北海道大学大学院環境科学院 ガイア 本文へジャンプ
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研究紹介

未来を見据えて、永久凍土のデータを残したい。
石川 守 (北海道大学大学院環境科学院・准教授)



---予想のつかないフィールド、そこに発想の源がある

 わたしは高山や高緯度帯などを研究対象としていています。高山を例にすれば、観測機材を持ち込むには自分の足で担ぎあげなければいけません。そういうところで調査しているとトラブルもあります。厳しい気象環境で観測機器が壊れたり、ケーブルを動物にかじられたりするなど、予期していないことが起きます。天候が悪くて調査できない日が続くこともあります。

 このようにデータを取得するというのは大変ですが、取れたデータに対してはとても愛着がわくんですよね。それをいろんな視点でみるとたくさんの発想が生まれてきます。そういうところに、研究の意義や楽しさを感じます。

---自分らしく歩むために大学院へ
 学部を卒業後、5年間のサラリーマン生活を経て、大学院に入り、修士号を取得後、博士課程で博士号をとりました。

 企業にいたころ企業の人間ではない自分は何だろうと考えたんです。自分の能力を生かして生きていける人間になりたいと思いました。会社の価値観ではなく、もっと一般的な価値観の中で評価され、生きる人間になりたいと思ったんです。

 学生時代は、山岳部に所属し山ばかり行っていました。登山は社会人になっても続けていましたので、山について研究できれば面白いな、と思い大学院に入りました。

---環境変動をとらえるために、観測網整備を目指す
 わたしは、永久凍土の研究をしています。マスコミをはじめ多方面で永久凍土が融解していると騒がれていますが、実際そのことを実証した観測はわずかしかなく、また現状でも系統的な観測を実施する体制は整っていません。G-COEの理念とも通じるところがありますが、わたしは、永久凍土の変動を将来にわたって監視できるような体制を築きたいと考えています。

 すぐに結果が出るような研究ではないかもしれませんが、これによって将来もたらされる観測事実の重みは何よりも勝るはずです。


調査地にて、学生の皆さんと

---いつでも多角的な視点をもって研究に励みたい
 研究室には、永久凍土だけではなく、高山の気象や水循環、広域的な植生変動などに取り組んでいる学生がいます。昨年度はモンゴルの環境変化に対する地域住民の意識を聞き取りで調査した学生がいました。途上国で起きている複雑な環境問題に対しては、自分の専門分野だけで考えていてもうまくいきません。そういう意味で、多くの考えを取り入れていきたいと思っています。個々の研究者が専門性を深めるような研究体制とは異なりますが、これにより新たな発想が生まれると信じています。

---自由に発想して研究して欲しい
学生に対してはあまり枠を固定しないようにしています。研究の目的、方法、対象など、自由に考えて研究してほしいと思います。もちろん永久凍土について研究したい学生さんがいたら、ウエルカムです。

石川 守 准教授

  • 北海道大学大学院地球環境科学研究科博士課程終了。海洋開発研究機構の研究員等を経験後、本職。
  • 「趣味は雪山シーズンであれば山スキー、それ以外は釣りです。先週末(4月下旬)も長男と暑寒別岳に登ってきました。昨年度からジョギングを初めましたが、とりあえずの目標はハーフマラソンの完走です。」
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