。汚染物質の健康影響を調べているうちに,逆に健康を守る化学物質を見つけるようになりました。このような形で環境科学は皆さんの健康な生活を目指しています。
 この公開講座では,化学物質の影響がどのように評価されているか,どのように化学物質が管理されているかを学ぶことで,種々の化学物質に関する情報を理解できることを目指します。特に,放射能のリスク評価・様々な環境要因の次世代影響をとりあげ,汚染物質の除去方法と化学物質のリスク管理を紹介します。さらには,食品成分の効果や,新しい薬の話題を提供します。6人の研究者が最新の研究成果とともにわかりやすく紹介しますので,多くの皆様のご来聴をお待ちしています。

【公開講座要領】

  1. 開講時期  平成29年8月22日(火)〜9月26日(火)(毎週火曜日)
  2. 実施場所  北海道大学大学院地球環境科学研究院(札幌市北区北10条西5丁目)
  3. 受講資格  満18歳以上の方であればどなたでも受講できます。(学歴不問)
  4. 定  員   先着70名
  5. 受 講 料   3,500円(既納の受講料はお返しできません。)
  6. 修了証書  全6回の開講のうち,4回以上受講した方には、最終講義終了時に修了証書を交付します。
  7. 主  催   北海道大学大学院地球環境科学研究院
  8. 後  援   札幌市教育委員会

【申込要領】

  1. 申込期間 平成29年7月10日(月)〜7月21日(金)【必着】
  2. 申込先  北海道大学環境科学事務部教務担当

    〒060-0810 札幌市北区北10条西5丁目
    電話 (011) 706-2204
    E-Mail kyomu (at) ees.hokudai.ac.jp

  3. 申込手続   申し込みは,下記の手順を全て行うことで完了します。

    1.仮申込【仮申込書】をダウンロードしてご利用下さい.
    2.先着順(定員70名)に本申込みの手続書類を郵送
    3.本申込み(受講料の納付を含む)
    4.手続き完了

  4. 詳細は,別紙「申込方法」を参照願います。

【その他】

  1. 会場には、駐車場がありませんので、公共の交通機関をご利用ください。
  2. 本公開講座は、平成29年度前期道民カレッジ連携講座(環境生活コース9単位)の指定を受けています。
  3. 本公開講座は特定の回のみの受講も可能です(受講料も減額となる場合があります)ので、希望される方は上記申込「1仮申込み」の際にお申し出ください。

北海道大学大学院地球環境科学研究院 公開講座
《健康を目指す環境科学》

  ※講義題目をクリックするとテキストが閲覧できます。

第1回 8月22日(火) 講師:大学院地球環境科学研究院 教授 沖野 龍文
講義題目:「海に眠る薬」

概  要:2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智博士は,土壌の微生物から医薬品となる化学物質を発見しました。実は海の中にも医薬品の候補化合物が眠っています。世界中の化学者が海に眠る薬を解き明かしてきた歴史を振り返ります。海の生物が自分の身を守るためにもっている化学物質を,私たちも使わせてもらいます。

第2回 8月29日(火) 講師:大学院地球環境科学研究院 特任教授 田中 俊逸
講義題目:「汚染物質の除去・修復」

概  要:清浄な環境の中で暮らすことによって私たちの健康は維持されています。しかし,残念ながら私達をとりまく環境はしばしば汚染されたり,破壊されたりしています。清浄な環境を保つためには,汚染物質を環境に排出しないようにするとともに,汚染された環境から汚染物を取り除き元の状態に修復することが必要となります。本講義では,汚染された環境から汚染物質を除去するために,主に吸着剤を用いる方法を取り上げ,実際の汚染場所でどのように用いられているのかについて解説します。また,講演者が最近取り組んでいる「容易に回収できる吸着剤」の開発に関する研究について紹介します。

第3回 9月5日(火) 講師:大学院地球環境科学研究院 准教授 藏崎 正明
講義題目:「食品成分と健康」

概  要:ワインは健康にいいとか,ブルーベリーは色々な病気の予防に効いているとかいう新聞記事や会社の製品の説明で聞いたことがあるかと思います。食品中のどんな成分がそんな効能を発揮しているのでしょうか。本講義では植物中に含まれているポリフェノール類と呼ばれる分子の構造と基本的な働き,さらに我々に身近な糖尿病や高血圧というような怖い疾病でポリフェノール類がどのように私たちの体の中で予防効果を示しているのかについて紹介します。

第4回 9月12日(火) 講師:大学院保健科学研究院 教授 齋藤 健
講義題目:「環境と健康 -生活習慣病・老化-」

概  要:環境要因が健康に与える影響について,新たに発見されたエピジェネティクスと呼ばれる現象との関連を中心に解説します。エピジェネティクスとは,遺伝子配列の変化を伴わず子孫に伝わる遺伝子機能の変化のことです。エピジェネティクスが関わる生命現象は多岐にわたり,生活習慣病など様々な疾患や老化にも関連していることが解ってきました。さらに,環境要因が次世代に及ぼす影響にエピジェネティクな変化が関与している可能性について考察します。

第5回 9月19日(火) 講師:安全衛生本部 教授 川上 貴教
講義題目:「化学物質のリスク管理入門」

概  要:「化学物質」と聞くとどのような印象をお持ちでしょうか。残念ながら危険・有害といった漠然とした悪い印象をもつ方が多いですが,その一方で化学物質は私たちの生活に欠かせない存在であることも事実です。現在,世界では約10万種類の化学物質が流通していると言われており,それぞれが様々な性質をもっていて,扱い方しだいで便利なものにも恐ろしいものにもなり得ます。本講義では,化学物質と安全に付き合うための基本的な考え方について紹介します。


第6回 9月26日(火) 講師:大学院地球環境科学研究院 准教授 豊田 和弘
講義題目:「放射能健康被害と高レベル放射性廃棄物」

概  要:放射能の健康被害については多様なリスク情報に溢れています。パニックを煽るようなマスメディアの報道の仕方や専門家のコメントにも問題が多いです。本講義では,放射線被曝の健康被害について他の要因とのリスクの大小の比較を行い,福島の原発事故による健康被害の実際の研究結果はどのように報告されているか概観します。また,使用済核燃料などの高レベル放射性廃棄物の地層処分についての研究の歴史を1980年代から概観します。

講義時間は,毎回18:00〜19:30です。

※ 講師の都合により,講義日が変わる場合があります。

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