最近の研究成果


含フッ素アニオンを含む金属錯体の構造相転移に関する総説論文

Corrd. Chem. Rev. 2022, 471, 214728 (DOI: 10.1016/j.ccr.2022.214728(オープンアクセス)).

含フッ素アニオンにより構造相転移が誘起された金属錯体に関する総説論文です。大分大学近藤先生、千葉大学加納先生、日本製鉄上代博士との共同執筆です。


すりつぶすと二酸化炭素を吸着する穴が形成

Inorg. Chem. 2022, 61, 3379-3386 (DOI: 10.1021/acs.inorgchem.1c02762).

2021年に修士課程を修了したWangさんと博士研究員のZhengさんの研究成果で、細孔を持たない非多孔体を機械的にすりつぶすことで二酸化炭素を吸着することができる細孔が形成されることを見出しました。北大電子科学研究所中村研、触媒科学研究所中島研、京大堀毛研、株式会社リガクとの共同研究成果です。


賦形剤が水中汚染物質除去に与える影響を評価

RSC Adv. 2021, 11, 23707-23713 (DOI: 10.1039/d1ra03348d (オープンアクセス)).

博士課程に在籍中の谷本君の研究成果で、多孔性金属錯体賦形体の賦形剤が水中の汚染物質吸着に対してネガティブに働くことを明らかにしました。


一時的に細孔を開ける多孔性金属錯体

Inorg. Chem. 2021, 60, 4531-4538 (DOI: 10.1021/acs.inorgchem.0c03420).

2020年に修士課程を修了したMeng君の研究成果で、ガス吸着時に一時的に細孔の入り口を開ける珍しい多孔性金属錯体を見出しました。北大電子科学研究所中村研、ICReDD土方研との共同研究成果です。


柔らかい結晶を使って液体中の二酸化炭素の様子を可視化

Commun. Chem. 2020, 3, 143 (DOI: 10.1038/s42004-020-00390-1 (オープンアクセス)).

博士後期課程を修了したZheng君の研究成果で、液体の柔らかさと結晶の規則性を兼ね備えた柔らかい結晶中にイオン液体成分を組み込むことで、二酸化炭素分離剤であるイオン液体中に二酸化炭素が取り込まれた様子を可視化することに成功しました。北大電子科学研究所中村研、ICReDD土方研、株式会社リガクとの共同研究成果です。
(本成果は、北海道大学でプレスリリースされました。また、本成果に関する記事が、北海道大学大学院地球環境科学研究院北海道大学ICReDDで紹介されました。)


金属錯体を混ぜることで吸着特性を制御

Dalton Trans. 2020, 49, 9438-9443 (DOI: 10.1039/D0DT01355B).

古くから知られているホスト金属錯体、ウェルナー型錯体を任意の比で混合することにより、ゲスト吸着特性を制御することに成功しました。北大電子科学研究所中村研、ICReDD土方先生との共同研究成果です。


ゲスト分子と同期した構造変化を示す多孔性金属錯体を発見

Cryst. Growth Des. 2020, 20, 3596-3600 (DOI: 10.1021/acs.cgd.0c00334).

博士後期課程に在籍中のZheng君の研究成果で、メチレン鎖を導入した多孔性金属錯体がゲスト分子と同期した構造転移を示すことを見出しました。北大電子科学研究所中村研、株式会社リガクとの共同研究成果です。


水分子が炭化水素ガスを見分けることを発見

ACS Appl. Mater. Interfaces 2020, 12, 9448-9456 (DOI: 10.1021/acsami.9b21261).

水分子が多孔性物質中に存在してもプロピレン/プロパン混合ガスからプロピレンを選択的に分離することに成功しました。プラスチックや化学繊維などの化成品原料として有用なプロピレン分離の省エネルギー化が期待されます。北大電子科学研究所中村先生、ICReDD土方先生、触媒科学研究所清水先生、鳥屋尾先生、ミュンヘン工科大学ローランド・フィッシャー先生との国際共同研究成果です。
(本成果は、北海道大学でプレスリリースされました。また、本成果に関する記事が、国立環境研究所北海道大学大学院地球環境科学研究院北海道大学ICReDDで紹介されました。)


フラーレンへの水酸基導入による多孔質化

J. Phys. Chem. C 2019, 123, 23545-23553 (DOI: 10.1021/acs.jpcc.9b06951).

サッカーボール状構造をもつフラーレンC60に多数の水酸基OHを導入することにより、多孔質化させることに成功しました。この多孔質水酸化フラーレンは溶媒に可溶であり、薄膜化によるデバイス応用が可能です。東北大芥川先生との共同研究成果です。


新規無機二次構造単位を有する多孔性金属錯体を合成

Dalton Trans. 2019, 48, 6314-6318 (DOI: 10.1002/cplu.201800513).

無機二次構造単位[Zn2(N-oxide)2]を多孔性金属錯体骨格中に世界で初めて導入することに成功しました。この構造単位を使った多孔性構造の多様化が期待されます。高知大越智先生との共同研究成果です。
Dalton Trans.誌の裏表紙に選ばれました!


フッ素で修飾された多孔性軽金属錯体の総説

NPG Asia Mater. 2017, 9, e433 (DOI: 10.1038/am.2017.165(オープンアクセス)).

含フッ素有機配位子や含フッ素無機アニオンなどから構築された多孔性金属錯体の研究をまとめた総説論文です。含フッ素無機アニオンに着目した我々のこれまでの研究成果が紹介されています。


安価で生物に優しい多孔性軽金属錯体で二酸化炭素を高選択的に分離

Nature Commun. 2015, 4, 5851 (DOI: 10.1038/ncomms6851).

安価で生物に優しい軽金属イオンを含む多孔性軽金属錯体の新規合成手法を開発しました。また、本手法で得られた多孔性軽金属錯体は室温で二酸化炭素とメタンの混合ガスから二酸化炭素を高選択的に分離できることを実証しました。2012年度に修士課程を修了した水谷君の研究成果です。
(本成果は、北海道大学およびJSTホームページでプレスリリースされました。また、本成果に関する記事が、2015年1月19日付日刊工業新聞、サイエンスポータル電子科学研究所HPで紹介されました。)


一次元金属錯体で混合ガスを高選択的に分離

Microporous Mesoporous Mater. 2015, 216, 92-96 (DOI: 10.1016/j.micromeso.2015.03.021).

これまで三次元構造や二次元構造を有する多孔体がガス分離に用いられてきましたが、本研究では柔らかい一次元金属錯体が二酸化炭素/メタンやメタン/エタン混合ガスを分離できることを実証しました。新規ガス分離材料として期待されます。