スイスアルプス野外実習 2009年度実習報告
−−北海道大学環境科学院 地球雪氷学実習−−
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スイス実習・9/3

午前:Jungfrau高地山岳測候所訪問
午後:Aletsch氷河、メンヒ懸垂氷河の観察
夕食後:スライドショー


今日は、Kleine Sheidegg駅からJungfraujoch駅へ、登山鉄道で向かいます。
Jungfraujochは、Jungfrau山とMönch山の間の低くなった鞍部です。
今朝の様子だと、Jungfraujochの天候は良さそうです。

鉄道は、Eiger、Mönch山の内部に穴をあけて通っています。
固い岩盤を削り、1912年に開通しました。
Kleine Sheidegg(標高2061 m)-Jungfraujoch(標高3454 m)間を約50分で登ります。
最大勾配250‰、つまり水平方向に1000m進むと250mも上がります。
急勾配のために、線路には2本のレールの間に列車側の歯車とかみ合わせる3本目のレールがあります。

Jungfraujoch駅に到着です。
Jungfraujochは、Top of Europeと呼ばれています。
ここは、駅内にある氷の宮殿。
氷河の中に造られています。
層状の氷は、降り積もった雪がだんだん押し固められ、氷となったものです。

Aletsch氷河の観察。
Aletsch氷河は、Valais州にある、アルプスで最も長い氷河。
Jungfraujoch周辺は、Aletsch氷河の上流部の1つにあたります。
ここから、長さ23 km、面積120 km2の氷河が広がっているのです。
氷河の表面にある黒い筋は、2つの氷河が合流した狭間にある岩山が削られ、 堆積し、氷河に運ばれている岩石(モレーン)です。

今回のAletsch氷河の観察では、深い積雪と共にクレバスも見られました。
2006年の本実習では、このあたりで実地の観測が行われました。
杉山慎先生によると、その時点ではこのようなクレバスは無かったそうです。
ここ3年間で、積雪による涵養量に比べ、流動量の方が大きいため、クレバスが生じたのではないかと考えられます。


Jungfrau高地山岳測候所の訪問。
Jungfraujochには、駅に隣接して研究施設があります。
ここに泊り込んで研究しているFelix Seiler, Susanne Seiler両研究員から説明を受けました。
ここでは、基礎的な気象に加え太陽光、宇宙線、エアロゾルなどの観測が行われてます。
また、観測装置に加え、化学実験の設備や研究者のための宿泊施設も用意されています。


駅を出て、Mönchsjoch Hutへ向かいます。
近いように見えますが、高地のため空気が薄く道は楽ではありません。
ゆっくり歩み、1時間ほどで到着。
小屋の喫茶店で、一休み。


帰りは、途中のEigergletscher (標高2320 m)で下車し、Kleine Sheideggまでトレッキング。

モレーンの上を歩いています。
モレーンは氷河の痕跡。
ここも以前は氷河の下でした。

牛飼いが牛を移動させています。
この辺は樹木が疎ら、またはありません(森林限界)。
アルプスの土壌はあまり肥沃ではなく、そこに生える草を飼料に家畜を養っています。

Eigerの北壁。
多くの登山家を惹き付ける、困難な三大ルートの1つ。
氷河とアルプスの地形に圧倒され、景観の素晴らしさに私は「贅沢」を感じました。
でも、ここに住む牛たちにとっては当たり前の景色なのでしょう。

文責  古舘 大樹

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