紅藻ソゾ属(Laurencia)の海藻は、形態が類似しているため分類が困難な海藻の一つです。ソゾ由来の含ハロゲン二次代謝産物11-13)は種特異的であり、その生成は環境要因によって左右されません。従って、それらを識別形質とした成分分類学が有効で14-16)、生合成過程を辿ることで系統分類学への路が開ける可能性があります。
ソゾ由来の含ハロゲン化合物は、ブロモペルオキシダーゼ(BPO)の働きによって生合成されると考えられています。しかし、その機構に関しては未だに不明な部分が多く、また、ソゾのBPOのキャラクタリゼーションについてはほとんど行われていません。
ソゾを含めある種の海藻は、多種多様な含ハロゲン化合物を大量に生産し蓄積しています。海藻は何のためにハロゲン化合物を作っているのでしょうか。その役割の一つに植食動物からの摂食を免れる化学的防御物質として機能していることが分かっています6,17)。また、海洋微生物に対しても防御物質として機能している可能性が示唆されています8-10)。