スイスアルプス野外実習 2006年度実習報告
−−北海道大学環境科学院 地球雪氷学実習−−
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スイス野外実習4日目


今日はいよいよ、Aletch氷河上での観測を行う日である。朝食後、Aletch氷河 に行く前に、氷河上の気象と比較するために、宿泊地近くに気象観測機を設置。 その後Jungfrau鉄道で、宿泊地Eigergletscher駅(標高2320m)から Jungfraujoch駅へ。

Jungfrau鉄道は、1912年16年かけて掘削したトンネルが完成し、Kleine Scheidegg駅(標高2061m)からヨーロッパ最標高のJungfraujoch駅(標高 3454m)まで約50分で行く事ができる。

Jungfraujoch駅に到着後、駅内を見学。Jungfraujoch駅内には、展望室や研究 施設の他に、アイスパレスと呼ばれる氷河を削って出来た深さ20mの場所に 氷河の洞窟などがある。

Aletch氷河は、全長約20kmのヨーロッパ最大・最長の氷河で、2001年には、世 界遺産に登録された。

見学後Jungfraujoch駅から観測場所Aletch氷河へ。高山病になることなく、手 稲野外実習で履きなれたスノーシューを履き、皆軽快に観測地へ。

氷河上の青い点あるいは十字状の赤い点が観測地点。駅から観測地点までまば らな赤い点上をあるいて降りた。

氷河に到着後、早速観測開始本日行なった氷河での観測は以下の4項目である。 (1)1年間の積雪の密度測定: 金属製のコアを氷河に挿し、コア内に入った雪 の重さと掘った穴の深さを測定する。

(2) 雪の断面観測: 氷河を約1m掘り、その断面から深さ毎の温度・密度・結 晶の状態を観測する。

(3) GPSによる観測地点と氷河の流速測定: (a)Jungfraujoch駅付近の岩に設置 したReferenceのGPSを基準に、Rover側のGPSにより他に行なった観測の観 測地点の位置を測定する。

(b) 氷河上の点30分程Rover側のGPSを設置し、この時間の氷河の位置変化 を観測する。

(4) GPRでの氷河表層下の把握: 氷河上を移動しながら、様々な波長の電波を 機械から出し、氷河からのはねかえりを観測する。

観測合間に交代で、氷河に座り、パン・チーズ・ハムで昼食。

観測終了後Jungfraujoch駅へ戻り、列車で宿泊地へ。氷河から駅までの登りが かなりきつかった事もあり、帰りの列車は静寂だった。

夕食後はShort Lecture。何故またどのように氷河は動くのか?どうして氷河 を観測する必要があるのか?どうやって観測するのか?と言った氷河研究の基 盤となる事柄が分かり易く明らかにされた。

またJan vab der Kurk氏により、今日得られたGPRデータの解釈について説 明があった。氷河表層下の氷の層の状態が見てとれた。これらの講義により、 氷河の魅力はもちろんの事、今回の実習の意義や得られる結果の面白さを再確 認する事ができた。

GPRによって得られた氷河内積層構造
文責  梶原 瑠美子

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