2010Public Lecture

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平成22年度公開講座 北海道の自然環境再考: その危機的現象をとらえる

パンフレット

公開講座開催にあたって

《北海道大学大学院地球環境科学研究院長 南 川 雅 男》

 わが国でもっとも豊かな自然を誇る北海道には毎年、国内、海外から大勢の観光客が訪れ、その野生的な自然に満足し、知床や大雪の自然はまさしく世界の資産であり、人類の資産であることを実感するのです。しかし、このように貴重な自然環境も永遠不滅ではありません。気候の温暖化や、ますます激しくなる人の活動は、この自然にすでに大きな影響をもたらしていることも知るべきなのです。今回の公開講座では、北海道の自然を注意深く観察してきた研究者のレポートから、この貴重な自然がいかに壊れやすいか、すでにどのような変化が起こっているのかを知ることがテーマです。サケや高山植物など代表的な生物種や、川や海岸ですらも不変ということはないことを知らされます。さらに大勢の観光客が訪れる国立公園では、登山道が周辺の環境を侵食するという皮肉な結果を知らされるでしょう。こうした現実を見つめて、貴重な資産をどのように守ればよいのか、一緒に考えてみましょう。

【公開講座要領】
  1. 開講時期  平成22年8月24日(火)〜9月28日(火)
  2. 実施場所  北海道大学大学院地球環境科学研究院 新講義棟D−101
  3. 受講資格  満18歳以上の方であればどなたでも受講できます。(学歴不問)
  4. 定  員   先着50名
  5. 受 講 料   3,500円(既納の受講料はお返しできません。)
  6. 修了証書  4回以上受講した方には、最終講義終了時に修了証書を交付します。
【申込要領】
  1. 申込期間 平成22年7月26日(月) - 8月4日(水)
  2. 申込先  北海道大学環境科学事務部 (学術助成担当)
            〒060-0810 札幌市北区北10条西5丁目
            電話 (011) 706-2204, 2205
            E-Mail gakujutu (at) ees.hokudai.ac.jp
  3. 申込手続 申し込みは、直接窓口で行うか、郵送で行ってください。
    直接窓口で申し込む場合、郵送で申し込む場合、ともに、あらかじめ受講料を金融機関窓口で払込みのうえ(ATMによる振込みは不可)、受講申込書にE票(受付証明書)を貼付して申し込んでください。
  4. 参  考
    この情報をWEBでご覧いただいている場合は、返信用封筒(角2封筒・120円切手貼付)を上記申込先あてお送りください。折返しパンフレット・申込書・受講料振込用紙を返送いたします。
【その他】
  1. 会場には、受講者のための駐車場がありませんので、公共の交通機関をご利用ください。
  2. 本公開講座は、平成22年度前期道民カレッジ連携講座(ほっかいどう学コース9単位)の指定を受けています。
  3. 本公開講座は特定の回のみの受講も可能です(受講料も減額となる場合があります)ので、希望される方は上記申込先までお問い合わせください。

北海道大学大学院地球環境科学研究院 公開講座
《北海道の自然環境再考:その危機的現象をとらえる》

第1回 8月24日(火) 講師: 創成研究機構      特任助教 小泉 逸郎
講義題目:「サケ科魚類の魅力と、彼らをとりまく現状」

概  要:北海道の代表的生物であるサケ科魚類。見事なまでの美しいプロポーションに大きな体。清らかな流れに棲息し、味は絶品。何千キロも海を回遊するにもかかわらず、産まれた川に戻ってくる謎めいた生態。私もそんな魅力に取り憑かれて、北海道、さらには北欧、北米まで回遊しました。フィールド調査を続けるうちに、その興味深い生態がどんどん明らかになってきましたが、同時に、近年の環境改変による悪影響も強く実感します。本講演ではその魅力と苦境をお話したいと思います。

第2回 8月31日(火) 講師: 大学院地球環境科学研究院 准教授 工藤  岳
講義題目:「大雪山の高山生態系の変貌」

概  要:大雪山系は高緯度地域に位置しているうえに、森林限界を超える標高に台地が広がる地形要因のため、我が国最大規模の高山生態系が発達している。多様な高山植生は、豊富な積雪と地形要因が作り出す、融雪時期の違いによって作られている。近年の温暖気候により、雪解け時期は早期化の傾向があり、それに対応して高山植生が急速に衰退している事実が明らかにされた。多様な積雪環境により維持されてきた高山生態系の仕組みと、地球温暖化の影響について紹介します。

第3回 9月 7日(火) 講師: 大学院地球環境科学研究院 准教授 露崎 史朗
講義題目:「湿原の保全と復元―サロベツ湿原を事例としてー」

概  要:サロベツ湿原は、原生花園とも呼ばれるように、様々な植物が生育している。また、ラムサール条約に登録され、水鳥保護上も貴重な湿原である。しかし、世界の至るところで、主に人為により湿原は減少の一途を辿っており、地球温暖化が、その減少に追い討ちをかけている。ここでは、サロベツ湿原の中でも大規模な撹乱を受けた泥炭採掘跡地の遷移過程を、水、埋土種子、リター、定着促進効果、絶滅危惧種というキーワードでまとめ、保全と復元について考えたい。

第4回 9月14日(火) 講師: 大学院地球環境科学研究院 准教授 渡邉 悌二
講義題目:「大雪山の荒廃する登山道」

概  要:大雪山の高山帯には登山道が張り巡らされていて,その荒廃の進行のようすが過去20年にわたって調査されている。大雪山は,世界の山岳地域の中でも最も登山道荒廃が進んだ地域の一つで,危機的状況にあるといえる。最近は,こうした危機的状況への対策が少しずつ進められるようになってきてはいるものの,問題解決への道のりははるか遠いと言わざるを得ない。この講義では,まず荒廃の危機的状況について述べ,そのうえで荒廃に対する対策を紹介します。

第5回 9月21日(火) 講師: 低温科学研究所      准教授 白岩 孝行
講義題目:「アムール川とオホーツク海:陸海境界・国境を越えた環境システムの発見と保全」

概  要:近年、アムール川流域が、オホーツク海や北部北太平洋親潮域の巨大な魚付林になっている可能性が浮かび上がってきました。アムール川からもたらされる溶存鉄が海の生き物をどう育んでいるか、また流域における人為的な土地改変が陸面からの溶存鉄流出にどう影響するか。そして地球温暖化の影響は?日中露の三カ国が国境を越え、また陸と海の境界を越え、この壮大な環境システムの保全についてどう取り組むか。北海道の海、オホーツク海で起こっているダイナミックな問題を紹介します。

第6回 9月28日(火) 講師: 大学院地球環境科学研究院 教 授 平川 一臣
講義題目:「北海道の川と海岸の危機的地形現象」

概  要:北海道の海岸線や河床に異常・異様な変化が発生していると聞いたことがありますか?海浜の砂や石,河床の礫は,時々刻々水流とともに運搬・移動している."浜の真砂がつきてしまったら・・・・"何が起きるでしょうか?人工構造物(港湾突堤,砂防ダムなど)を設置すると海浜や河床に急激な侵食・堆積が生じることが多い.工学的に対処療法を施しても,自然は"自然のシステム"として応答し,人間のコントロールを受け付けません.このような現象を紹介し,異常な海岸浸食や河床低下に関わる"自然のシステム"を考えます。

講義時間は,毎回18:30〜20:00です。


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Graduate School of Environmental Sceince, Hokkaido University